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むずかしい問題ですが、日本人には明確な死生観がない
ところがありますね。
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幸福実現党
江夏正敏の闘魂メルマガ vol.51
2015年10月6日発行
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江夏正敏 幸福実現党
政務調査会長のオフィシャルブログ
http://enatsu-masatoshi.com/
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1、江夏正敏の「闘魂一喝!」
「あなたは人生最期に延命治療を望みますか」
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人間はいずれ死にます。その最期の時、私たちはどのような死を望むでしょうか。いわゆる終末期医療の問題です。
今回のメルマガは、この終末期医療を取り上げます。ポイントは延命措置をどこまで受け入れられるかでしょう。
●多死時代
現在2014年の年間死亡者数は約120万人です。これが2025年には160万人を超えていきます。「多死時代」を迎えるといっても過言ではありません。
一方、1960年ごろまでは、死を迎える際、自宅で安らかに看取られていました。その自宅での看取られ率は70%ほど。しかし、現代では約80%の方が病院で亡くなっています。
死が身近になる多死時代において、いかに死すべきかは大きな問題となってきます。
●終末期医療は世界的な課題
実は、この終末期医療は世界的な問題なのです。
2014年11月、アメリカのオレゴン州で、末期の脳腫瘍であった女性が、医師から処方された致死量の薬を飲んで亡くなり、世界中で話題となりました。
アメリカでは尊厳死と報道されましたが、日本における安楽死です。どのように考えることが正しいのでしょうか。
現在、アメリカは本人意思を尊重する傾向があり、自己決定権の徹底に向かっています。
ヨーロッパは「死というものはこうである」という概念を法律などで定めようとしています。
では日本はというと、まだ何でもありという状態で、混沌としている感じでしょうか。
●日本における終末期医療
日本では人生が終わりに近づき、食べられなくなった高齢者にも、栄養補給(人工栄養)が行われます。最後まで濃厚な医療を行おうとするのです。
これは世界的に珍しいと言えるでしょう。
しかし、その間に、次から次へと合併症がおこり、その結果、「高齢者は苦しんで死んでいる」という報告があります。
●日本の医療は緩和よりも忍耐
日本の医療は、患者の“つらさ”を和らげるよりも“がまん”が優先されているとも言われています。つまり、緩和よりも忍耐ということです。
一方、欧米では患者の苦痛をとってあげることを優先します。
日本では終末期の高齢者に対して、オムツ状態で点滴、経管栄養、人工呼吸器装着、血液透析が行われます。
痰の吸引や気管切開部のチューブ交換は、拷問かと思うぐらいの苦しさがあるそうです。さらにチューブが抜けないように手足や体を縛ってしまうこともあります。
その状態で、何年も生き続けることもあります。
看護師によっては「病院は高齢者を食い物にしている、こんなことが許されるのか」と憤る人もおり、「医療という名の下に、高齢者虐待が行われている」とまで言う人もいます。
高齢者医療の現場で働く人たちは、誰一人として自分にそのような最期を望んでないとのことです。
●欧米豪には「寝たきり老人」がいない
一方、欧米豪には「寝たきり老人」がいないようです。
もちろん寝たきりの人はいますが、日本のようにチューブから栄養を受け、寝返りも打てず、一言もしゃべらず、何年も寝たきりのままの老人はいないという意味です。
その理由は、高齢で寝たきりになったら、経管栄養などの延命措置は行わないので、短期間で亡くなっているためです。
その根底には「人は必ず死ぬものであり、その人の尊厳を損なってまで、延命を図ることは倫理的に許されない」という考えがあります。
高齢者が終末期を迎えると食べられなくなるのは当たり前で、経管栄養や点滴などの人工栄養で延命を図ることは“非倫理的”であると、国民が意識しているとのこと。
逆に、そんなことをするのは“老人虐待”という考え方さえあるようです。
ある外国人医師が日本の高齢者病棟を見たとき「日本には物言わぬ寝たきり老人がたくさんいる」と驚いたという話があるほど、考え方にギャップがあるようです。
●日本に寝たきり老人が多い理由
なぜ、日本には「寝たきり老人」が多いのでしょうか。アンケートを取ると、国民の80%以上が延命措置を望んでいません。
それなのに、なぜ多くの人に延命措置が行わるのでしょうか。考えられる理由をあげてみます。
(1)延命至上主義
日本では「一人の生命は、全地球より重い」とされ、とにかく一分でも一秒でも永く生きることが最上であると思っている人が多いのです。
情においては理解できるのですが、ただ、人間をモノとしか見ない唯物論の影響を感じます。
(2)倫理観の欠如
前述したように、欧米豪では高齢者の延命は倫理的に問題があるとしています。人間の尊厳を如何に考えるかでしょう。
それは「人間らしく生きるとはいかなることか」という人生観にもつながっていきます。
欧米豪では「生きている間は人生を楽しみ、死ぬときは潔く死ぬ」「ベッドの上で点滴を受けて生きて何の意味があるのか」「自分で食べられなくなったときは人生の終わり」
「手袋がボロボロになったら、手を守ることができないように、体がボロボロになったら魂を守ることはできない」という考えがあるようです。
これは一昔前の日本にもあったような印象を受けます。
戦後のGHQによって日本の倫理観が破壊されたことに起因しているように感じます。
(3)自分の意思を伝えていない
自分が寝たきりになった時の終末期医療の在り方を親族などに伝えていないと、医師や親族は、延命措置に傾いていきます。
医師は後で糾弾されないようにリスク回避で延命措置に向かいます。親族もいざという時は、情が優先され、延命措置をお願いするようになりがちです。
(4)裁判の恐れ
日本では延命措置を中止すると、警察が介入したり、医師が裁判に訴えられたりする可能性があります。
不審死扱い、そして自殺幇助、殺人になる可能性があり、そのような判例もあるのです。
医師に信念があったとしても、何年間も裁判を闘って判例になることは、かなりのリスクがあると言わざるを得ません。
(5)医療制度
日本では、病院の経営のために延命措置などの濃厚医療をする傾向があります。延命措置を行うと診療報酬が高くなるからです。
中心静脈栄養や人工呼吸器装着などを行うと診療報酬が高くなるようです。
また、急性期病院では在日日数が長くなると診療報酬が減るために、胃ろう(胃に穴をあけて直接栄養を流す仕組み)をつくって早期に退院させようとします。
胃ろうは、急性期病院から退院し介護施設や長期療養病院に引き取ってもらうために造られるのです。
なぜなら施設は人手不足で、手間のかかる食事介助に充分な人手がいないからです。病院もコストを考えなければ成り立たない現実があります。
ベッドの回転をよくし、赤字を避けるためには次の行き先を見つけなればならず、行き先を見つけるためには胃ろうが必要となってしまうのです。
ちなみに寝たきり状態で延命されている患者に、月額60万~70万円の公費が使われています。
(6)親などの年金受給ほしさ
親の年金をあてにして延命措置を願う親族もいます。よく、親の死を隠して年金を不正に受給する事件が起きますが、根源は一緒です。
ただし、高齢な親の介護のために退職せざるを得ず、親の年金で生活している人もいるので、難しい問題があるとも言えますが。
●死期が近づくと
人間は死期が近づくとだんだん食べなくなります。空腹やのどの渇きを訴えることもなくなります。それが自然の姿とのこと。
人工栄養を差し控えることは“緩和ケア”になります。気道内分泌物が減ることによって、気道閉塞のリスクが減り、吸引回数が減ります。
脱水になると、脳内麻薬であるβ-エンドルフィンが分泌され気分がよくなります。
低栄養になると、栄養源として自分自身の脂肪が使われるため、ケトン体が増加して、自然に鎮痛鎮静効果がもたらされます。
人間の身体は、枯れるように死ねば、穏やかな最期を迎えられるようにできているようです。
ところが、終末期に点滴や経管栄養を行った場合、これらの恩恵を受けられずに、苦しむことになります。これが、欧米では人工栄養が非倫理的であるといわれるゆえんです。
欧米では「食べないことも権利」とされているのです。
しかし、日本の医療では栄養価の高い食品を勧めがちです。場合によっては、食べることを拒否している高齢者にも無理矢理食べさせることがあります。
その結果、食事でむせてしまい、肺に食物が入って、肺炎を起こしてしまうのです。いわゆる誤嚥性肺炎です。
人生の終末期を迎えた高齢者に栄養管理は不必要という意見は傾聴に値します。
●終末期医療の転換時
1981年の患者の権利に関する“リスボン宣言” では「患者は尊厳のうちに死ぬ権利を持っている」と謳われています。
そして、医療関係者によると、患者からは「私が望んでいるのは“安らかな死”です」という意見が多いとのこと。
また、延命措置について全国調査したところ、国民の8~9割が過度の延命措置を拒否するという結果が出ています。
ということは、現在行われている高齢者の終末期医療は、国民のニーズにも合っておらず、国際標準とも乖離していると言えるでしょう。
「ハリソン内科学」(アメリカの内科学の教科書)には「死期が迫っているから食べないのであり、食べないことが死の原因になるわけではない」と書かれています。
終末期の高齢者に胃ろうや点滴などの延命措置をしなかったら、「餓死させるのか」「飢えや脱水で、苦しんで死ぬのでは」といった批判を受けることがあります。
しかし、終末期の高齢者は食欲がほとんどなく、胃腸も弱り、食べ物も受け付けません。
そして、枯れるように死んでいくとき、苦痛もなく大往生に至ることが多いようです。
日本もこの辺で終末期医療のあり方を転換すべき時なのではないでしょうか。
●安らかに死ぬ権利を
今まで述べてきたように、点滴や経管栄養をしなくても苦しむことはないようです。むしろ最期まで話すことができて、安らかに亡くなっていくことも多いようです。
現在の医療は、たとえ亡くなることがわかっていても治療を続け、一分一秒でも患者の命を永らえさせることが至上命題でした。
患者が楽であるかどうかは考慮されていません。残念ながら、医療の発達が安らかな死を妨げている面もあると言わざるを得ません。
安らかに死ぬ権利を、もっとはっきりと認めるべきでしょう。
●死生観を明らかに
そのためには、死生観を明らかにすべきです。人間は何のために生まれ、死とは何を意味するのかが分かれば、終末期医療のあるべき姿が明確になります。
人間には魂があり、この地上で魂修行をするために生まれてきます。そして、人間には寿命があり、必ず死を迎えますが、実は永遠の生命を持っており、死は終わりではないのです。
ということは、この地上での命を大切にしつつ、死期が近づいたら、あの世への安らかな旅立ちを考えなければならないのです。
つまり、過度の延命措置は必要なく、逆にあの世への旅立ちを妨害する面があるということです。
親族にとってはつらいことでしょうが、これが真実です。
このような死生観が社会に広がれば、「終末期を迎えた高齢者には、濃厚医療を行う必要はない」ということが社会の常識になることができるのです。
その結果、幸福な死を迎えることができます。
死生観が明らかになることで、「安らかな死」を迎える人が多くなります。
その結果、親族の負担も減っていきますし、国家の終末期医療に対する財政負担も減らせます。
医師も裁判リスクや精神的ストレスがなくなり、患者本人のリビング・ウィル(生前の終末期医療の意思表示)といったものも必要なくなります。
やはり、死の本当の姿を明らかにできる宗教が必要不可欠で、そこに価値を見出している宗教政党こそが、終末期医療の正しい在り方を実現できると確信しています。
※参考文献
「欧米には寝たきり老人はいない」宮本顕二、宮本礼子/中央公論新社
「高齢者の終末期医療を考える」増田寛也+日本創生会議 編
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2、編集後記
━━━━━━━━━━━━━━
最近の活動としてミニ集会に参加する機会が増えています。
有権者の皆様の関心は、年金、医療、介護、経済などが多いですね。
本当は日本の安全、国防などが一番大切なのですが、実感として遠いイメージがあるようです。
今回は終末期医療をテーマにしました。ミニ集会などで関心が高いテーマです。
死の本当の意味を説明すると、多くの方が興味を示します。普遍的なテーマなのでしょう。
この辺の話をするとき、「宗教政党でなければ答えが出ない」と実感します。、
宗教政党であることを誇りに思う瞬間でもあります。
━━━━━━━━━━━━━━
◆ 江夏正敏(えなつまさとし)プロフィール
1967年10月20日生まれ。
福岡県出身。東筑高校、大阪大学工学部を経て、宗教法人幸福の科学に奉職。
広報局長、人事局長、未来ユートピア政治研究会代表、政務本部参謀総長、
HS政経塾・塾長等を歴任。
幸福実現党幹事長・総務会長を経て、現在、政務調査会長。
http://enatsu-masatoshi.com/profile
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◆ 発行元 ◆
江夏正敏(幸福実現党・政務調査会長)
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2015年10月6日発行
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1、江夏正敏の「闘魂一喝!」
「あなたは人生最期に延命治療を望みますか」
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人間はいずれ死にます。その最期の時、私たちはどのような死を望むでしょうか。いわゆる終末期医療の問題です。
今回のメルマガは、この終末期医療を取り上げます。ポイントは延命措置をどこまで受け入れられるかでしょう。
●多死時代
現在2014年の年間死亡者数は約120万人です。これが2025年には160万人を超えていきます。「多死時代」を迎えるといっても過言ではありません。
一方、1960年ごろまでは、死を迎える際、自宅で安らかに看取られていました。その自宅での看取られ率は70%ほど。しかし、現代では約80%の方が病院で亡くなっています。
死が身近になる多死時代において、いかに死すべきかは大きな問題となってきます。
●終末期医療は世界的な課題
実は、この終末期医療は世界的な問題なのです。
2014年11月、アメリカのオレゴン州で、末期の脳腫瘍であった女性が、医師から処方された致死量の薬を飲んで亡くなり、世界中で話題となりました。
アメリカでは尊厳死と報道されましたが、日本における安楽死です。どのように考えることが正しいのでしょうか。
現在、アメリカは本人意思を尊重する傾向があり、自己決定権の徹底に向かっています。
ヨーロッパは「死というものはこうである」という概念を法律などで定めようとしています。
では日本はというと、まだ何でもありという状態で、混沌としている感じでしょうか。
●日本における終末期医療
日本では人生が終わりに近づき、食べられなくなった高齢者にも、栄養補給(人工栄養)が行われます。最後まで濃厚な医療を行おうとするのです。
これは世界的に珍しいと言えるでしょう。
しかし、その間に、次から次へと合併症がおこり、その結果、「高齢者は苦しんで死んでいる」という報告があります。
●日本の医療は緩和よりも忍耐
日本の医療は、患者の“つらさ”を和らげるよりも“がまん”が優先されているとも言われています。つまり、緩和よりも忍耐ということです。
一方、欧米では患者の苦痛をとってあげることを優先します。
日本では終末期の高齢者に対して、オムツ状態で点滴、経管栄養、人工呼吸器装着、血液透析が行われます。
痰の吸引や気管切開部のチューブ交換は、拷問かと思うぐらいの苦しさがあるそうです。さらにチューブが抜けないように手足や体を縛ってしまうこともあります。
その状態で、何年も生き続けることもあります。
看護師によっては「病院は高齢者を食い物にしている、こんなことが許されるのか」と憤る人もおり、「医療という名の下に、高齢者虐待が行われている」とまで言う人もいます。
高齢者医療の現場で働く人たちは、誰一人として自分にそのような最期を望んでないとのことです。
●欧米豪には「寝たきり老人」がいない
一方、欧米豪には「寝たきり老人」がいないようです。
もちろん寝たきりの人はいますが、日本のようにチューブから栄養を受け、寝返りも打てず、一言もしゃべらず、何年も寝たきりのままの老人はいないという意味です。
その理由は、高齢で寝たきりになったら、経管栄養などの延命措置は行わないので、短期間で亡くなっているためです。
その根底には「人は必ず死ぬものであり、その人の尊厳を損なってまで、延命を図ることは倫理的に許されない」という考えがあります。
高齢者が終末期を迎えると食べられなくなるのは当たり前で、経管栄養や点滴などの人工栄養で延命を図ることは“非倫理的”であると、国民が意識しているとのこと。
逆に、そんなことをするのは“老人虐待”という考え方さえあるようです。
ある外国人医師が日本の高齢者病棟を見たとき「日本には物言わぬ寝たきり老人がたくさんいる」と驚いたという話があるほど、考え方にギャップがあるようです。
●日本に寝たきり老人が多い理由
なぜ、日本には「寝たきり老人」が多いのでしょうか。アンケートを取ると、国民の80%以上が延命措置を望んでいません。
それなのに、なぜ多くの人に延命措置が行わるのでしょうか。考えられる理由をあげてみます。
(1)延命至上主義
日本では「一人の生命は、全地球より重い」とされ、とにかく一分でも一秒でも永く生きることが最上であると思っている人が多いのです。
情においては理解できるのですが、ただ、人間をモノとしか見ない唯物論の影響を感じます。
(2)倫理観の欠如
前述したように、欧米豪では高齢者の延命は倫理的に問題があるとしています。人間の尊厳を如何に考えるかでしょう。
それは「人間らしく生きるとはいかなることか」という人生観にもつながっていきます。
欧米豪では「生きている間は人生を楽しみ、死ぬときは潔く死ぬ」「ベッドの上で点滴を受けて生きて何の意味があるのか」「自分で食べられなくなったときは人生の終わり」
「手袋がボロボロになったら、手を守ることができないように、体がボロボロになったら魂を守ることはできない」という考えがあるようです。
これは一昔前の日本にもあったような印象を受けます。
戦後のGHQによって日本の倫理観が破壊されたことに起因しているように感じます。
(3)自分の意思を伝えていない
自分が寝たきりになった時の終末期医療の在り方を親族などに伝えていないと、医師や親族は、延命措置に傾いていきます。
医師は後で糾弾されないようにリスク回避で延命措置に向かいます。親族もいざという時は、情が優先され、延命措置をお願いするようになりがちです。
(4)裁判の恐れ
日本では延命措置を中止すると、警察が介入したり、医師が裁判に訴えられたりする可能性があります。
不審死扱い、そして自殺幇助、殺人になる可能性があり、そのような判例もあるのです。
医師に信念があったとしても、何年間も裁判を闘って判例になることは、かなりのリスクがあると言わざるを得ません。
(5)医療制度
日本では、病院の経営のために延命措置などの濃厚医療をする傾向があります。延命措置を行うと診療報酬が高くなるからです。
中心静脈栄養や人工呼吸器装着などを行うと診療報酬が高くなるようです。
また、急性期病院では在日日数が長くなると診療報酬が減るために、胃ろう(胃に穴をあけて直接栄養を流す仕組み)をつくって早期に退院させようとします。
胃ろうは、急性期病院から退院し介護施設や長期療養病院に引き取ってもらうために造られるのです。
なぜなら施設は人手不足で、手間のかかる食事介助に充分な人手がいないからです。病院もコストを考えなければ成り立たない現実があります。
ベッドの回転をよくし、赤字を避けるためには次の行き先を見つけなればならず、行き先を見つけるためには胃ろうが必要となってしまうのです。
ちなみに寝たきり状態で延命されている患者に、月額60万~70万円の公費が使われています。
(6)親などの年金受給ほしさ
親の年金をあてにして延命措置を願う親族もいます。よく、親の死を隠して年金を不正に受給する事件が起きますが、根源は一緒です。
ただし、高齢な親の介護のために退職せざるを得ず、親の年金で生活している人もいるので、難しい問題があるとも言えますが。
●死期が近づくと
人間は死期が近づくとだんだん食べなくなります。空腹やのどの渇きを訴えることもなくなります。それが自然の姿とのこと。
人工栄養を差し控えることは“緩和ケア”になります。気道内分泌物が減ることによって、気道閉塞のリスクが減り、吸引回数が減ります。
脱水になると、脳内麻薬であるβ-エンドルフィンが分泌され気分がよくなります。
低栄養になると、栄養源として自分自身の脂肪が使われるため、ケトン体が増加して、自然に鎮痛鎮静効果がもたらされます。
人間の身体は、枯れるように死ねば、穏やかな最期を迎えられるようにできているようです。
ところが、終末期に点滴や経管栄養を行った場合、これらの恩恵を受けられずに、苦しむことになります。これが、欧米では人工栄養が非倫理的であるといわれるゆえんです。
欧米では「食べないことも権利」とされているのです。
しかし、日本の医療では栄養価の高い食品を勧めがちです。場合によっては、食べることを拒否している高齢者にも無理矢理食べさせることがあります。
その結果、食事でむせてしまい、肺に食物が入って、肺炎を起こしてしまうのです。いわゆる誤嚥性肺炎です。
人生の終末期を迎えた高齢者に栄養管理は不必要という意見は傾聴に値します。
●終末期医療の転換時
1981年の患者の権利に関する“リスボン宣言” では「患者は尊厳のうちに死ぬ権利を持っている」と謳われています。
そして、医療関係者によると、患者からは「私が望んでいるのは“安らかな死”です」という意見が多いとのこと。
また、延命措置について全国調査したところ、国民の8~9割が過度の延命措置を拒否するという結果が出ています。
ということは、現在行われている高齢者の終末期医療は、国民のニーズにも合っておらず、国際標準とも乖離していると言えるでしょう。
「ハリソン内科学」(アメリカの内科学の教科書)には「死期が迫っているから食べないのであり、食べないことが死の原因になるわけではない」と書かれています。
終末期の高齢者に胃ろうや点滴などの延命措置をしなかったら、「餓死させるのか」「飢えや脱水で、苦しんで死ぬのでは」といった批判を受けることがあります。
しかし、終末期の高齢者は食欲がほとんどなく、胃腸も弱り、食べ物も受け付けません。
そして、枯れるように死んでいくとき、苦痛もなく大往生に至ることが多いようです。
日本もこの辺で終末期医療のあり方を転換すべき時なのではないでしょうか。
●安らかに死ぬ権利を
今まで述べてきたように、点滴や経管栄養をしなくても苦しむことはないようです。むしろ最期まで話すことができて、安らかに亡くなっていくことも多いようです。
現在の医療は、たとえ亡くなることがわかっていても治療を続け、一分一秒でも患者の命を永らえさせることが至上命題でした。
患者が楽であるかどうかは考慮されていません。残念ながら、医療の発達が安らかな死を妨げている面もあると言わざるを得ません。
安らかに死ぬ権利を、もっとはっきりと認めるべきでしょう。
●死生観を明らかに
そのためには、死生観を明らかにすべきです。人間は何のために生まれ、死とは何を意味するのかが分かれば、終末期医療のあるべき姿が明確になります。
人間には魂があり、この地上で魂修行をするために生まれてきます。そして、人間には寿命があり、必ず死を迎えますが、実は永遠の生命を持っており、死は終わりではないのです。
ということは、この地上での命を大切にしつつ、死期が近づいたら、あの世への安らかな旅立ちを考えなければならないのです。
つまり、過度の延命措置は必要なく、逆にあの世への旅立ちを妨害する面があるということです。
親族にとってはつらいことでしょうが、これが真実です。
このような死生観が社会に広がれば、「終末期を迎えた高齢者には、濃厚医療を行う必要はない」ということが社会の常識になることができるのです。
その結果、幸福な死を迎えることができます。
死生観が明らかになることで、「安らかな死」を迎える人が多くなります。
その結果、親族の負担も減っていきますし、国家の終末期医療に対する財政負担も減らせます。
医師も裁判リスクや精神的ストレスがなくなり、患者本人のリビング・ウィル(生前の終末期医療の意思表示)といったものも必要なくなります。
やはり、死の本当の姿を明らかにできる宗教が必要不可欠で、そこに価値を見出している宗教政党こそが、終末期医療の正しい在り方を実現できると確信しています。
※参考文献
「欧米には寝たきり老人はいない」宮本顕二、宮本礼子/中央公論新社
「高齢者の終末期医療を考える」増田寛也+日本創生会議 編
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2、編集後記
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最近の活動としてミニ集会に参加する機会が増えています。
有権者の皆様の関心は、年金、医療、介護、経済などが多いですね。
本当は日本の安全、国防などが一番大切なのですが、実感として遠いイメージがあるようです。
今回は終末期医療をテーマにしました。ミニ集会などで関心が高いテーマです。
死の本当の意味を説明すると、多くの方が興味を示します。普遍的なテーマなのでしょう。
この辺の話をするとき、「宗教政党でなければ答えが出ない」と実感します。、
宗教政党であることを誇りに思う瞬間でもあります。
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◆ 江夏正敏(えなつまさとし)プロフィール
1967年10月20日生まれ。
福岡県出身。東筑高校、大阪大学工学部を経て、宗教法人幸福の科学に奉職。
広報局長、人事局長、未来ユートピア政治研究会代表、政務本部参謀総長、
HS政経塾・塾長等を歴任。
幸福実現党幹事長・総務会長を経て、現在、政務調査会長。
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