李琴峰,2024,シドニーの虹に誘われて,集英社.(11.20.24)
2023年、世界最規模のプライド・パレード「マルディ・グラ」に参加するため、7年ぶりに渡豪した著者。いたるところで11色のプログレス・プライド・フラッグがはためくシドニーの地で、何を見、何を思ったのか。一人の性的少数者として向き合ったこの国のLGBTの歴史とバックラッシュ、そして国会で成立・施行された「LGBT理解増進法」を巡る日本の状況を観照し、丹念に綴った長編紀行。
著者撮影による口絵写真2頁付き。
眠らない街を探訪したエッセイ「歌舞伎町の夜に抱かれて」も併録。
セクシャルマイノリティのための祭典、マルディ・グラへの参加体験とシドニー紀行の文集。
李琴峰さんは、このほど、自らが、レズビアンであることに加え、トランス女性であることをカミングアウトした。
トランス女性であろうことは推測していたが、確証がなかったし、あったとしてもアウティングになってしまうので、これまで言及しないできた。
トランス女性でレズビアン、これは李さんの属性の一部であって、そんなことより、すぐれた小説家としてのアイデンティティの方が、一読者としては重要だ。
セクシャルマイノリティの実存をめぐる闘いはまだまだ続く。