育てるのが好きだと前に書いたが飽きることがある。
主に植物で飽きる。
決まって思い通りに育った時に飽きるのだ。
本を見て、ネットで調べて愛情は見えないのでこもってるかは知らんがマニュアル通りに育てた。
形から入り、変化が苦手な特性のある私なので、一般家庭でちょっと園芸してみようかしらと言う人は絶対買わないような土の酸度を測ったり温度計も用意する。
温室まがいな物を洗濯物を干すサンルームに作り家族に迷惑をかけるなど、やり始めると宇宙の果まで行ってしまう。
肥料や虫除けも化学実験室か?と言われるくらいに揃え並べ、邪魔扱いされてダンボールに放り込まれた。
そうまでしたのにも関わらず思うように育たなかった植物も多数ある。
私だけのせいでなく、もともとの種や苗の遺伝子が悪く育成不良の場合もある。
これは人間も同じで自閉症スペクトラム症を持って生まれた私のようなもんだな。
小学生の頃、拳大の玉サボテンを人からもらった。
ずっと私の部屋の窓際にいた。
たまに掃除の時に手にトゲが刺さりウザかった。
何年も共に暮らしたが何の変化もなかったが確実に大きくなっているようだ。
中学にあがり花が好きだという社会科のおばぁちゃんに近い年齢の山崎先生にサボテンの話をした。
「1回持って来てよ。放課後に一緒に植え替えよう」と言われ、めんどくせぇな、言わなきゃ良かったと思いながら次の日に自転車で持って行った。
先生は自宅から古い大きめの鉢と土を用意してくれていた。
植え替えで丁寧に古い泥を落とし枯れた根を切り植え替えが完了した。
しかし、鉢が私の部屋の窓際に確実に乗らない大きさで保健室の出窓で育てさせてもらう事になった。
毎週月曜日に水をやり、それ以外にも見に行った。いつの間にか誰か知らんが下手くそな字で「とげちゃん」と書いた。それなりに愛されてるのだろうが、可愛い字で書いてほしかった。
山崎先生は2年生になる時に定年で退職された。
新学期からは山崎先生が書いたメモをとげちゃんの横の壁に貼って、置いていってくれた肥料と水を真面目に与えた。
家にいた頃と違ってプリプリでハリハリの玉サボテンに育ち、3年生の春には蕾をつけ小さいピンクの花がいくつも咲いた。
そして、卒業式の日、私は鉢を保健室の先生に託して持って帰らなかった。
私以外にもとげちゃんのお世話をしてくれている保健室登校の生徒がいることを知っていたから。
今でも多肉植物は好き。手のかかる生徒だった私を普通に扱ってくれた今は亡き山崎先生との思い出。
今年も花芽がついた子が何人もいるよ!