DEEP ACIDなんでもかんでも日記・ヤプログ!より移行

銭湯めぐりの「銭湯を超えた」魅力

・銭湯美術、入浴の気持ち良さ、と言う入門向けの魅力を離れる

 銭湯の魅力として一般的に語られる観点は以下の4点。
・大きなお風呂
 大きなお風呂は家風呂と違い、開放感がある。互いに天井、大きな浴槽。ユニットバス生活では得られない開放感を味わうことができる。
・銭湯美術
 まずなんと言っても富士山のペンキ絵。あのような大きなサイズの絵画作品は美術館でもなかなかお目にかかれないし、さらに、休業日日中の5~6時間で描き上げてしまうため、最近では絵師による作画パフォーマンス自体が人気で、公開作成ではたくさんの観客が集まる。他にも、タイル絵や、カラン、桶、体重計、などのグッズのディテールにもこだわるマニアは多い。
・美容と健康
 銭湯女子が増えたのは、芸術的増殖もさることながら、美容と健康は最近の注目の的。昔は熱くて入れなかった銭湯の湯船も最近はぬるめになり、サウナや水風呂と組み合わせてデトックス効果を期待されている。さらに軟水風呂(ナトリウムなどの成分が少ない湯で肌に優しい)や炭酸風呂など、肌に優しい湯質をアピールする銭湯も増えた。
・風呂上がりの一杯
家風呂の人はそのまま晩酌だが、勝って知ったる常連の集まる飲み屋、あるいは飲み屋めぐりが趣味、なんて人もいる。うまいビールや酒を飲む準備として、銭湯入浴を楽しむ人も多い(飲んべえでなくとも、スポーツ後のビールの前には風呂だ、と言うことになる)。

 その一方で、長年銭湯めぐりをやって来て(私の個人的銭湯ホームページの記録は1998年から始まっているので、今年で銭湯オタク歴ちょうど20年である)、こうしたアピールポイントは特に関心がないし、むしろ違和感すら感じることがある。

 最近「sento japan」と言う外国人向け銭湯紹介番組の動画を見たが、これで外国人は銭湯に魅力を持ってもらえるのかな、と思った。逆に言うと、自分は銭湯の何に魅力を感じているのだろう。乗り鉄みたいに数をこなすことがノルマみたいになって、何が魅力か人に説明できる気がしない。これじゃプレゼン会のネタにできないなと感じた。
 と言うか、もう銭湯そのものだけの魅力じゃなく、次はどこの銭湯に行くかを決めたり、行く途中で道に迷うと言う、ちょっとした冒険をしたり、と言った、銭湯にたどり着くまでのプロセス全体を楽しんでいる、と言う方が正しいのかもしれない。
 今回の発表はそこからスタートする。

・銭湯は下町旅(知らない町の生活を覗く旅)
 銭湯めぐりをしていると、行ったことのない町を歩くことになる。しかも、新幹線や飛行機で訪れる遠方ではなく、いつも通過している電車の駅を降りる。お金がなくても旅はできる。最近の途中下車旅、バス旅など身近なエリアや乗り物での旅と銭湯めぐりは非常に相性が良い。

・銭湯は時間旅行(時計を戻すことではなく、時間がゆっくり進む感覚)
 もちろん、銭湯の古い建物で、昭和にタイムスリップ、と言うのはある。しかし、途中下車した町は、銭湯だけでなくいろいろなタイムスリップ経験ができる。個人商店街とか、裏の細道とか、見たことのない神社、小学生の下校風景とか。家と会社の往復、パッケージツアー参加の旅では経験しえない風景に遭遇する。

・銭湯は冒険(道に迷ってナンボ)
 銭湯はどうしても夜暗くなってからの訪問になる。日が沈んだ後の知らない町を歩くのは、かなりの勇気が要る。方向感覚は曲がりくねった住宅街に迷い込んで失われる。そんな砂漠の中で銭湯と言うオアシスを見つける、これは立派な冒険である。

・銭湯は自分と向き合う場(過去の感覚を整理したり、未来の自分を想像したり)
 コミュニケーションしたい人は地元の常連さんや番台の女将さんと仲良くおしゃべりを楽しんだりするようだが、人見知りの私はむしろ銭湯の静かな空間で自分と向き合う時間を作っていることが多い。特に思考回路が冴えると言うのではなく、むしろそういう思考を休む場になっている。
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