早いもので、介護の仕事をして20年になります。今まで患者さんや御家族との時間に成長させられ、仲間に支えられて頑張ってこれました。でも、何年この仕事をしても、慣れると言うことはありません。いつもいつもはじめからやり直しです。それは、出逢う人ごとに、みな違う人間だからです。同じようなことはあっても、おなじと言うことはありません。認知の患者さんも新しい経験ばかりです。当たり前の事です。私と、私の隣にいる人は同じではないんですから。いくら経験を積んでも、一人ひとりの患者さんに対して、また新しい気持ちで関わって行かなくてはいけません。相手は、私と会うのは初めてで、必死に体当たりで関わってほしいと訴えてきます。ただ、長い経験があると言うことは、イメージ出来ると言うことでしょうか。
でも、いつの時も、必死で目の前の患者さんを見つめ、異常をいち早く見つけ、命の終わりの前に、どれだけ、御家族の方に後悔させないように、してあげられるかです。一人で入院させて寂しい思いをさせているという思いを、どれだけ減らしてあげられるかです。毎日どのように生活し、一人きりではないと安心して頂ける情報を伝えられるかです。
つい最近、面影復元師という方のことを知りました。震災の時、いち早く被災地に行き、御遺体の復元、納棺に携わった方です。
御家族との最期の別れの姿が、家族にとって苦しんだ顔でなく、穏やかな顔で心の中に残ってほしいと願って活動されています。
私たち、介護の仕事も同じではないかと思いました。患者さんの気持ちを尊重することはもちろんのこと、本当なら家で面倒をみたいけれど、仕方なく病院の御世話になっている、寂しい思いをさせてしまっている。きっと辛い思いをして毎日過ごしているんだろうと思っている御家族のために、日ごろの患者さんの様子、良い表情をした時の様子を伝え、少しでも安心の心が増えてくれたらと思いながら、患者さんと関わって行くことは、私たちの仕事の一つだと思っています。
何年働いても、出逢う患者さん一人一人に合わせた介護をする以上、ベテランも何もないんです。
私は、この仕事をしていて良かったです。患者さんの手を握ることが出来て良かった。そう思っています。
いきなり、書き出してしまった日記でしたが・・・・私の20年。ありがとう。