もはや世界一といっても良いフランスの子育て支援政策の全体像が、一読してわかる好著。
ひるがえって、日本の少子化対策がいかにズレたものであるかがとてもよくわかる。
フランスのように、無痛分娩が選択でき、それに健康保険が適用されるとしたら、「死ぬほど痛い」がゆえに敬遠されてきた出産が、はるかにハードルの低いものになるだろう。
また、子どもが3歳から無償の「保育学校」に通えるとしたら?答えは明白だろう。
ただし、個人レベルでのフランスの租税、社会保険料負担が、北欧をしのいで世界一の水準であることに留意すべきだろう。「租税抵抗」がきわめて強い日本で高福祉高負担を実現するのは、現時点ではきわめて厳しい。
少子化を嘆きながら、子どもが憎くてしようがないとしか思えない国民感情も大きな障壁として立ちはだかる。
結局のところ、世襲政治家とそのお仲間たちによる利権獲得談合政治が一掃されないことには、充実した子育て支援策など、夢のまた夢である。
少子化に悩む先進国から、子育て大国へ。大転換のカギは、手厚い支援策の根幹を貫く新発想だった。「2週間で男を父親にする」「子供はお腹を痛めて産まなくていい」「保育園に連絡帳は要らない」「3歳からは全員、学校に行く」―。パリ郊外で二児を育てる著者が、現地の実情と生の声を徹底レポート。日本の保育の意外な手厚さ、行き過ぎにも気づかされる、これからの育児と少子化問題を考えるうえで必読の書。
目次
第1章 男を2週間で父親にする
あちこちに子連れパパが
14日間の「男の産休」 ほか
第2章 子供は「お腹を痛めて」産まなくてもいい
まさかの無痛分娩
より良いスタートのために ほか
第3章 保育園には、連絡帳も運動会もない
毎日の持ち物リスト?
フランスならストライキ… ほか
第4章 ベビーシッターの進化形「母親アシスタント」
母親アシスタントとは何か
「問題は、母親アシスタントの夫」 ほか
第5章 3歳からは全員、学校に行く
就学率ほぼ100%、無償の教育
入学の条件は二つ ほか
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