
国税OBの税理士であり、相続を専門にされている阿藤芳明先生が書かれた「相続財産は法人化で残しなさい」(幻冬舎・経営者新書)を週末に読んでみました。
所有財産のほとんどが不動産である資産家の方が、不動産管理会社を設立・運営する場合の注意点が、税務書OBの視点から、より具体的にコメントされている点がとても参考になりました。
不動産管理会社の類型には、「不動産管理型法人」と「不動産所有型法人の」の2種類がありますが、「管理型法人」は既に過去の遺物であり、現在では「所有型法人」を作ることが相続対策上、効果的であるというのが、この本の著者の主張です。
「不動産所有型法人」を作る場合には、将来被相続人となる親ではなく、相続人となる子供が出資をして、親から収益物件の建物のみを購入し、収益物件から入る収入を子供たちに分配するスキームを推奨しています。
このスキームでは、譲渡する個人側の譲渡所得税と取得する法人側の不動産取得税と登録免許税が問題になりますが、譲渡益が出ず、かつ不動産取得税と登録免許税が安い建物のみを譲渡することがポイントになっています。
この方法は、何も当該著者が考えたスキームではなく、相続対策を行っている会計事務所では、普通に行っているものですが、このスキームを国税側から見た場合、どのようにうつるのかというポイントが書かれているため、大変興味深く読むことができました。
本書は全159ページの新書であり、専門家であれば、1-2時間で読んでしまう程度の内容です。一般の方が読んだ場合でも、一部難しい箇所もありますが、1-2日で読破可能であると思います。
当事務所では、相続対策が必要なお客様に対して、オーダーメイド型のスキームを構築し、実施の支援を行っています。初回ご相談は無料ですので、気軽にお問い合わせください。