傍聴絵日記

@さいたま地裁傍聴席

アクア急発進!

2014年10月07日 | 刑事事件
平成26年(わ)第1071号 

齋藤 好子 

自動車運転過失致死傷

【概要】
ブレーキとアクセルを踏み間違えて、急発進したことによって2名を死傷させた交通事故。
1名は自動車に挟まれてほぼ即死状態でした。

事故当日は被告人(被害者も)居住のマンションの除草作業が行われていました。
自車後部で除草作業をする為に駐車場スペースから前に数十センチ移動させようとしました。
ところが、シフトセレクタレバーがPレンジから動かず、操作を間違ったのではないかとパニック状態になったと言います。
通常、ブレーキペダルを踏んでいないと、セレクタはPレンジから動きません。
このとき、なぜかブレーキとアクセルを踏み間違えていた様です。当然、エンジンが高回転になり大きな音を発生させた筈です。被告人は、モーターとエンジンの切り替わった音だと思ったと述べていますが、ブレーキと踏み違えたなら全開の空ぶかしですから、かなりの騒音だった筈です。どうにも理解に苦しみます。

周囲の証言によると2度大きな空ぶかしの様な音が確認されています。
と,言う事はその後アクセルを踏み替えた事が推測出来ます。

一向に動かないシフトセレクタを色々操作しながら、誤ってアクセルからブレーキへと踏み替えてしまった可能性が有ります。
すると、ブレーキペダルに触れた事でシフトセレクタのロックが解除され、PレンジからDレンジに入ってしまいます。アクセル開度は直前まで全開でした。

アクアは急発進します。急発進に、慌て再びブレーキペダルだと思ってアクセルを踏み込みます。
ならば、周囲の人が聞いた2度のエンジン音とも整合します、どうでしょう?(あくまで個人の見解です)

車両のイベントデータレコーダにはセレクタのPレンジからDレンジへの変更、事故時の車速20km/hと100%のアクセル開度が記録されています。 であれば,さほど広く無い団地の駐車場で20km/hに達するには正に全開加速が必要ですが、本件でいえばブレーキとアクセルの踏み間違いという人的誤操作によって全開加速の要件が成立してしまっています。

後日、事故車両の検証が行われ、異常がないことが確認されました。
しかし、事故車両の異常は調べておきながら、事故状況の再現実験をしていないのが不思議です。

【原因】
被告人の証言が全く要領を得ません。終始、しくしくと泣いてばかりです。
被害者遺族も事故原因を知りたい一心で、被害者参加制度を利用していますが、結局のところ真相究明にはほど遠いものです。

被告人は事故車両を購入後ほぼ、毎日の通勤に使用していたと言いますが、基本的に操作方法を全く理解していなかった様子です。

一点気になった事があります。アクセル全開の状態でドライブモードにへの変更を許容する必要が有るのでしょうか。(急発進する必要性を感じません)
エンジンが高回転時に(無理矢理)駆動系のギアを接続したなら、機械的にもダメージを受けるリスクが高くなります。この様な明らかな操作ミスに対し例外処理する事なく、誤操作に従って車両を急発進→急加速させる必要は有るのでしょうか疑問です。

オートマ車のドライブセレクタはスイッチに過ぎません、エンジン自体はソフトウエアを介して制御される筈です。(そういえば、この車はアクセルペダルもスイッチだった気がしますが?)
であるならば、ペダルの踏み間違いのが懸念される本件事故の様な状況下においては、警報*を発した後にエンジン回転が下がるまでの間はアクセル開度を制限する様な制御プログラミングをすべきでは無いでしょうか。との素人意見であります。

*)例えば「アクセルとブレーキを間違えています」と言う警告音声、高齢者でも判る様な大きな警告灯など。

MT車であれば、エンジン音を聞き回転数に注意しながらながらクラッチを繋ぐので本件の様な事故は起きなかったのでは無いかと思います。
エンジニアの努力が運転者のハードルを低くした結果、事故防止の為のハードル迄もがより低くなってしまったと思えてなりません。

【求刑】
禁固3年
拘置施設で刑務作業もしないで、3年間じっとしているのは堪え難い苦痛でしょう。もっとも、実刑判決が出る程悪質な事案とも思えません。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« さいたま地裁10月8日開廷... | トップ | 被告人村川卓也本日も行方不明 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。