仙之助の日記

ありし日の父の日記をここに移し書きして父の気持ちになってみよう。父をもっと知りたいと思う。

仙之助の日記写し(1971年2月)

2012-03-05 17:32:43 | 仙之助
2/1

午前中から薄曇りとなって来た
冷たい日である

豊浜の加藤さんの知人
交通事故にて左手を負傷して突然来訪
医療保証の話
あまり知らないのでお茶を濁しておいた
たばこ十個、恐縮した


2/2

今日は寒い
俺がいうのだから冷えるはずだ

 自動車に
  毛布を着せて
     安心し

福田屋さん来訪
一時間程話聞く
 
 よい婿が
  あったら頼むと
      口開く


2/3

中近東石油問題難しくなってきた
人類として文化の限度を究明して、資源の重要な事実を考え、地球が一日も永く存在すべきよう、
新しい学問の必要を痛感する

 姉来たり
  昼飯うどん
    共に食い


2/4

大井屋おっかさん死す
二月は例年通り死人多し

今日は立春
春とはいえど寒波は日本列島をつつむ

米物価統制令
戦争中のなごり、戦後二十六年
ボツボツやめるか
婦人連中、戦争がこいしいのか、不思議な世の中なり
(物統令反対排除す)

自動車に
  厚着させたり 
     冬を越す

 月旅行
  同じところは
     うれしない

 金星で
  ここまでおいでと
      ソ連云う  

2/5

 発展も
  一ぷくが肝心
   それからでよし

寺田君の家を見る
木柄も最上
全くスバラシイ
あの家になじんで行けるのだろうか
ピッタリしない不思議な事実。

 天秤で 
   測れば軽き
      人もある
 
 重すぎて
   眠れない日の
      多かりき

2/6

 (新堀の)
  家は朽ちれど
   人柄は
    気高く伸びよ
     我ぞうれしき

今日は大阪(息子)は休み
玉突きか将棋か研究か楽しみのことだろう

米月衛星三回目着陸成功
命がけの偉大な行動だけど魅力なし
現在の人間は余程のことでない限り感激しない
万博等も日本としてスバラシイことであったが、現在一つの言葉も出ず
全く遠い過去のものに忘れ去ってしまった
三島(由紀夫)事件など然り
文化は鈍感を作る


2/7

長生きは平静な心で
・・・・・・・
平らな心はむつかしい処し方でアル

県知事の選挙
革新 新村猛に入れた
良い政治は常に新しい事が必要である
 
 人新しくて
  山青く川清く恵む海

人の心の理をよく計算しないと安くなるべき米価はものすごい高値になることが考えられる
貧農ではない現今、欲と儲けでココまで来いと富裕な金力で売り急がず、大資本と結び、市場に一粒の米もなくなる    

文化の限度の研究が必要か
欲望はほっとけばきりがない。
自由民主の世の中でこれができるだろうか
しかしこのままでは資源に限りがあり、一方強く出れば争いの元となる
これでもかこれでもか
人は動かず
人間から欲望を制限したとき何が起きるのだろうか
だがそれを強行しなくてはならない日がくるのではないだろうか
自由はスバラシイ
それは場合によっては悪魔かもしれない
人類の滅亡を進めるものだと考える

野菜類の高値が続き、政府は台湾より玉葱を緊急輸入する
関係業者が売り惜しみして儲ける公算あり
ドロボウ呼ばわりされてもしかたがない

ねじ乾十本で三百五十円也
金の値打ちのない事、腹立たしい

人間の道は結局自己主義でこれを換える方法、教育、宗教は存在しない
経済成長は人の道を根底からクルワシてしまった。

政府の目算がくるい、米の自由化が近づいている


2/8

夾竹桃引っ越し準備
地震、台風に耐えて深く強く根を張っている
木原のところにあったものを植え替えたと知っている
赤い美しい花
人は変われど変わらぬ姿でいつの世に子供に孫に永遠に生きてくれ
大事に大事に場所換えしよう
あの花はおばあさんから嫁の手に孫の頭のカンザシに

山本恒夫さんが死んだそうだ 
六十二歳
恵まれた家に生まれ、親の力で世に出で今日に至った
山本さんも心によろこびを持っていたのだろうか
本人しか知る事の出来ない幸不幸

 健やかな
  瞬時の心に
    花を咲かして

2/9

浜家の萬三豆粕向上前がミツカン酢の土地、二万七千円程で売れたそう

 フトコロは
   皆アタタカク
     資産増え

昨日に続いて植木の引っ越し労働はつらい
ウデが痛くて字も書けぬ


2/10

寒かった
今日は一番寒いようだった

十一時半頃にロイヤルボールへ集金に行った
平日なのに約三十人程ボーリングやっていた
遊ぶこと以外知らないのか

 よきことの
   知るのが遅き
      悪の大道 (ボーリング見て)

 シンケンの
   心はつなぐ
     よろこびの夜 (三河の人の話より)

2/11

午後から刈谷の多賀神社へ参拝
約三十五年前、月に2回程自転車で通っている
今日初めて神殿に参る
中々リッパな建築であった
家内安全、鉉の健康、智子の縁談成功祈る

 今日ここに
   清き祈り
     心澄み

 多賀の水 
   沸かしてくれた
     ババの顔
 
 福々し
   顔と褒められ 
     うそもよし

午後8時頃、鉉帰宅


2/12

万事正確なことを知らせないとトンダ事になる
山本さんの死は泉重寺で智子に話したこと智子が家で話し、山本さんの最近の状況とかなり似ているので、亀崎に電話
石川さんがあわてて見舞いに行ったら、本人はピチピチ(に生きていた) 
八日の記事取り消しする
落語にもよくある話
亀崎が損
ソソツカナこともあるのが愛嬌なり

暫くぶりに雨
夕方からよく降る


2/13

 おぼれない泳ぎは
   自分を知ってから
    

北海道は四月初旬の天候

知多信(用金庫)の柿原清三氏死去
駅前支店長 長治君病気だそうだ

栄枯盛衰
あまり得意になるな
自分が特別偉いと思っているバカタレ
修養が足らんぞ
運が90%
エライ人と云われるようになったら世間の人に毎日十人位感謝するがよい
 
 俺が俺がと 
   威張るなよ
    一人だけでは
      生きられぬ

2/14
 
智子見合いの日
予定より遅く、母親、兄、本人、常さん四人で来半
当方、家族四人会う
満足すべき状況である

 植え替えた
   つつじに赤く
    はや芽も出でぬ

 よいはなし
   なれば出すも
    祖谷になる親心

鉉四日間の休み早くも過ぎて帰っていった


2/15

休み来てよい人と会いさぞよかろ

大崎君舌ペラの中風物が言えず
あまりにも興奮すれば舌も動かず

還暦、全快等祝い箱入り注文多くなる

旧地主に公共用地にするなら二円六五銭とやらで土地返す
これでは全く訳がわからない

午後十一時頃、二宮君のところが火事
大崎が舌が動かず、二宮は火事
一難二難、あと何だろう
商仁会、二宮見舞い酒三升、富田と杉清持参


2/16

晴である
二月にしては暖かい

入口屋さん裏の水がのりこぼれると云うて来られた
少々こちらの手が旨くゆかなかったので、一計を案じよろしくコトを運んでおいた

姉が来た
後、文平さん来る
あまり景気良くない顔

 一月も
  二月も暇だ
    いついそがしい

裏の建築予定、ぼつぼつ実行

石浜の土地売りに来た

キチガイの土地上昇もいっぷくかな
満つれば欠ける月の例
山頂も嵐となりて下り坂
この宝誰にも似合うものでない


2/17

阿久比高岡の人、結婚
新築の家、息子少々ドモリ情けない小僧
嫁さんは家か人間かどちらを選んだろう 

人造り賛成

 いつの世も
   笑い悲しみ
     造るもの

2/18

基也君のおかあさん種々心配
学校は学ぶもの
金で証書だけでは世に出て心配のみ
大学の名が多すぎて親さんが迷うばかり

日立電機、製品造り少々減じる


2/19

信用保証のことで市役所、本家へ行く

午後九時頃、鉉より電話元気に掛けてきた
自分が掛けて自分で聞いていると思うよく似た声
愈々本領を出してきたな
研究所で一人だけいる
小さなときからこんな風
今日はまた何を考え一人のみ帰ることを忘れ
昔から一人もおらぬところにて熱中する癖

学校の先生いまだ返事なし
この人も中々ゆっくりする人ぞ
愉快な人かもしれないぞ


2/20

一年を三百六十四日にくらそうか
一日寝たい

お輪切りの匂いをを嗅げば高度成長以前 
今の若い衆変な臭いと云う

よいことはあっても他人がしている
よいことなどあったことがない
世の中の人は殆どそんなことを云っている
青い鳥さがす努力より自分の天職忘れない努力
暇な時は種々悩むが忙しいときのイップクと思う


2/21

三河の先生
最初当方が感じた通り直感が好くなかった
嫁をモラウ人でなし

自分の欠点は知っているようで解らないもの
他人にいろいろきいて見るもよし


2/22

床与さん葬式、應照院にて三時間程手伝い
雲観寺帰りに自ら親子マンザイと云い

小坊主は首まで髪を伸ばしている

 昔から
  姿で商売
    よくわかり

ごちゃごちゃ頭で茶色の衣着て
人間尊重といわれる今日
葬儀の状況は厳粛であるはず
死人は全く石ころのごとく実に簡単に扱われ一巻の終わり
儀式の方法考える必要あり
生と死の倫理が欠けてしまった

子供から金と物
成り上がりの家庭
インスタント成金
戦前の家庭は倫理を学び人間として人格がそなわっていた


鉉ちゃ、忙しいらしい
吾々にはどんな様子で忙しいのか解らないが、ゼットエヌアールとか云うものの完成を任されて、彼のことだから真剣に掛かっているのか夜十時頃帰って来たらしい
大きいところで良い勉強になる
ガンバレガンバレ
体に注意
幹部候補生はつらい
自分で道を切り開いていく

どんな途も難所は多い
一度の白山登りで良い経験となったはず
頂上は近いぞ
もうすぐ視界が開ける
若い時充分知り
苦の中へ突っ込んで行け
欠点を知ってそれに勝て 


2/23

伊藤祐三くんへ出した年賀状
本日戻ってきた
バカニシトル

今日は雨だった
暖かい
庭がベタベタ

大阪から電話が来ることになっているが忙しいらしく十時半になったが通じない
私事で会社の電話を使うのは考えもの