ユーロヴィジョン2017 ロシア不参加正式表明
2017年大会開催はキエフで
2016年5月スウェーデンのストックホルム開催された音楽祭典ユーロヴィジョン2016で、ウクライナの女性歌手Jamalaが優勝したので、大会規定により2017年の大会はキエフで開催することになった。これに向けて欧州各国では代表者選考会が開催され、2017年の代表者が次々に発表された。露の代表選考会は毎年3月に行われるが、今年は波乱に満ちていた。
予期せぬ代表者現る
露側では年明けてから候補者同士の熱い戦いが繰り広げられていた。最有力候補はウクライナ出身で代表選考選最多記録を持つパナヨートフ、ユーロヴィジョン2007で第3位を獲得したユニット「SEREBRO(セレブロ)」の元Voテムニコワ、「Ласковый май(ラスコヴィ・マイ)」の元Voを父に持つ2世アーティスト・ニューシャ。そして露音楽オーディション番組「ГОЛОС 5(ゴロス 5)」の優勝者アントニューク、音楽プロデューサー・トゥレツキー率いるグループ「ソプラノ・トゥレーツカヴァ」。しかし途中テムニコワ、ニューシャは代表者争いを辞退した。残る3組で熱戦を続けていた。
ところが3月12日、代表選考会側が突如一方的にユリア・サモイロヴァを推薦し、露代表とした。彼女は、13歳のときに脊髄性筋萎縮症を患い第1級障害者認定され車椅子生活を強いられているが、様々なオーディションに出場してきたポジティブな女性だ。そして2011~2013年に1TVで放映されていた音楽オーディション番組「ファクトルA(Фактор А)」で、主催した大御所歌手プガチョワから特別賞を受賞した経験を持つ。
しかし、この代表者決定には大きな問題があった。サモイロヴァは2015年夏にクリミアで開催された露主催の音楽祭典に出場したため、ウクライナ内務省がこの決定を「国内を撹乱するために露側から送られた代表者」と定め、入国の際には憲法に則り厳しく処罰する、と通告したのだ。
露側の意地 ウクライナ側の意地
欧州放送連合は「開催国の憲法を尊重しなければならないが、この決定に非常に落胆している。コンテストの精神と概念に反している。全国からの代表者全員が2017年大会に参加できるように、ウクライナ政府側と対話を続ける。」と発表した。同連合は障害者のサモイロヴァに深く興味を持ち、様々な提案を両国にしてきた。
しかし、露側は「衛星中継による参加は拒否する。」「ウクライナが彼女を拒めば、他数カ国が不出場を決めることになるかもしれない。」「今年彼女が出場できなければ、2018年に彼女を大会に送る。他のアーティストは考えない。」など強請った。
一方ウクライナ側も「彼女は3年の入国が禁じられているが、この執行日を取りやめる、或いは遅らせることには同意しない。」「入国できるのは、憲法に抵触しないアーティストだけだ。」と動じなかった。
このように平行線が続き、露は最終決定日3月31日に不参加を表明した。露抜きのユーロヴィジョン2017は、5月9日(準決勝第1戦),11日(準決勝第2戦),13日(決勝戦)に放送される。
(敬称略)
ユリア・サモイロヴァの公式ページ
http://www.jsvok.ru/