トレハロースは私たちが食べる食材の中にも含まれている食品添加物
トレハロースは、スクロース(砂糖)、マルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)と同じように自然界に存在する糖の一種で、きのこ類や酵母などに含まれています。
甘さは砂糖の40%程度しかありませんが、食品のやわらかさを保ったり老化を防止する効果が高いことから、パンや和菓子、洋菓子、惣菜、レトルト食品などの食材に食品添加物として利用されています。
現在では、トレハロースは菓子や食品だけでなく化粧品、入浴剤、園芸用途などにも幅広く使用されており、海外での利用も増加しています。
そもそも食品添加物って一体何?
トレハロースが食品添加物として利用されていることを説明しましたので、改めて食品添加物についても説明します。
食品添加物というと「体に悪い」というイメージを持たれがちですが、食品衛生法では「食品の製造過程で、または食品の加工や保存の目的で食品に添加、混和などの方法によって使用するもの」となっています。
つまり、食品にごく少量加えることによって様々な役割をする物質のことを食品添加物というのです。
食品添加物の主な役割としては、次の4つが挙げられます。
- 食品の品質低下(腐敗や変質)を防ぐ。
- 食品の外観や、味や香りなどを向上させる。
- 食品の栄養価を高める。
- 食品の製造、加工に必要。
トレハロースの安全性は?
日本では、すべての食品添加物は安全性に関する評価を経て認められています。
トレハロースも例外ではなく、安全性評価を経て認められています。
前述のように、トレハロースは自然界に存在する糖類ですので、現在市販されているトレハロースもトウモロコシなどのデンプンから作られています。
また、国際的には、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家会議(JECFA)で安全性評価が行われており、トレハロースは安全性の高い食品添加物であることが評価され、1日摂取許容量(ADI)を特定しない食品添加物に認められています。
トレハロースを摂ってから消化・吸収されるまで
食品や飲料とともに口から摂取した糖質は、小腸に存在する酵素で分解されて吸収されます。
糖の一種であるトレハロースは、トレハラーゼという酵素によってブドウ糖に分解されて小腸から吸収されます。
ちなみに、スクロース(砂糖)は、スクラーゼという酵素によってブドウ糖と果糖に分解されて小腸から吸収されますし、マルトース(麦芽糖)は、マルターゼという酵素によってブドウ糖に分解されて吸収されます。
ラクトース(乳糖)は、ラクターゼという酵素によってガラクトースとブドウ糖に分解されます。
トレハロースに危険性はないの?下痢や腸炎との関係は?
2018年に、科学雑誌Natureに「トレハロースがCD(クロストリジウム・ディフィシル)強毒株による腸炎患者の急増に関わっている」という主旨の論文が掲載されたため、トレハロースがCD強毒株による下痢や腸炎の原因になっているという情報がネット上に流れました。
しかし、この論文には多くの矛盾点があることが指摘されており、現在ではトレハロースはCD強毒株による下痢や腸炎との関係性はないという判断がされています。
摂りすぎるとお腹が緩くなる人もいるが体に害はない
一部の人ではトレハロースを一度に大量に摂取すると一時的にお腹が緩くなることがあると言われていますが、これは、トレハロースを小腸で分解するトレハラーゼという酵素の働きに個人差があるためです。
これは牛乳に含まれる乳糖を分解するラクターゼの働きが弱い人が、牛乳を飲んだらお腹がごろごろするのと同じような原理です。
これについても、CD強毒株による腸炎とは全く関係がありません。
トレハロースは安全性の高い食品添加物
説明してきたように、トレハロースはもともと自然界に存在する糖類の一つで、なめこや椎茸などのきのこ類や酵母にも含まれているものですので、多くの方が意識せずに日常的に食べていることになります。
また、日本においては、食品添加物は安全性に関する評価を経て認められていますので、トレハロースは安全性の高い食品添加物ということができます。
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