ピーター・バーガーの著作を読んで社会学という学問のおもしろさを知った者は数多い。
わたしもその一人で、バーガー社会学との出会いは、大学3年次(2年次だったかも)、K先生のゼミで、『現実の社会的構成』(The Social Construction of Reality、トーマス・ルックマンとの共著)を読んだことにさかのぼる。
本書では、宗教社会学、知識社会学、近代化論等、多領域にわたる研究歴、そのなかで出会った人々とできごととが時系列で綴られている。筆致は軽やかでやわらかい。
配偶者でもあったブリギッテ・バーガー、ブリギッテの弟のハンスフリート・ケルナー、ルックマン等との交流歴が興味深い。また、神学者でもあったバーガーが、マルクス主義者とニュー・レフトを毛嫌いし、「新保守主義」者を経て、穏健な「中庸」の思想をもつに至った経緯は、バーガー社会学を知識社会学的に読み直していくうえでの補助線となるだろう。
「十二番街のバルザック」をめざした学生時代から、世界中を駆けめぐる学者になった現在まで、その旺盛な活動の根底にあったのは、退屈させずに世界を説明したいという欲望。イリッチとの出会いなどの興味深いエピソードもまじえながらたどる、バーガー・ファン必読の学問的自伝。
目次
第1章 十二番街のバルザック
第2章 ありえない地平
第3章 派閥から挫折せる帝国へ
第4章 地球をトレッキングする社会学
第5章 あまたの神と無数の中国人
第6章 過てる政治的小旅行
第7章 ムブルワからギュータースローへ
第8章 ソロイストではなく指揮者として
第9章 第一バイオリンを弾く
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