在職老齢年金の導入の背景及び現在の状況について調べました。
なお、在職老齢年金(年金支給停止)制度は厚生年金加入者の厚生年金給付に適用されますが、国民年金の給付には適用されません。
在職老齢年金(年金支給停止)制度は理にかなっていないと思っています。
個人が、厚生年金給付開始年齢到達後、自らの能力によって収入を獲得しているにも拘わらず、その収入によって自らが過去支払ってきた厚生年金の保険料を基にした厚生年金受給権を一部又は全部放棄しなくてはならない制度は矛盾しています。
たとえ、厚生年金の繰り下げ受給を選択しても、停止された年金額は繰り下げ受給の年金額計算には反映されません。
従って、支給停止された年金額は戻ってきません。なお、アメリカ、イギリス、ドイツにおいては、在職していても年金額は減額されません。
私はFPとして個人事業主を選択しましたので、厚生年金への加入義務はなく、収入に関係なく60歳から厚生年金は満額受給しています。
さて、前置きが長くなりましたが、まず在職老齢年金(年金支給停止)制度の導入の背景について説明します。
1. 導入の背景:
厚生年金制度の老齢年金は、昭和29年にほぼ現在の姿になって以来支給開始年齢要件に加え、「退職」を支給要件としており、在職中は年金を支給しないことが原則でした。
2. その後の経緯
働いても年金が不利にならないようにすべき(就労を阻害しない観点)及び現役世代とのバランスから、一定の賃金を有する高齢者については給付を制限すべき(現役世代の負担に配慮する観点)との相反する要請の中で見直しが行われてきました。
3.現行の在職老齢年金制度の仕組み:
60歳台前半(60歳~64歳)の在職老齢年金
ー総報酬月額相当額と基本月額の合計が支給停止調整開始額(28万円)以下なら在職老齢年金は適用されない(年金は減額されない)
ー総報酬月額相当額と基本月額が28万円を超える場合、超えた額に2分の1が支給停止になる
ー総報酬月額相当額が支給停止調整額(46万円)を超えると、さらに年金の支給停止額が増え、全額支給停止になる場合もある
現在、60歳台前半の者に係る在職老齢年金制度について、調整を行う限度額(28万円)の引き上げを厚生労働省は検討課題にしていますが、今年から厚生年金支給開始年齢の引き上げが開始され、2025年度(女子は2030年度)には完全に65歳に引き上げられる事を鑑みますと、限度額の引き上げは見送られると予想しています。
60歳台後半(65歳~69歳)の在職老齢年金
ー総報酬月額相当額と基本月額の合計が支給停止調整開始額(46万円)以下なら在職老齢年金は適用されない(年金は減額されない)
ー総報酬月額相当額と基本月額が46万円を超える場合、超えた額に2分の1が支給停止になる
ー停止額が老齢厚生年金額を超えると、老齢厚生年金は全額支給停止になる
現在、60歳台後半の者に係る在職老齢年金制度について、調整を行う限度額(46万円)の引き上げについては議論されていません。
70歳以上の在職老齢年金
ー60歳台後半の在職老齢年金の制度が適用されます
ーただし、70歳以上の者は、原則として厚生年金保険の被保険者ではないため、保険料の負担は生じません
個人的には理にかなっていないと思っていますが、この在職老齢年金(年金支給停止)制度は今後も見直しされずに存続していくと予想され、いずれ60歳以降独立される方はこの制度の仕組みをよく理解しておく事が必要です。
厚生労働省の資料に「60歳台前半の者の在職老齢年金を廃止した場合には、約1兆円の給付増となる」とあり、すなわち過去支払った厚生年金保険料を基に計算された年金額約1兆円が放棄されている事になります。
なお、在職老齢年金(年金支給停止)制度は厚生年金加入者の厚生年金給付に適用されますが、国民年金の給付には適用されません。
在職老齢年金(年金支給停止)制度は理にかなっていないと思っています。
個人が、厚生年金給付開始年齢到達後、自らの能力によって収入を獲得しているにも拘わらず、その収入によって自らが過去支払ってきた厚生年金の保険料を基にした厚生年金受給権を一部又は全部放棄しなくてはならない制度は矛盾しています。
たとえ、厚生年金の繰り下げ受給を選択しても、停止された年金額は繰り下げ受給の年金額計算には反映されません。
従って、支給停止された年金額は戻ってきません。なお、アメリカ、イギリス、ドイツにおいては、在職していても年金額は減額されません。
私はFPとして個人事業主を選択しましたので、厚生年金への加入義務はなく、収入に関係なく60歳から厚生年金は満額受給しています。
さて、前置きが長くなりましたが、まず在職老齢年金(年金支給停止)制度の導入の背景について説明します。
1. 導入の背景:
厚生年金制度の老齢年金は、昭和29年にほぼ現在の姿になって以来支給開始年齢要件に加え、「退職」を支給要件としており、在職中は年金を支給しないことが原則でした。
2. その後の経緯
働いても年金が不利にならないようにすべき(就労を阻害しない観点)及び現役世代とのバランスから、一定の賃金を有する高齢者については給付を制限すべき(現役世代の負担に配慮する観点)との相反する要請の中で見直しが行われてきました。
3.現行の在職老齢年金制度の仕組み:
60歳台前半(60歳~64歳)の在職老齢年金
ー総報酬月額相当額と基本月額の合計が支給停止調整開始額(28万円)以下なら在職老齢年金は適用されない(年金は減額されない)
ー総報酬月額相当額と基本月額が28万円を超える場合、超えた額に2分の1が支給停止になる
ー総報酬月額相当額が支給停止調整額(46万円)を超えると、さらに年金の支給停止額が増え、全額支給停止になる場合もある
現在、60歳台前半の者に係る在職老齢年金制度について、調整を行う限度額(28万円)の引き上げを厚生労働省は検討課題にしていますが、今年から厚生年金支給開始年齢の引き上げが開始され、2025年度(女子は2030年度)には完全に65歳に引き上げられる事を鑑みますと、限度額の引き上げは見送られると予想しています。
60歳台後半(65歳~69歳)の在職老齢年金
ー総報酬月額相当額と基本月額の合計が支給停止調整開始額(46万円)以下なら在職老齢年金は適用されない(年金は減額されない)
ー総報酬月額相当額と基本月額が46万円を超える場合、超えた額に2分の1が支給停止になる
ー停止額が老齢厚生年金額を超えると、老齢厚生年金は全額支給停止になる
現在、60歳台後半の者に係る在職老齢年金制度について、調整を行う限度額(46万円)の引き上げについては議論されていません。
70歳以上の在職老齢年金
ー60歳台後半の在職老齢年金の制度が適用されます
ーただし、70歳以上の者は、原則として厚生年金保険の被保険者ではないため、保険料の負担は生じません
個人的には理にかなっていないと思っていますが、この在職老齢年金(年金支給停止)制度は今後も見直しされずに存続していくと予想され、いずれ60歳以降独立される方はこの制度の仕組みをよく理解しておく事が必要です。
厚生労働省の資料に「60歳台前半の者の在職老齢年金を廃止した場合には、約1兆円の給付増となる」とあり、すなわち過去支払った厚生年金保険料を基に計算された年金額約1兆円が放棄されている事になります。