武川正吾,2009,社会政策の社会学──ネオリベラリズムの彼方へ,ミネルヴァ書房.(12.2.24)
新しい社会政策の概念に基づきながら、社会政策の理論・応用・実証について、社会学の立場から探求してきた研究成果の集大成。
骨太の論考集。
社会政策学は、雇用や社会保障における問題性とその解決策を講じる実践的な学問なのだから、そのときどきの政治権力と、ときには対峙し、ときには協働するのが筋である。
にもかかわらず、社会政策学は、ほとんど政治的アリーナの蚊帳の外に置かれ続けてきた。
雇用や社会福祉の政策を検討する審議会には、政治家、官僚、労組と経営者団体の代表者、そして社会政策学の専門家が参加するのが、自由権と社会権が保障された民主主義社会、とくにコーポラティズムに立脚した福祉国家の鉄則である。
しかし、この国の意思決定の場には、政治家、官僚、経営者団体しかいない。
ネオリベによる雇用と社会保障の劣化がどうこう言う以前に、こうした不公正で低劣な政治のありように異議を唱えなければいけないように思う。
目次
福祉国家の形成と“社会政策の社会学”の成立
第1部 社会政策の理論
社会政策・社会行政論の基礎概念
社会政策と社会的価値
社会計画論からみた社会政策―イギリスにおける理念と実際を中心として
第2部 社会政策の応用
社会政策における参加
社会政策としての住宅政策
戦後日本における地域社会計画の成立と展開―一九六〇~二〇〇〇年 ほか
第3部 社会政策の実証
高齢者向け福祉サービスにおける必要判定基準の作成と必要量の推計
政府の政治的性格と社会保障財源
福祉国家レジームと社会保障財源 ほか