桜を見に弘川寺に行き、西行記念館に立ち寄りました。
西行記念館は、平安時代末期、「山家集」で有名な歌人「西行法師」の八百年遠忌を記念して建てられました。
西行法師は家柄も良く能力もある、当時のエリートで妻子もいたのですが、22歳の若さで出家します。
「新古今和歌集」には94集もの歌を残していますが、宮廷を舞台に活躍したのではなく、旅や山郷の孤独な暮らしの中で句を詠みます。
出家する前に「世を捨つる人はまことに捨つるかは 捨てぬ人を捨つるとはいふ」という歌を詠み、出家する=世捨て人ではなく、
自己と向き合い悟りをひらくことこそが西行にとっては生きることであって、宮廷で出世するために生きることこそ世捨て人であるという
考えを持っていたようです。
「なぜ人は生きるのか」という究極な問いに向きあい、探し求め、最後にその答えとも思われる遺言のような歌を残し、73歳に弘川寺で
亡くなりました。
弘川寺にある美しいしだれ桜です。あまり見ない桜の形で、かんざしのような桜です。
西行法師は桜が大好きでした。
そして、有名なこの句を残します。
「願わくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ」
人生の最後は桜の花のように美しく感慨深く素晴らしい瞬間であって欲しい・・・・歌のとおり如月の望月のころ2月16日に死去します。
西行記念館は歴史的な絵巻や書物がたくさん展示されていて、お庭も綺麗で、京都の有名な寺院仏閣に劣らない観光スポットです。
4月中旬には日本一の老樹、樹齢350年の「かいどう」という天然記念物のお花が花開く姿も鑑賞できます。
桜もみごとで、来週あたり満開だと思います。