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本と音楽とねこと

いじめとは何か

森田洋司,2010,『いじめとは何か』中央公論新社.(11.21.2018)

 西ヨーロッパ社会でもいじめは深刻な社会問題である。おそらく、児童の抑制のきかない攻撃性と学校の教室の閉鎖性がある限り、どの社会でもいじめ問題はあるのだろう。
 西ヨーロッパでの先進取り組み事例から学ぶべきは、事件が起きるたびに対処療法的な措置で終わらせることなく、地道に、市民意識を涵養する教育を実践していくことにある。私事化が進む先進産業社会における子どもの攻撃性の抑制、これは普遍的な社会問題であり、マクロな構図のなかにいじめ問題を適切に落とし込んだ本作は、子どもの教育にたずさわる者には必読の文献である。

目次
第1章 いじめの発見
第2章 日本での三つの波
第3章 いじめとは何か
第4章 内からの歯止め、外からの歯止め
第5章 私事化社会と市民性教育
第6章 いじめを止められる社会へ

一九八〇年代にいじめが「発見」されて以来、三度にわたる「いじめの波」が日本社会を襲った。なぜ自殺者が出るような悲劇が、繰り返されるのか。いじめをその定義から考察し、国際比較を行うことで、日本の特徴をあぶり出す。たしかに、いじめを根絶することはできない。だが、歯止めのかかる社会を築くことはできるはずだ。「いじめを止められる社会」に変わるため、日本の社会が、教育が、進むべき道を示す。

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