
病気あるいは障がいを克服して、一般就労をめざすのではなく、無理に克服しようとしないで、「降りてゆく生き方」を肯定する、「べてる」流の価値観が許容されるようになれば、精神障がい当事者の生きづらさもずいぶんと軽減されるだろう。
これは、精神障がい当事者だけでなく、いずれ、病や障がいをもちながら生きていかざるをえない可能性が高い、わたしたち自身の問題でもある。
北海道、浦河―襟裳岬に近い海辺の町に共同住居「べてるの家」がある。病気や生きづらさを抱え呻吟の日々を送っていた人びとがここで出会い、集いはじめて二十年余り。メンバーはみずから会社をつくって、日高昆布の加工販売をはじめとする多彩でユニークな活動を展開している。そのモットーは「安心してさぼれる」会社だ。べてるのいのちは話し合いである。ぶつかりあい、みんなで悩み、苦労を重ねながら「ことば」を取りもどした人びとは、「そのままでいい」という彼らのメッセージを届けに、きょうも町へ出かけている。そんなべてるの力にふれるとき、人は自分自身への問いかけに揺さぶられ、やがて深く納得するのである。それぞれの人生を生きていくための、回復のキーワード。
目次
土を食む
マサルの幻聴
共同住居
管理ではなく ほか
場をつくる
町へ
べてるの家の本
いまのしあわせ ほか
灯をともす
魔性の女
病気のセンス
人と話すこと ほか
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