Pele ペレ
火の女神
注: 写真は、キラウエア火山のクレーター近くにある
トーマス・ジャガー博物館所蔵のペレの絵
ペレの神話は、
ギリシャ神話などと同様にとても人間的な物語です。
写真は、
神々の三角関係の末、嫉妬に怒り狂うペレを描いた絵です。
遥か遠くタヒチの方からハワイへとやって来たとされるペレ ・・
これは、ポリネシアン トライアングルを形成した
古代ラピタ人の移動過程と一致します。
(2011年 8月 27日、10月 9日のブログ参照 )
ペレ神話は、古代の人々が民族移動の歴史を
後世に伝えるために創作した物語ではないでしょうか。
ハワイ諸島にやって来たペレは、
最初 『ニイハウ島 』 に上陸しました。
その後、ペレは、恋愛、失恋を繰り返しながら、
諸島を北から南へと移動していきました。
これは、火山活動によって順々に出来上がっていった
ハワイ諸島形成の歴史とも一致します。
古代の人々が、何百万年も昔に起きた地殻変動の歴史を
どうやって知りえたのかは不思議です。
(1月 31日のブログ参照 )
Halemaumau ハレマウマウ (直径およそ1キロメートル )
キラウエア火山のクレーターはこう呼ばれています。
『Hale ハレ 』 は、 『棲家 』 を表す言葉です。
ちなみに、『Maumau マウマウ 』 は、
ハワイで多く見られる植物の 『シダ 』 のことです。
ペレは、いまはハワイ島 キラウエア火山のこのクレーターに
住んでいると信じられています。
ペレと愛憎関係にある半神半人の男神 『カマプアア 』 は
シダの森に住んでいるとされ、そのことと関連して
『Halemaumau ハレマウマウ 』 の名前がついたのでは ・・
クレーターは、一瞬で火山性のガスに包まれました。
ペレは、
時に哀れな老婆に姿を変えて人前に現れるといわれています。
そして、
それとは知らず人が彼女を不遜に扱うと火山が噴火すると ・・
これは、お年寄りを大切に ・・ という諭 (さとし ) でしょう。
ハワイの人々は、
いまでもハレマウマウに供物を捧げ、ペレの怒りを鎮めています。
これは、すなわち自然を畏れ敬う心の表れです。
古代ポリネシアは、
自然の精霊崇拝を土台とした多神教社会でした。
キリスト教を受け入れたハワイですが、
いまも古代の宗教観が生活の根底にあります。
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