空風

詩&小説や日常生活を書いたりしています。
只今短詩に挑戦中。
目標:一日一更新。

【PSO2捏造小説】日常に消えた腕

2014年08月09日 14時39分53秒 | PSO2

・若干ホラーチックなお話
・意味不明系
・だけどパラレルとかそういうことじゃない






 朝起きたら右腕がなかった。最初見たときは自分が寝ぼけているんだと思って驚くことはなかった、けれど顔を洗っても少しストレッチしても朝ご飯の準備をしていても、右腕は私の視界から一向に戻ってこない。なくなってしまったはずなのに、痛みはない。感覚もない。何もない、まるで以前から私の右腕は存在しないかのようだった。おかしいな、左腕はいつも通りあるのに。
 解けない疑問に少し困惑しつつも完成した紅茶をすすって、そこで気づく。いつものようにカップの取っ手を持って飲んでいるこの行為を私は何の支障もなくこなしている、けれど作業する際に必要な右腕は今ここには存在しない。存在しない右腕の代わりに左腕が動いているのかと思って見てみたけど、私の左手は何も掴んでいない。依然として右腕と右手は行方不明のままだ。
 そうか、右腕はないけれど、確かにあるのか。おかしなことではあるけれど、カップが浮かんでいて飲みたいときには自分の口まで移動しているんだから、つまり、そういうことなんだ。


(よく分からないけど、そういうことなのかな)

(そういうことがどういうことだか、サッパリ分からないけど)


 結局何も分からずに紅茶を飲んで、ないはずの右腕でご飯を食べて、片付けようと台所に持っていく途中で連絡が届いた。確認しなくても分かる、任務の誘いだ。片付けが終わったら後はやることなんてなかったから「行きます!」と即答して、その後に思い出す。今私の右腕がないことを。
 しまったな、と思ったときにはもう通信は切れていた。断るべきなのかと考えて、数秒後にはまあいいかと途中だった食器運びを再開する。

(もしかしたら、皆も腕がなくなることくらい当たり前なのかもしれない)

 そうだ、私が知らないだけで、皆にとってはいつものことなのかもしれない。いっそのこと尋ねてみようかな、と考えながらたてかけていたソードを掴んだ。ないはずの右手が掴んだソードは宙に浮いて、背中に移動する。その一連の動作に、何の変わりも支障もない。さっき紅茶を飲んだときもそうだ、右腕は確かにないはずなのに、本来ならあるはずの「不自由さ」が何処にもないんだ。

(おかしなこともあるものだなあ)



******



 待ち合わせの時間より少し遅れて到着した。なくなった腕のせいで着替えが困難に…という理由ではなくて、どの服を着ようかと悩みに悩んだ結果だ。これもいつもと変わりない、から皆は遅れてやってきた私に「遅いぞ」というだけだ。
 そう、それだけだった。立ちすくむ私のいつもとは違う雰囲気に、他のメンバーが心配そうによってきた。

「どうしたの?何か悩み事でもあるの?」

 そう尋ねてくるメンバーの後ろからもう一人、私の元へ駆け寄ってきた。彼女も少し心配そうに私の顔を覗き込む。

「悩み?それとも体調悪いのかな?もしそうなら、無理しないほうがいいよ」

 仲間からの優しい言葉に、大丈夫!と笑みと一緒に答えた。なんてことない、いつもの私に戻ったと思われたんだろう。何かあったら言ってねと気にかけてくれた後は、いつもと変わらない空気が戻ってくる。任務を受注し終えてやってきたメンバーが最終チェックをすませる光景も、変わらない日常だ。
 なのに腕は一向に日常へ戻ってこなかった。皆と話している最中に戻ってくるんじゃという予想(希望とも言う)は外れた。
 何より予想外だったのが、皆、私のなくなった腕について全く触れなかったことだ。見えていないのは私だけということなのか、はてまた「腕が存在していない」ことが普通なのか。どれだけ考え込んでもさっぱり分からなかったので、思い切って尋ねてみることにした。
 最終チェックも終わらせ、あとはキャンプシップへ飛び乗るだけというときに、おかしなお願いをする。


「…お願いがあるんだけど」
「ん、何何?」
「右腕、掴んでみてくれるかな」

 私の突然のお願いに、少し首をかしげながらも彼女は手を伸ばした。細い指は、掌は、何もない空間を掴む。感じるはずの人肌は、どんなに神経を巡らせても感じることが出来なかった。


******


 あの後、早く来いとキャンプシップに既に入ったメンバーに急かされて、二人で慌てて中へと入った。それからは特に何もなかった。ないはずの腕が背中に装備していたソードを掴み、引き抜いて、エネミーを斬りつける。
 誰も異変に気づかない。何も変わらない光景の中で、私だけ違和感を感じるなんて、本当におかしいなと思った。思いながら、いつものように振る舞う。斬られて消えていくエネミーたちの最期と、今の私の存在しない腕に似たものを感じて少し怖くなった、それ以外は私も同じだった。

 任務が終えてからも、変わりはこなかった。痛みも冷たさも熱さもないので、夜には腕がないことさえも「いつものこと」で片付いてしまいそうだった。
 だけど非日常の終わりはとても呆気ないものだった。次の朝には、右腕が戻ってきたのだ。念のために腕と頬をつねる。もちろん、痛い。そこでやっと、非日常が、おかしさが消えたのだと実感することが出来た。



 チームルームで怪我していないはずの右腕を擦り続ける私に、メンバーは昨日と同じように首をかしげる。その顔を見て、昨日聞くはずだった質問を投げかけた。

「昨日はごめんね、突然。実は突然腕がはなくなっちゃって~」

 ケラケラと笑う私とは対照的に、彼女は不可思議だと言わんばかりの表情だ。

「・・・腕がない?ナユちゃんも義手だったっけ?」

「義手?違うよ」

 彼女の片腕は義手だということは前に聞いたことがある、けれど私の手は、腕は両方とも血が通っている。最初彼女の言っている意味が分からなかったけれど、少し考えれば何となく分かった。突然私が「腕がない」なんて言ったから、腕がない=腕が外れたと思ったのだろう。確かに義手や、もしかしたらキャストもそういったことがあるのかもしれない。だけど私の両腕は取り外しなんて出来ないし、私はキャストじゃない、ヒューマンだ。
 しばらく彼女と話をしたけれど、どうも話が上手くかみ合わなくて、お互い首を傾げ続けるという可笑しな展開となってしまった。任務があるから行かなくちゃ、と行ってしまった彼女の背中に、つき合わせちゃってごめんと手を合わせて謝った。彼女との話はかみ合わなかった、けれどそのことで分かったことは、やはり皆には私はいつも通りの、両腕のある姿が見えていたということと、腕がなくなるなんていう奇怪現象に遭遇したことはないということだ。チームルームで一人、じゃああれは何だったんだろうと考えに考えても、答えは見つからない。楽観的な私の頭は、まあいいかと事の真相を徹底追及することをやめた。腕が現れた、いや見えるようになったんだから、それでいいじゃないか。そうだ、次に腕がなくなったときに考えればいいことだ。



 次なんて、あるのかな?

日常に消えた腕

 楽観的な私でも、その仮説を笑って否定することが出来なかった。


【PSO2捏造小説】やみよい

2014年06月26日 11時07分58秒 | PSO2


・闇を抱えた男と、闇を飲んだ男と、闇を抱いた女と、闇の街。
・またしても色々勝手に使わせていただいてるので性格違うぞとかあります
・メンゴメンゴ





 私は過ぎてしまった「あの日」にいた。間違うはずがない、「あの日」に受けた痛みも重さも、今同じように感じているのだから。しかし過去に戻るなど出来ないことも分かっている。つまり、これは、夢だ。悪夢を見ているのだ、私は。
 しかし冷静になろうとする自分を押しのけて、悪夢に浸ってしまっている自分もいる。変わるはずのない、変わったところで現実は変わらない夢の中で、さまよい続ける自分が。

 傷は深く、どれだけ手で抑えても血が止まらない。身体から抜けていく血液に入れ替わって強烈な痛みが全身を巡っていく。気を抜けばその場で失神して倒れてしまいそうだ。しかし私はここで意識を手放すわけにはいかない。宛てもなく足を動かし、身体を引きずる。動けば動くほど目の前が暗くなっていった。
 それでも止まるわけにはいかないのだ。


「・・・息子は、私の、息子は、息子は、息子は、」

 息子は何処だ。



***



 飛びそうになる意識に喝を入れた、そこでやっと今にまで意識が戻った。広がる漆黒に寂れ建ち並ぶビル、あまりに少ない街灯、一目見ただけで一般市民ではないと分かる人たち。一体ここは何処だと辺りを見回そうとして、ズキリと頭が痛む。突然の頭痛に手で顔を覆い、何度か深呼吸したところで、思い出す。
 そうだ、私は・・・任務が終了した後、息子の痕跡はないかと捜索に熱が入りすぎてしまったのだ。そこから意識も記憶も曖昧になってしまっている。任務が終わったときはまだ明るかったはずが、今では何処にも光はない。それだけ長い間私は徘徊し、この危険な匂いが充満する街へ辿りついてしまったようだ。
 あまり長居していてはいけないと、長年の経験で培われてきた勘が警報を鳴らす。今後の任務遂行と捜索に支障をきたしてはいけない、早くここから出なければ・・・しかしこの街へ来たのが今回が初めてなので、出口を探そうにも何処にあるのか検討もつかない。もし見つけたとしても、そう簡単に出ることは出来ないだろう。人に聞くのも得策ではない。試しにマップを起動してみたが、予想していた通りこの街全体が情報を遮断しているらしく、手がかりを得ることは出来なかった。

 出たくとも出られない。どうしたことか、と考え込んでいたそのとき背後から声をかけられた。

「・・・見たことある姿だと思ったら、係長さんじゃねえか」
「・・・貴方は」

 聞きなれたその声に振り返る。銀色の髪に、漆黒の街と同化するような黒のコート、ダークレッドのゴーグル。そしてそこから見え隠れする傷。間違いない、見間違うはずがない。
 なぜなら彼は、我らがチームのマスターなのだから。

「・・・お久しぶりです、クロウさん」
「おう、久しぶり」

 空の色と同じ深い闇と似た空気に包まれた細い道路の真ん中で、場違いな挨拶を済ませる。最初声をかけられたときは警戒してしまっていた武器に手をかけそうになったが、彼だとわかってからは緊張の糸が一気に緩んだ。もちろん、最低限の注意は払い続けたままだが。

「しっかし、久々の再会の場がまさかここになるとはな」

 皮肉そうな笑みを浮かべる彼につられるように、私も苦笑する。

「少し、考え事をしていまして。気がついたらここにいました」
「はぁ、なるほどな」

 笑みを浮かべたまま、彼はそれ以上のことを尋ねてはこなかった。私も同じく、彼に「何故ここにいるのか」などという無駄な質問はしない。
 お互い、相手の情報は最小限しか知らない。しかしそれがいいのだ。わざわざ込み合った長話をしなくても通じ合っている。性質は異なっていても、深い闇を抱える者同士、分かりたくなくても分かってしまうものだ。

 彼はニヤリと口角を上げた。

「丁度良い、俺は今からここを出ようとしていたところだ。一緒に来るか?」

 この街のことを知り尽くしているであろう彼の提案に、乗らない理由がない。

「是非、お願いします」
「それじゃあ行くか。くれぐれも迷わないようにな」

 そう言い背中を向けて歩き出す彼の後ろについていく。階段を下り、細く入り組んだ路地を抜けて、また階段を下りていく。下へ、下へと向かう道は、まるで闇へ誘われているようだと思った。しかし私にはこの街から抜け出すための知識は何一つない。出口を知っているという男のことなどほとんど知らないが、信じるしかない。空の闇は先ほどよりも濃くなっていた。
 また細い路地に入って数歩歩いたところにあるドアに、彼が手をかけた。中に入る後ろを慌てて追いかけて、部屋に入る。そこは少し埃っぽいものの、センスの良さが伺えるバーのようだった。奥のカウンターのイスに座る彼の隣にまで近寄ると、彼はまた笑う。隣に座れと。

「時間があるならの話だがな。もし急いでいないなら一杯どうだ?」
「いいですね、ぜひ」

 私が誘いに乗ったことを確認してから、彼は人差し指と中指をあげてカウンター奥にいるマスターにグラスを要求する。しかし何故かマスターは怪訝そうな顔をして、口を開いた。

「奥の方は?」
「え?」
「はあ?」

 突然の予想していない問いに、隣のクロウさんと丸くなった目を見合わせた。恐る恐る後ろを振り向いた、そのときやっとマスターがどうしてあんな顔をしたのか分かった。


「私も入れて」

そういって間に入ってきたのは、16,7ほどと思われる華奢な身体をした少女だ。しかしその目つきは年齢不相応で、まるで何か獲物を探しているような、狩りの目をしている。そしてどこか妖艶な空気を身にまとう少女を、私は知っている。

「お前は、」
「オトナシよ、マスター。お久しぶり。貴方は係長さんだっけ?貴方もお久しぶり」

 そう言って笑う少女に、苦笑しか返せなかった。クロウさんはと言うと、邪魔だという思いを一切隠さず視線で突然乱入してきた少女を貫いている。そんなことにはスルーして、彼女は、オトナシさんは含み笑いを浮かべたままだ。

「実はね、私も迷ってここに来ちゃったの。帰りに貴方たちを見つけたからつい」

 ざわりと全身に謎の感覚が広がったため、慌てて見ると、彼女の手が私の足を上から下へ流れるように触っていた。ただ触るのではなく、身体の奥にある快を引きずり出そうとしていることは明白だった。私だけではなく隣にいるクロウさんにも首筋から下へと手先を動かしている、その姿は見るだけでも官能的だ。

「ねえ、私ヒマなんだあ。一緒に遊ばない?貴方たちならサイゴまで付き合ってあげる」


 彼の目は奥の奥まで冷ややかだった。

「悪ぃな、今日はその気になれねえんだ」
「その言葉、前にも聞いた気がする」
「そうか、じゃあ一生聞き続けるんだろうよ」
「ケチ」

 そう言う彼女の言葉からは悔しさなどない。分かりきっての行動だったのだろう。彼の首筋をなぞっていた手を引っ込めた彼女の視線は、私に移る。首を横に振れば、足を撫でていた手も同様に離れていった。少し惜しかったな、などと思ってはいない。そんな私の思いを見透かしているのか、彼女は私に向けて少し舌を出した。

「・・・遊べないんじゃ、仕方ないわね。私も酔っちゃお」
「お前の分はださねえよ。自分で払え」
「ケチ。本当に、ケチね」

 二人のやり取りに少し笑って、私も出されたグラスに注がれた酒を飲み干す。少し頭が回る、相当強いようだ。
 丁度良い、この酔いで先ほどの邪念も己の闇も隠してしまおう。帰りの道は、保障されている。


やみよい

【PSO2捏造小説】無数の白と孤高の黒

2014年06月23日 00時01分44秒 | PSO2




*この前盗み聞きした内容から勝手に妄想しているので多分色々間違ってる
*許してください。メンゴメンゴ
*この前に書いたやつの若干の続きでもある






 今思い返せば、なんとまあ気色の悪い光景だ。しかしあれが全てだったんだ、他の「俺」にとっては。


 何の飾り付けもされていない、窓もない質素極まりない部屋に並べられた無数の体、無数の生命。しかしそれらに心は存在しない。「兵器」に心など必要ない。存在すればかえって作戦に支障をきたすこともある。
 つまり、それだけの価値だったというわけだ。「主の命に従う兵器」に以上も以下もない。過去も未来もない。与えられる一つだけの命に今を捧げるそれだけだ。
 並べられた人の山、その向こうに立つ「主」の顔から表情は読み取れなかった。連日行われるこの行為に、何の感情も抱かないのだろう。細い眼は何処を映すこともなく、いつものように口が開く。「闘え」「この戦いが終わるまで(その生命が尽きるそのときまで)闘え」と。

 与えられた命に何の抵抗も考えもしない列の中で、何故かは分からない、俺だけが逆らった。無数に並べられた俺の中で、俺の知り得ない過去に散った数え切れない俺の中で、「主」の命に抗った。
 もちろん表立って反対したわけではない。そのときだって口を閉ざし周りと同じように行動した。ただ他の俺のように自分の限界も考えず突っ込んでいくわけではなく、自ら作戦をたて生き残るように行動する。次々と積み重なっていく俺の屍に背を向けて、命に抗い続けた。この動きも主に勘付かれてはいたが、特に何か言われることもなかった。
 なんの迷いもなく全力を尽くして散る俺の姿を見ていく中、一度足りとも葛藤がなかったといえば嘘になる。ただ「嫌」だった。大量にいるから、作れるからと投げ捨てていくだけの粗末な作戦も、何もかも。


「死んでもゴメンだな、俺は」



******



「使い捨てのように戦場へ送り出していたお前が、今では私の命綱になっているのだから不思議なものだ。どんなに時や現状が変わろうとも、私とお前は、まだ生きている」

 久々に自然治癒ではすぐには治らない深傷を負ってチームルー厶で休んでいる最中に反響する声。舌打ちを打てば後が怖いことは、80年という歳月が教えてくれる。だから存在に気づいたあとも、口も目も閉じたままにした。その態度に呆れたのか知らないが、近くでふっと笑った後で、また話が再開する。

「…あまり長い間休まれても困る。さっさと傷を癒せ。それぐらいお前には簡単なことだろう」

 また無茶苦茶なことを言う。とにかく間を省略しすぎなのだ、この女は。この「主」は。クスクスと笑い続けている様子から、どうやらあの時のことを思い出しているらしい。気づかれぬようについたため息が、睡魔を誘ってきた。断る理由もない、むしろ好都合だ。
 逃げてしまおう、あの時と同じように。



無数の白孤高の黒



「フン、寝たか。まあいい、早く元に戻れ。(私の命に打ち勝った)お前なら(死の誘いを断るぐらい)簡単なことだろう」



【PSO2捏造小説】雪と土と赤が飛ぶ

2014年05月02日 00時24分38秒 | PSO2


*以前見た呟きから勝手に妄想

*ちょくちょくチムメンの名前とか勝手に使ったり死にかけさせたりしているけどメンゴメンゴ!
*口調とか性格とか完全に把握してるわけじゃないから変だろうけどメンゴメンゴ!




 ツインマシンガンを背中に、降り立った凍土を駆ける。口からとめどなく吐き出される吐息は、どこまでも白かった。

 1時間前、特に任務もなかったので部屋でのんびりとしていたときにやってきた通信。まだ決心がついていなかったその頃、「もし手が空いてるんだったら、手伝ってくれないかな?」という珍しい頼みにも、すぐに首を縦に振ることが出来なかった。何か理由をつけて断ろうかと考えていたとき、一緒にいくメンバーの中に憧れの人もいることを知って、思わず行くと答えてしまった。
 言ってから断るという無礼な行為はさすがに出来ず、通信が終わってすぐに、大慌てで支度をした。未だ撃つことに抵抗を感じるものの、自分を守るためにもと机の上に置いていたツインマシンガンを手にとって、部屋を出た。

 任務先である凍土のあるエリアに到着してすぐ、レーダーを確認した。もう皆は最終エリアまで向かったらしい。エネミーは先行した皆が道中で倒していったのだろう、いつもならエネミーが現れる場所も何事もなく進んでいくことが出来た。といっても、全てのエネミーを倒しきったわけではないから、何の変哲もない雪の山から突然イエーデやガルフルが出てくることもしばしばあった。それらを何とか回避しつつ、次のエリアへ入る。
 またレーダーを起動すると、仲間の位置がそう遠くないことが分かった。エリアの奥まで進んでいないことから、まだ任務は終わっていないようだ。ほっと胸を撫で下ろして進んでいった、その先にあったのは「惨状」だった。

「なに、これ・・・」

 周りの木々は大きな切り傷が複数回ついているか、切り倒されている。それだけじゃない。土壁も所々崩壊していて、地面や壁から普段見えない土の色が露出しているのだ。とても足の踏み場が悪い。
 ・・・こんな凍土、見たことない。
 衝撃の光景に戸惑いつつ、何とか木々や岩を乗り越えて向かった先には、自分の背丈よりも大きい岩と、そこから向こうを覗き込む仲間二人の姿があった。一人、ナユさんが振り向き、私を見つけると笑顔で手を振る。特に目立った傷もない様子に安堵して、私は二人の元へ走った。そこで、大事なことに気づく。

「あの、クロウさんは?」
「いるよー、あっちに。今は見えないけど」
「見ます?あれ」

 二人が指差す岩の向こうが気になって、私も岩陰からそっと覗く。


「あっ・・・!」

 そこには、先ほどの道中よりも木々が倒され、雪と土がぐちゃぐちゃに混ざり合う荒れた凍土と、黒いキャストがいた。ダブルセイバーを片手に、殺気を帯びた鋭い眼光で周りを見るその姿を、私は知っている。

「あの人、は」
「エリア入ってすぐに見つかっちゃってねえ」
「つけられてたのかもしれませんね、カラテーちゃん可愛いから」
「えっ」
「え?」

 暢気にそんな会話をする二人を尻目に、私は冷たい凍土の中で汗をかく。カタカタと震える体は、寒さのせいだけじゃない。ああやって血眼になって探しているということは、つまりまだクロウさんは見つかっていないのだろう。けれど、そう遠くに逃げも出来ていないはず。憧れの人の絶体絶命の状況に、私は底知れない恐怖を感じた。

「助けに行かないと・・・!」
「やめたほうがいいよー、あんな状態のシニスターさんは会うもの全て敵!状態だし。あとで連絡いれるってクロウさんも言ってたし」

 困ったように笑いながらキャストの後姿を見るナユさんの隣で、カラテーさんが通信を受け取った。そこから微かに聞こえる声は、まさしくあの人のものだ。

『カラテーXか』
「カラテーちゃんって呼んでください」
『俺を置いて先に任務に行ってくれ。俺は何とか奴をまいて脱出する』

 カラテーさんの言葉を無視してそう伝える声の合間、何度も吐息が聞こえた。きっと私がここにくるまでに壮大な逃走劇が行われていたに違いない。疲れを感じさせる声と惨状から、簡単に推測できた。

 先にいけ、と言われても、憧れの人を置いていくなんてことは私には出来ない。


「よーし、それじゃ先に、」

 そう言い出したナユさんを無視して、岩の向こう、キャストに向かって発砲する。ツインマシンガンから放たれる幾つもの弾丸を、私たちに背中を向けていたはずのキャストは目にもとまらぬスピードで避ける。先ほどまで周りを睨み付けていた目は、目線は、武器を構える私を捕らえた。
 先ほど感じたものよりも数倍、数十倍の恐怖が、身を襲う。震えが止まらない。逃げ出したい。そんな臆病な心の内を自分自身で叱り付けて、駆けた。頭で考えるよりも先に体が動いて、また引き金を引く。だけど弾丸はキャストのボディをかすりもしない。標的を私に変えた瞬間、目線だけでなく、体の向きも変えて、キャストはグンと私のほうまでやってきた。近づいた、と分かったときには、ダブルセイバーが振り下ろされそうになっている。このままでは危ないと分かっているのに、そんなときに限って体が動かなくなった。

 次の瞬間背中を強い力で引っ張られて、目の前、私とキャストの間をソードが割って入ってきた。刃と刃がぶつかりあって、鈍い音が凍土全体に響き渡る。

「カラテーさん、ぐっじょっぶ!」
「マグロじゃなかったら危なかった」

 そんな抜けたやり取りも、今の私には何も入ってこなかった。キャストのぎらついた目が私だけじゃなく、他の二人も捕らえる。このままじゃ二人も危ない、という新たな危機に直面したそのとき、何処からともなく発砲音が響いた。


「・・・俺はここにいるぞ」

 その声に反応するようにキャストは顔を反らして、ダブルセイバーを引いた。次の瞬間には私たちに背を向けたキャストの頭の中にはもう、私たちなんて存在していないようだ。キャストは「そこか」とつぶやいた瞬間、少し離れた岩に向かってダブルセイバーを投げつける。衝撃に岩は粉々に砕け散り、粉が飛んだ。

「今のうちに行け!」
「おーけー!」

 次の瞬間、腕をつかまれて、いつの間にか設置されたテレパイプの中に入れられる。混乱した頭の中、私は憧れの人の名を叫んだ。

「クロウさんっ!」
「大丈夫だって、多分!」
「それじゃあ先に行ってますね」

 手を伸ばし助けようともがいたものの、私はキャンプシップへと連れ戻された。

***

 シップに戻って、チームルームで帰りを待つ間も、私の心が落ち着くことはなかった。後悔が重くのしかかってくる。立ち向かっても意味がない、分かっていたのに。イスに座って手にあるツインマシンガンを呆然と眺め続けながら、他の二人と一緒に、憧れの人の帰りを待ち続けた。

「それにしても遅いですね」
「どうせ帰りに気に入った巨乳の子でも見つけて口説きでもしてるんじゃないんですか」

 重い空気の私は対照的に、二人はどこか楽観的だ。分かっている、ネガティブな持ちようのままになっても、事態は一向に好転しないことは。それでも何の理由もなしに大丈夫だ、と考えることは出来なかった。もしかしたら、もしかしたら。最悪のケースが頭を何度もよぎって、何度も吐き気がした。涙も出そうになった、そのとき。

「・・・あ、帰ってきましたね」
「本当だ、おーい!」

 二人の声にハッと顔を上げ入り口に目を向けた、そこには、傷だらけでボロボロの格好のクロウさんがいた。壁に寄りかかって顔をうつむかせているから表情は分からない、けれど、どこも出血が酷い。

「だっ・・・大丈夫ですか!?早く、メディカルセンターに・・・!」
「大丈夫だ、少し横に、なれば、」

 そう言って、倒れそうになる身体を慌てて抱きとめた。息が荒い。近くで見れば、顔色も酷い。三人がかりでゆっくりと身体を寝かせて、持っていたハンカチで血で汚れた箇所を拭いていく。

「ざっと見たところ、出血は多いですけど、致命的な傷はなさそうですね」
「凄い、キャストって見ただけで分かるんだ」

 カラテーさんの言葉に少しだけほっとしたけれど、不安を全て拭うことはできなかった。憧れの人の危機を私が招いた、その責任はどう言い訳しても消えるものではないから。よほど不安そうな顔をしていたのか、死んだように眠る人の顔を見つめる私に、安心して、と言葉が降りてくる。

「この人、私たちより回復が早いんだって。一応のこともあるからマリアさんも呼んだし、大丈夫だよ」

 目頭が熱くなる。蝶と花の刺繍が入った白かったハンカチが今では、どこまでも赤かった。


雪と土とが飛ぶ

【PSO2捏造小説】飛べない鳥は英雄になりたい

2014年02月19日 23時35分25秒 | PSO2

*PSO2のストーリーを元に、自分のキャラやら何やらを入れ込んだ文章
*前に書いたシリーズ(?)とはほぼ関係ない
*チムメンを勝手に使って非常に申し訳ないと思っている。だが私は謝らない
*「エシュリオーヌ」ではありません、「エリュシオーヌ」です。だが私は訂正しない

使えない鳥に一部のチムメンが絡まれるハートフルストーリー(笑)





「お前に俺のエシュリオーヌは渡さない!だから決して拾うな!あれは俺のものだ、お前のものではない!絶対にだ!」
「わかった、分かったっつってるだろ!作業させろ!」
「逃げるな、俺の話を聞きなさい!」
「いい加減にしろ!」

 天気の良い(といっても、毎日の天気が快晴に設定されているためだが)日、外ではチラチラと雪が降る中、チームルームでは非常に大きな声が響きわたっていた。部屋には数人と、一匹・・・正確には数人の中に含むべきなのだが、ここではあえて、分けて数えることにする。
 言い争っているというよりは一方的に喋り倒しているといったほうがいいだろう、その張本人があえて分けて数えた”一匹”である。喋らなければ非常に愛くるしい「ラッピー」のフォルムで多くの人を和ませる(ごくわずかに愛しすぎて言動がおかしくなる者もいる)のだが、実際のところこの「ラッピー」は喋らないことがほとんどない。まだ喋る内容が普通ならば誰も迷惑することはないのだが、残念なことに内容もぶっとんでいた。

「すみません、少々お聞きしたいことが」
「あ、今はですね・・・取り込み中のようなので、もう少し待つ必要がありそうですよ」
「取り込み中・・・っていうより、言いがかり中って言った方がよさげだけど」

 ラッピー(?)と、そのラッピーに「言いがかり」つけられている男(これでもチームマスターである)の後ろで様子を伺う数人。部屋に入って間もない彼も、様子を見ただけで状況を瞬時に把握したようだ。「これは、長引きそうですね・・・」と呟いた。見ただけでどれだけ時間がかかるか分かってしまうほど、この光景が日常茶飯事となっていることを物語っている。今日はまた熱の入った言いがかり具合である。中々終わりそうにないなこれは、と少女は持ち込んでいた機材を両手で回し遊びながら考えた。入室して間もない男は次の緊急までに話が聞けるかどうか、もし駄目だった場合はと計画を練り始めた。もう一人の男はチームカウンターで触覚をひょこひょこと揺らすもう一匹のラッピーに目を奪われていた。

「おい、お前等!暇そうにしてるならどうにかこいつ」
「目線を逸らすな!私の目を見なさい!話を聞きなさ~い!」
「ちょっと黙れ、ウィークバレット貼るぞ!」

***

 ナユ、もといラッピーは考える。自分は正義なのだ、だからもっと動けるようになりたいと。
 腕を磨くために一時期、一日TAで走り回ったこともあった。残念ながら力はそこまでないため難易度はノーマルであったが。それでも一人で走り、倒し、リリーパを吹き飛ばしてきた。マグも新調した。技力が51と「絶対振り間違えたな」と思われそうな(実際そうなのだが)仕上がりだが、それでも以前と比べれば強くなった。
 それでも中々うまくはなれない。TAナベリウス2にいたってはファングパンサー・パンシーで途中分かれた仲間が応援にかけつけてくるぐらい上手くはない。ぶっちゃけていうと弱いのである。ガードも出来ず、ハンターのスキルであるオートメイトも振らずで、何度ものたれ死にしていた頃に比べれば良い方ではある。しかし周りのチームメイトたちと比べれば弱い。自分の弱さにえぐえぐと泣けば「大丈夫?」と掛けよりながらボスを数発で倒すようなチームメイトと比較しては駄目なのだろうが。
 そこでラッピーは考えた。もっと手早い力の付け方を、と考えに考えた結果出てきたのが武器や防具の新調だった。失笑されかねない発想だが、未だ防具が★7のクォーツセットだったため、★10防具に変えた結果、防御力がぐんと伸びた。次は武器だ、ソードだと強くなった自分を頭の中で想像しつつ狩りにでかけたが、そう簡単にはいかないものである。強い武器が見つからないのである。いや、この一文には少し語弊がある。「使うことの出来る」強い武器が見つからなかった。ラッピーはHuFiなのだが、何故かランチャーやツインマシンガンのレア武器はよく出た。一時期高値で出回っていたツインマシンガンを早々に2個拾った。Guからすれば羨ましい限りだが、そのころのラッピーはGuの職すら持っていなかった。まさに宝の持ち腐れ状態だったのである。
 周りがどんどん強くなっていく中で、未だカグダチのラッピーは焦った。焦れば焦るほどレアは出現しない。ふと昔の事件を思い出しては歯を食いしばり、焦ってまた出ない。そんなことを繰り返していく日々の中、一筋の光と可愛らしいパセリ(正式名称フォトンツリー)をむしり食っている途中で、ばったりとマスターと出会ってしまったのだ。フラッシュバックする昔の事件。今一番強いソードが遺跡にあるらしいから行ってみようと言われて行ってみたら出てきた最強ソード、拾ったのはマスター。上手く飲み込めなくてむせそうになるパセリ。拾えないレア―――

 いつもより熱の入った言いがかりは、一部そんな焦りから来ていたのだろう。


***


「俺が強くなることが怖くてエシュリオーヌを隠し持っているのだろう、さあ早く出しなさい!返しなさい!」
「隠すどころか拾ってもいねーよ・・・」

 チームルームで続いていたラッピーの怒濤の言いがかりは、一瞬の隙をついて男が言った「気分転換に少し外に出ませんか?」という助け船によって幕を閉じた・・・わけではなかった。場所を変えてショップエリアに来たものの、ラッピーはここでも粘着し続けた。あまりの粘りに皆何も言えなくなり、ただただラッピーと男の後ろを着いて歩き、見守ることしか出来なかった。マスターに至っては先ほどまで張り合ってた声のトーンがどんどん落ちてきている。
 折角の助け船も、まさかのラッピー同乗では意味がない。一瞬にして泥船と化してしまった。どれだけ言っても続く言いがかりに、全くらしくもないが涙が出そうになる。俺はチームマスターだぞ、という今まで一度も言ったことのない言葉を放ちそうになる。放ったところで意味がないのは目に見えているから言わない。上空では鳥が優雅に飛んでいるのになんで俺の隣の鳥はこんなにうるさくて粘着質なんだ、どういうことなんだ、誰か助けてくれ―――と心の中でSOSを叫んだ、その時だった。

「誰か、誰かうちの子を助けてください!」

 女性の悲痛な叫びに、一同声のするほうに目を向けた。そこには大きな木の隣であたふたとする女性と、枝にひしっとしがみついて泣き叫ぶ子供がいた。どうやら女性が目を離した隙に子供が木に登り、降りられなくなったらしい。木登りに夢中になりすぎたか、とてもじゃないが大人が手を伸ばしても届かない高さに子供はいた。かといってどこかから梯子を持ち出しに行っている間にぽきっと折れそうなほど細い枝に子供がしがみついている。
 なんとも面倒くさい事態だ、とマスターは心の中でぼやいた。もし本当に呟いていたら、(チムメンは特に気にはしないだろうが)周りから薄情だと言われるだろう。しかしそういう性格なのだ仕方がない。そういえばさっきまでうるさかった隣がやけに静かだな、と目を向けたら誰もいなかった。喜ぶべきことなのに、嫌な予感がする。

「泣くのをやめなさい!」

 見ればラッピーはエリアの端にいた。子供がいる木に体を向け、走る構えをみせた。ギラギラと闘志を燃やす瞳で、走り出す。皆がラッピーに目を向けたまま、その動向を見守った。木のそばまで助走をつけ、大きく、飛び上がった。

「あいきゃんふらーい!!!」

 飛躍の結果、地面から10cm浮いて、落下した。


***


「あの高さ、あの枝の細さ、木のある場所と、条件があまりにもネックですね」
「確かに。あまり考えている時間もなさそうです。早く何とかしなければ」
「さすがにあの高さまでキャストも飛べませんし」
「ワイヤーで・・・とも思ったけど、あの細さだと枝ごと折れそうなんだよね。うーん」

 マイショップ端末の隣で戦意喪失しているラッピーには全く触れず、子供の救出について色々案を練る。皆が子供の安全を祈る中、マスターはただただ、面倒くさい事態が更に面倒くさくなったと頭を抱えた。どんどん人が集まりだしたのである。ここで子供を見放せばチームの評価は地に落ちるだろう。だが助けようとして失敗すればまた同じことだ。
 子供の様子はといえば、泣き叫びすぎて疲れてきたのだろう、先ほどまで必死に枝にしがみついていた腕の力がゆるまりつつある。非常に危険な状態だ。枝が折れるのが先か、子供が落ちるのが先か。さて、どうする―――そこまで考えて、ふとある作戦を思いついた。皆が上にいる子供に目を奪われる中、壁と対面しどんよりと暗い空気を漂わせるラッピーへと向かう。

「誰か、誰か!」
「おい誰か何とかしろよ!」
「お前がやれよ!」

 野次馬たちが責任を押しつけあっているその時。

「落ち着きなさい。私を信じなさい」

 突然の言葉に人々は驚き、光景を目にしてまた驚いた。木のそばまで男が近寄っていて、ラッピーが肩車されている。疲れを見せている子供の瞳は、手を伸ばすラッピーをとらえた。ラッピーは子供の目をじっと見つめながら、ゆっくりと諭す。

「いつまでもそこにしがみついていては何も解決しない。私を信じてこの手を掴みなさい」

 自分の近くまでやってきたラッピーに、頑なにしがみついていた手が枝から離れた。ラッピーをじっと見つめる子供の瞳から、あと少しと感じたラッピーは声をあげた。

「私を信じなさい!!」

 その一言に子供は決心がついたのだろう。覚悟を決めて口をつぐみ、ラッピーへと身を乗り出した。黄色い手がしっかりと子供の体を抱き止めたと同時に枝が折れ、地面へと落ちる。子供が見せた笑顔に、周りから拍手と歓声が巻きおこった。

***

 上記の騒動はニュースとなり、ラッピーの勇気が大きく誉め称えられた。作戦を思いつき、落ち込むラッピーに「お前一人じゃ飛べないが、俺が少し手を貸してやる。そうしたら英雄になれるぞ」と言って、闘志を再び燃やさせた張本人のマスターはというと、周りがかけよってくる前にそそくさとその場から離れた。そのためニュースにラッピーと一緒に取り上げられることはなかった。それでいい、ここで自分まで有名になってしまったら、あとで主にモタブの書の角アタックされかねない。あれは地味に痛い。
 このニュースでチームにも特別賞としてチームポイントが入ったし、ラッピー関連のアイテムが売り出されたことによってラッピー好きのチームメイトたちが狂喜乱舞した。何にせよ助けてよかった、とマスターはイスに深く座りながら回想した。次は面倒くさいから見逃すかもしれないが。
 取り上げられることで英雄気分になったラッピーはあれからマスターを問いつめなくなった。実はこれが作戦を実行した理由だった、とはまだ誰にも言っていない。もちろんラッピーを肩車したのには、何故かラッピースーツを着ると体重が5kgになるという謎の仕様や、ハンターのため子供を離してしまうような腕力や体力ではないだろう、といった考えもある。しかしラッピーを、わざわざ肩車しなくても他に方法はなかったかというと嘘になる。もう少し真剣に考えればあったはずだ、だがそこまで言うつもりはない。美談は美談のままにしておくべきだ。俺のためにも、周りのためにも、あのラッピーのためにも。久方ぶりにやってきた平穏な空気に、大きく息を吸って堪能した。



「マスタァァアアアアア俺のレアドロップ率250%UPとトライブースト100%UPを返しなさい!!神と俺にに返しなさい!!!」

 前言撤回。当分平穏は返ってこないらしい。



飛べない鳥は英雄になりたい
だがレアはもっと欲しい


【PSO2捏造小説】0:少女は船艦で息を始める

2014年02月15日 23時04分37秒 | PSO2

*PSO2のストーリーを元に、自分のキャラやら何やらを入れ込んだ文章
*捏造多し
*ナユちゃんが可愛い






 狭い部屋に機械と道具を乱雑に置いて、貴方といた。
 私はあの時間を忘れるなんて、出来ない。

「待ってて、私が―――迎えに行くから」

 目映いばかりに光を放つ目の前を、少女はそらすことなく見つめて、歩みだした。



***



 目を開けるとそこは知らない場所だった。立ち並ぶ建物も、浮くものも、人も、何も知らない。自分の足下に目を向けても、履いている靴が何なのかも知らない。
 何も知らない、なんて。まるであの時と同じ―――

『―――繰り返し連絡します。修了任務を行う者はキャンプシップに降りてください。時間は・・・―――』

「・・・あっ!」

 何しているんだ、私!

 ボンヤリしていた頭を振って、急いで目的地のキャンプシップまで駆ける。周りに人はほとんどいない、もう降りてしまったのだろう。全速力で走りながら遅刻していないか、忘れ物はないか確認した。支給されたソードは背中にある。それなら、大丈夫だ。・・・多分。

 歯を食いしばりながら走る少女に、先ほどまであった虚無感など何処にもなかった。今はただ修了任務を終わらせること、ただそれだけしか頭にない。遅刻するかもしれない、怒られるかもしれない!それしか考えていない少女に、今の自分を振り返る時間など存在しなかった。



***



『―――では、健闘を祈る。』

 キャンプシップ内に流れていたレギアスの放送は終わった。意気込むもの人や、うなだれる人、淡々とした表情の人、様々いる中皆揺れる水面に飛び込み、降りていく。そんな人々を少女は見つめていた。
 さて、どうしようかと考えていると、前にいた少年が声をかけてきた。少女と同じ組のようだ。

「俺、アフィンっていうんだ。よろしくな、相棒!」

 笑う少年、アフィンにつられて、少女も名乗った。

「―――うん、よろしくねっ!私はナユ」

 よし、じゃあ早速降りるぜ!ナユ!とアフィンは声をかけて先に水面の奥へと降りていった。少女、ナユもつられるように水面へと走っていく中、頭の中では自分の言葉が繰り返し流れていた。それは至極当たり前のことで、なぜ自分が今頃そんなことを考えているのだろうという疑問もあった。

 ―――私、ナユっていうんだ・・・?



***



「すげぇ、緑だらけ!シップ内にも緑はあるけど、やっぱり違うな」

「違う?」

「ああ、匂いとか、空気とか?本当すげーなあ」

 惑星ナベリウスの生い茂る森林に、アフィンは感嘆の声をあげて周りを見渡す。そんな中、ナユは不思議な心地だった。懐かしさを感じたのだ。もちろん惑星ナベリウスに降り立ったのはこれが初めてだ。きっとシップのどこかで似た光景を見たのだろう、そう思い直しても、懐かしさを拭いきれない。

 初めての任務に意気込む私と、そんな私にため息をつきながらも優しい目をしていたあの人は―――

「―――おい、相棒!何ぼーっとしてるんだ?」

 アフィンの呼びかけに、ハッと意識を戻す。ごめんね、と笑いかければ、変な相棒だとアフィンは不思議そうにしながらも前へ進む。一緒に歩みながら、ナユはもやもやとした何かを抱えていた。

 私は大切な人を、忘れている気がする。



***



「しっかし、10年前のアレで人材確保に忙しいっつーのは分かるけど、いきなりすぎるよな。なあ相棒?」

「・・・10年前って?」

 何それ?と首を傾げるナユに、アフィンは驚愕した。

「あ、相棒!?あんな悲惨な事件、忘れるわけが・・・」

「えっ、え!?う、うーん・・・」

 アフィンの表情にとてつもなく大事なことを忘れてしまったのだと思い、必死に記憶をたどろうとするも、思い出せない。いくら唸っても、頭を抱えても、目をぎゅっと瞑っても、何も思い出せない。
 うんうんと唸るナユに、アフィンは慌てて駆け寄った。

「む、無理に思い出そうとするもんじゃないって!無意識に思い出さないようにしてるんだよ」

「そういうもの、なのかな?」

「ああ、そういう奴、結構いるぜ。それだけ恐ろしい出来事だったからな。まあ時間はいっぱいあるんだし、思い出したいなら、ゆっくりでいいんじゃないか」

 すまんな、相棒とアフィンは軽くナユの背中を叩いた。ナユもそれに笑って答える。10年前に、そんなに大きな事件があったなんて。歩みを止めていた足をまた動かし、奥へと進んでいく中、浮かんだ事実を口に出そうとして、やめた。

 どうやら私は、10年前だけでなく、昔も、家族も、何もかも覚えていないようだ。



***



 先ほどまで長閑な空気だったのが、一変した。無線機から流れる警告の声には緊張もはらんでいる。アフィンの顔色は悪くなり、渦々しくて空気も気持ち悪いと言う。
 地面から生えてきたのは、黒い物体。無線機からは、あの黒い物体がダーカーだと伝えられた。

「ダーカー!?なんでこんなところに!?」

 混乱するアフィンを余所に、ナユは何故か冷静だった。初めて見るダーカー、毒々しいフォトンにアフィンは気を動転させている、が、ナユは何故かダーカーにも見覚えがあった。勿論、今出会うのが初めてだというのに。また緊張した空気は肌で感じるものの、アフィンが何度も言う『フォトン』自体よく分からなかったことも不幸中の幸いだった。息を詰めるようなものは、ない。
 ―――ここから逃げ出さなきゃ。

「行こう!」

「は!?お、おう!」

 震えるアフィンの腕を掴んで、ダーカーに取り囲まれる前に奥へと走り出した。しかし何処まで進んでも、地面から、空間から、次々とダーカーが発生していく。このまま、この惑星はダーカーだらけになってしまうんじゃ?そんな不安を抱きながら、ただただ宛てもなく真っ直ぐ走っていく。

「あ、相棒!見ろよあそこ!」

「あの人は・・・」

「他の組の奴だよ!おーい、大丈夫か・・・」

 アフィンの声に振り向いた人の後ろで、不気味な音と共に生えてきたそれは、何の迷いもなく背中を切りつけた。こちらを見ていた目は開かれたまま、ばたりと音をたてて地面に崩れ落ちる。あまりにもショッキングな光景に、アフィンの目と口は開かれたままだった。
 そしてナユも、また。

 この光景を、どこかで、私は。



 狭い部屋、迫るあの人に、私は。

『イヤだ、いやだ!やめて!消さないで・・・殺さないで!』



「―――何してるんだお前等!手を動かせ!」

「!?」

 どこからともなく現れた人影は、手に持っていたソードを振りかざし、ダーカーを一掃した。格好、武器から正規のアークスだと喜んだアフィンだったが、周りを見て息を飲む。見渡せば、大量のダーカーがじりじりとこちらに近づいていた。

「て、手を動かせって」

「支給された武器は持ってるんだろ?もう取り囲まれちまったんだ。戦う以外何がある?」

「で、でも俺たちまだ新人ですよ!?」

 戸惑うアフィンを余所に、ナユは背中のソードを手に持った。ハンターとはいえ、実戦はこれが初めてだ。経験も知識もない。体力も、力もまだまだだ。でも、それでも。
 両手に力をこめて、声を出す。

「が、頑張ろう!何とかなるよ・・・多分っ!」

「多分!?正気かよ!」

「おうおう、あっちのお嬢さんの覚悟は決まったようだぜ。お前も男なんだからさっさと覚悟決めろ!」

「うあー・・・分かった!分かったよ相棒!やればいいんだろ!?」

 流されるようにアフィンも長銃を手に取り、構えた。二人の様子に赤いアークスはにやりと笑ってダーカーへと駆けていく。ナユもその後ろに続く。目の前には鋭い手足をちらつかせてやってくるダーカーたち。
 少しでも気を抜けば、さっき見た光景を繰り返すことになる―――



『殺さないで!』



***



「お疲れさん。ダーカーは引っ込んでいったし安心しろ!」

「あ、ありがとうございます・・・えっと、」

「ちょっとゼノ!自己紹介もしてないの!?」

「そんな余裕なんかなかったんだよ。今すればいいだろ?俺はゼノ。お前は?」

「お、俺はアフィンっていいます。こっちはナユ」

「えっ!?あ、ナユです!よろしくお願いしますっ」

 相手はダーカーという初戦で、目立った怪我もなく勝利を飾ることが出来た。次々とやってくるダーカーに終わりはいつくるのか、皆の疲労が見え始めた頃にダーカーは消え、厳戒態勢も解除された。地面に座り込み大きく息を吐いたアフィンの隣で、ナユの頭はダーカーや修了任務とは関係ない別のことでいっぱいだった。

 突然のことに混乱しているだろう二人の気分を変えようと、今になって赤いアークス、ゼノが自己紹介してきた。アフィンから紹介され、それまでぼーっとしていたナユも気分を切り替え、元気よく名乗る。
 改めてナユの顔を見て、名前を聞いたゼノは『どっかで会ったような・・・』と考え込んだが、何のことだかよく分からず首を傾げるナユの様子を見て、まあいいかと気を持ち直す。

「本当、大変だったな。俺はちょっと休憩してくるよ」

「分かった!・・・本当に、おつかれさま」

「・・・おう、ナユもお疲れ!」

 アフィンはそう言ってロビーの奥へと歩いていった。明るく振る舞ってはいるが、先ほどの激戦と仲間の最期の目撃というストレスとショックを隠しきれていない。受け入れられなくて当然だ。
 暗い背中を見送った後、ナユはただただ立ち尽くしていた。マイルームの場所は知っている、他のアークスたちは皆疲れを取るためにショップや休憩所、自分の部屋へと歩いていく。多くの人たちとすれ違っていく中で、それでも足を動かすことが出来なかった。



 見たことのある惑星、ダーカー。

 覚えていない全ての過去。

 幾度もよぎる人の影。

 絶望に満ちた瞳、助けを求める自分の声。


「私は何のためにここにいるんだろう・・・?」

 ぽつりとこぼれた言葉を拾うものは誰もいなかった。それは発したナユも同じだった。
 少女は、まだ何も知らない。



0章:少女は船艦で息を始める


【PSO2なりきり日記】4号19番地から出張してきました【感謝祭】

2013年08月06日 21時57分23秒 | PSO2




※「ファンタシースター感謝祭2013」in大阪にて道中ノートに書きまくった絵をUP

※レポートなんてものはない

※「あ!何勝手にワシの娘UPしてんじゃワレ」て方、コメントください。消しますよ!





レア大募集





ももちさんと、この日お留守番だったイオニックさん。ロボロボ





クロウさんご一家。





/toge よたんさあああああああああああああああああああああああああああああああああ

(毛さんはな・・・資料が見つからなかったんや・・・)





こうのさんと、八神さんと、ザウーダンお面被ったよく分からない人





私がチームの長となり、ゆくゆくはチムメンがドロップしたレアの管理したいと考えています

(BY.名護さんラッピー)





初めてお会いしたチェルさん





私の私服はアレだったんで省略





3キャラ目のオトナシちゃん。Sっぽいのが好評でした。変態!





ドリキャスとラッピーマンに対抗!GCマン!





解けてまた一つになる。それだけ。





なんでクロウさんだけぶれるんでしょう。ルインシャルムの呪いでしょうか。





フォトンチェア座ってみたひ!!!(この日発表)





さすがチームマスター!お悩み相談もこなしてる!





もぐもぐナユちゃんめっちゃ可愛いと思う【想像】





お誕生日プレゼントで何がいいか聞かれたので。

・・・パッドはな、アクセにないんだよ!バカヤロー!




とまあこんな感じでした。楽しかったです!

本当に楽しかった!また皆さんとお会いしたいなあ・・・・



(もう予定は入ってますんですけどね)

ではまたお会いしましょー!



*****




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以上、月空でした!


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【PSO2】ウォパルに行きました

2013年07月19日 21時38分07秒 | PSO2


チムメンを勝手に使って勝手にあれやこれやしている色々と酷い四コマ

私と753の名前しか出てないからセーフだと思っている



******


(1)



↑ヒューリースタンス状態のチャージとギア満タン



(2)



ブーメランの似合いそうな沼男だと思います。褒め言葉です。



(3)



やっぱり登場しました






(4)



「ムシャクシャしてやった。申し訳ないと思っている。多分」



******




に、似合ってるよ(震え声)

【ドッ完】

【PSO2なりきり日記】絵まとめ6

2013年07月15日 12時02分44秒 | PSO2





*****


【PSO2・4号19番地からこんにちは 絵まとめ6】


また自分のものだけ。少ししたらチムメンの画像もあげたいです(意気込み)

自分のキャラ大好きです。可愛いです。天使です。自給自足で頑張ります!うおおー!







軸が笑顔!





ジト目て描きやすいんだけど性格的に似合わないけど描く





お誕生日記念の絵なのに全く祝っていない





ナユナユに見せかけてのサブ沼男





また星が落ちる。また同じことが起こる。





1つの終。




頭の中にいくつもEDがあって、1つが上みたいなバッド。

全てのものから敵と見なされて削除されるエンドです。


腕、ちぎれてるけど痛くなさそうなのも関係してます実はゲフゲフ




*****




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【PSO2なりきり日記】絵まとめ5

2013年06月05日 11時49分28秒 | PSO2





*****


【PSO2・4号19番地からこんにちは 絵まとめ5】


チームメンバーを勝手に描いていったブツ。本当にありがとうございます!





/toge どうか私を入れてくれ





ナールちゃんしっかりウーマン可愛い





弟くん可愛い元気可愛い





ベルちゃん厨二病可愛い





朱砂さんきゅっきゅ可愛い





チームマスターのお誕生日だったので。

クロウさん沼男可愛ルインシャルム



/toge これからもお前のキャラ勝手に描いてやるぞーゲッヘッヘ


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