(国民の皆様へ)
新型コロナウイルス感染症の目に関する情報について
新型コロナウイルス感染症(通称 COVID-19、正式には
Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2、
略して SARS-CoV-2)が世界中で拡大しています。
新型コロナウイルスは口や鼻 といった上気道の粘膜から
感染しますが、目の粘膜組織である「結膜」からも
感染する可能性があ ります。 目からのウイルス感染に
どのように注意し、目の病気からいかに自分を守るのか
をまとめました。
Q1 どのようにして目から新型コロナウイルスが
感染するのですか?
新型コロナウイルスに感染した方の咳やくしゃみ、
しゃべっているときの唾液(つば)に含まれるウ イルス
があなたの顔にかかった場合、目の粘膜(結膜)から
ウイルスが体の中に入る(ウイルスに感 染する)可能性
があります。また、ウイルスが付いたテーブルや椅子、
パソコンのキーボードなどを あなたがさわって、
そのまま手で目をこすったりさわったりした場合にも
ウイルスに感染する可能性 があります。
Q2 目からの感染を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?
新型コロナウイルス感染症の基本的な対策は、手洗い
(石鹸による十分な手洗い)、あるいはア ルコール等で
消毒することです。
⚫ 洗っていない手で目をさわらないようにしてください
(他人から自分にウイルスを感染させな い)。
⚫ 目をさわったあとに手を洗わずに、あちらこちらを
さわらないようにしてください(自分から他 人にウイルス
を感染させない)。
今は花粉症の季節でもあり、かゆさのために思わず目を
こすってしまうこともあるかもしれません。
目をさわらない・こすらない、手を洗うこと、を心がけましょう。
Q3 新型コロナウイルス感染症において結膜炎はどのくらい
合併しますか?
新型コロナウイルス患者における結膜炎がおこる頻度は、
およそ1~3%とされていますが、まだ 十分なデータでは
ありません。しかし、頻度は少ないながらも、新型コロナ
ウイルス感染症に結膜炎 を併発する場合があります。
ただし結膜炎はウイルス以外にも細菌やアレルギーなど
様々な原因でおこります。充血がみられた場合でも、
新型コロナウイルス感染症かどうかは、全身所見や症状
を詳しく調べない限りはわか りません。
Q4 コンタクトレンズの使用はどうすればよいでしょうか?
コンタクトレンズをはめるときと、はずすときに直接
目に触れますので、目に触れる前後に十分な 手洗いを
行ってください。普段どおりに、コンタクトレンズの消毒や
こすり洗いもしっかりと行ってくだ さい。
心配であれば、しばらくの間、コンタクトレンズから眼鏡の
装用に代えても良いでしょう。
Q5 眼鏡やゴーグルを使えば、感染から目を守れるでしょうか?
眼鏡やゴーグルを装用すれば新型コロナウイルスの飛入を、
ある程度は抑えることができますが、 完全ではありません。
レンズのない側面や上下の隙間から、ウイルスが侵入する
可能性があります。 また、眼鏡やゴーグルに触れた手で
目をこすってしまうと、かえって感染のリスクを高める
可能性も あることに注意してください。
Q6 普段から点眼薬をさしている場合、何を注意すれば
よいでしょうか。
目薬をさす前と後に、十分に手洗いを行ってください。
他の人と、目薬を共有してはいけません。
Q7 外出を控えるように言われていますが、眼科を受診
しても大丈夫ですか?
全国の眼科では、日頃よりウイルス性結膜炎の感染に
十分に注意しています。そのため新型コロ ナウイルス
感染症に対しても、医師やスタッフがマスク装着や
手指消毒の徹底、診察室の換気など、 安全対策を十分に
行っております。
むしろ、怖がってしまうあまりに受診を控えすぎて、
診察を受けるタイミングが遅れたり、いつも使 う目薬が
途切れて、病気を悪化させることのないようにしましょう。
以下のような症状がある場合、早い対応(適切な時期の対応)
を要する可能性があります。 お近くの眼科にご相談ください。
1. 急激な視力低下を感じて、数時間~半日たっても戻らない場合
2急激な視野異常(視野の一部が欠けるなど)を自覚する場合
3. 充血をともなう目の激痛を自覚する場合
4. 頭痛や吐き気をともなう目の痛みが続く場合
ただし、病院側が患者様に対してコロナウイルス感染症が
強く疑われると判断した場合には、その 医療機関から別の
適切な医療機関に紹介される場合があります。
Q8. 普段から定期的に眼科に通っているのですが、
どうすればよいですか?
症状が変わらない場合やお薬が十分にある場合など、
通院の間隔をのばせる場合もありますが、 必ず病院に
連絡して担当医の指示を仰いでください。
特に以下にあてはまる場合は、自己判断は禁物です。
1. 普段とは明らかに見え方が違っている場合(視力低下、視野異常など)
2. 緑内障があり、処方の点眼液が無くなりそう、あるいは無くなって
しまった場合
3. いつもと違う目の痛みが続く場合、充血、痛みが次第に悪化する場合
4. 加齢黄斑変性や糖尿病網膜症のため、数か月ごとに定期的に硝子体
注射を受けている場合
5. 手術後、まだ間もない場合通院のために外出する際は、事前の体温測定、
マスク装着、手洗いの励行など基本的な対策を行 ってください。
のどの痛みや風邪の症状がある場合は、必ず医療機関の受付でその旨を
おっしゃ ってください。
公益財団法人日本眼科学会 理事長 寺﨑 浩子
公益社団法人日本眼科医会 会 長 白根 雅子