<第41回>「人気番頭の復活」
番頭の源さんが信州屋に復帰。以前の活気が戻ってきた。
源さんが大切にしている盆栽に、若い男・石坂が勝手に鋏を入れていた。はるが注意すると、自分は造園師だ、と石坂は悪びれもせずに答える。
その石坂が、カップルの野田、江里子とともに信州屋に泊まる。
三人は一見、楽しそうだったが、はるは野田と江里子の言い争いを聞いてしまう。帰ってほしい、という江里子に対して、ガンの手術を目前にひかえた江里子を気遣う野田。
はるは思わず、江里子を励ますが、石坂から無神経だと非難される。
実は、江里子は乳ガンだった。
<第42回>「深刻な恋人たち」
はるは江里子が乳ガンだと知り、ショックを受ける。
石坂は野田の親友で、江里子の不安を和らげるために、旅行へ誘ったという。野田は江里子の支えになりたいと言い、彼女がなんと言おうと、自分の気持ちは変わらないと。
江里子は思いつめた表情で、どこにも出かけようとしなかった。かなえから、二人のことは二人に任せたほうがいい、と忠告されていたはるだったが、じっとしていられなくて、観光用のパンフレットを持って、江里子の部屋へ行く。
すると、中から言い争う声が・・・・・・。別れたい、と主張する江里子に対して、きっぱりと拒否する野田。江里子は信じられない言葉を浴びせかける。
<第43回>「愛のために別れる」
江里子が一人だけでチェックアウトすると言いだす。
はるは江里子の本心を知るために、野田と一芝居打つ。
果して、江里子は野田への愛を告白。
が、野田は江里子の望みどおり別れるという。
はるは源さんやかなえと江里子を励ます。江里子は野田の胸に飛び込み、二人で生きていく決心をする。
ここ何日か仕事が上の空の公平が、ヘッドハンティングされていることを打ち明ける。龍二はどこへでも行け、と雷を落とすが、はるはひきとめる。
かなえは勝人の協力で、バリアフリーのための改装計画を立てる。二人の親密そうな様子に、仲居たちはあれこれ噂し合う。
<第44回>「客のプライバシー」
通いの仲居・シズ子が亭主に愛想を尽かして、家出。寮に転がり込む。
信州屋に、会社の部長・桑野が宿泊する。どこか拒絶的な桑野に、首を傾げるはる。そのうえ、気になることに、桑野は鞄の中にロープをしまっていた。
その日、桑野を知っている男が、たまたま信州屋に泊まる。その男の言葉から桑野がリストラされたことを知るはる。桑野は再就職が決まったというが、はるは信じられない。
その夜、桑野が大浴場の前に倒れていた。自殺か、とはるらは心配するが、気分を悪くしたのだった。
翌日、はるの連絡を受けて、桑野の妻・博子が駆けつけてくる。動揺する桑野・・・・・・。
<第45回>「預かった離婚届」
桑野は会社をリストラされたことを博子には黙っていた。が、博子はすでにそれを知っていて、離婚届をつきつける。
かなえはその離婚届を預かり、二人でもう一度よく話し合うよう訴える。
翌日、桑野と博子は二人で再出発する決意をし、仲良く安曇野観光に出かけていく。
シズ子の夫が入院。離婚を口走っていたシズ子だが、あわてて病院へ駆けつける。
博子が厳しい顔で戻ってきて、一人で帰ると言いだす。桑野が相変わらず尊大なので、嫌気がさしたという。はるは、桑野の博子への思いが伝わる“あるもの”を見せて、二人の中をとりもつ。
<第46回>「降ってわいた縁談」
勝人の母で、ハワイで手広く商売をしている八重子が、信州屋を買い取りにやってくる。
かなえは断るが、八重子はしばらく信州屋に滞在するという。勝人はそのことを知らなかった。
八重子は手に入りにくい酒を注文したり、献立にはない料理を要求したり、わがまま放題。はるは必死に八重子の望みどおりにする。
その夜、様子のおかしい一組の老夫婦が信州屋に泊まる。「美鈴」では信用できない客は泊めない、という八重子。
果して、翌朝、老夫婦は置き手紙を残して姿を消す。詐欺だと主張する八重子に対して、はるは否定。
八重子は勝人に、はると結婚するよう言い渡す。
<第47回>「電撃プロポーズ」
はるの仕事ぶりに惚れ込んだ八重子が、はるを勝人の嫁に決める。はるも勝人も拒否するが、八重子は意に介さず、かなえのところに話しにいく。今夜正式に縁談を進めたいから、かなえに立ち合ってもらいたいと。
かなえは動揺を隠して、はるに勝人との結婚を勧める。
かなえと勝人が互いに好意を抱いているのを知っているはるは勝人に、自分の気持ちをストレートにぶつけるべきだ、とはっぱをかける。
その夜、信州屋で、八重子を中心に縁談の話し合いが行われる。勝人ははるとの結婚をきっぱりと断り、突然、かなえにプロポーズする。
<第48回>「幻の恋人探し・・・」
勝人がかなえにプロポーズ。はるは喜ぶが、八重子は勝人をけしかけたはるがまるます気にいり、はるのことは絶対にあきらめないと言い張る。
はるはかなえと勝人の仲がうまくいくよう、仲間たちに協力を求める。
一方、かなえは勝人の気持ちは嬉しいものの、信州屋の暖簾のことを考えると、どうしていいかわからない。
未来はかなえの恋愛に、激しく動揺する。
翌日、八重子が再びはるを訪ねてきて、ぜひ嫁に来てほしいと懇願する。思いあまったはるは、自分には恋人がいると宣言。彼を八重子に紹介するはめになる。
途方に暮れたはるは、造園師の石坂とばったり再会。名案を思いつく。
<第49回>「嘘の恋人同士」
はるは石坂に恋人のふりをしてもらうよう頼む。人助け、と聞き、石坂はしぶしぶ承知。はるは石坂を信州屋へ連れてくる。かなえははるの芝居をすぐに見抜くが、はるは気にせず、八重子に石坂を紹介する。
八重子は石坂にいろいろな質問をする。石坂の言葉に嘘がないことがわかった八重子は、きっぱりはるのことを諦める。
はるは計画がうまくいって、大喜びするが、八重子の涙を見て、心が痛む。
未来が北海道の全寮制の高校へ行きたいと言いだす。かなえは絶対反対。
彩が、ストーカーのようなメル友のことで、未来に相談にくる。
<第50回>「気づいてない愛」
翌日、彩からの電話で飛び出していった未来が、彩、恵と脅えながら帰ってくる。ストーカー男に追われているという。
そこへ、仕事に行く途中の石坂が通りかかる。その日の仕事は石坂の将来がかかった大切な仕事だったが、石坂ははるのことを放っておけなかった。
まもなく、ストーカー男が乗り込んでくる。ナイフをふりかざす男からはるを守るため、石坂は手に怪我をする。
勝人が駆けつけ、男を撃退する。
かなえは未来のために、勝人からのプロポーズを断る。
石坂は仕事に遅れた責任をとって、退職。信州屋で働くことになる。
<第51回>「石坂くんの告白」
石坂が信州屋で働き始める。主に雑用係だが、その真面目な働きぶりに、皆、好感を持つ。石坂ははるのことが好きだった。ある日、石坂ははるに告白。つき合ってほしい、と申し込む。はるは驚くが、今は仕事しか眼中にないと言って、話をはぐらかす。
はると石坂のことが、仲居たちの噂にのぼる。皆にからかわれても、はるのことはあきらめない、と石坂は屈託がない。
そんなある日、はるは旅行者らしい若い女性・千晶と知り合う。恋人が突然いなくなった、と泣く千晶の話を聞くうちに、はるは千晶の相手が石坂だと知る。
はるは千晶を石坂にひき合わせる。
<第52回>「苦悩の三角関係」
千晶は、石坂が自ら破門を申し出た親方の娘だった。石坂との結婚を夢見ていた千晶は、なぜ黙っていなくなったのか、と石坂に問いかける。千晶に好感を持つものの、恋愛感情を抱いたことのない石坂は、困惑顔。
一方、はるは千晶の純粋な愛に胸を打たれ、千晶を応援することに決める。
千晶が、信州屋で住み込みで働きたいと言いだす。石坂は千晶に帰るよう言い聞かせ、自分ははるのことが好きだ、と打ち明ける。
ショックを受けた千晶ははるを恨みながら、帰っていく。自分のお節介が千晶を傷つけることになり、はるは深く落ち込む。石坂もまた傷ついていた。
<第53回>「悲しい置き手紙」
計らずも、千晶と石坂を傷つけてしまったはるは、自己嫌悪に陥り、石坂とまともに向きあえなくなる。はるはひたすら仕事に打ち込み、なんでもかんでも1人でこなそうとする。
そんなはるを心配して、源さんが話を聞く。はるは、これ以上石坂を傷つけたくないから、本気で仕事にかけているところを見せるしかない、と答える。源さんは勇気を出してケジメをつけるべきだと忠告する。
はるは石坂に謝り、自分の気持ちを伝える。はるがどんなに仕事を愛しているかわかった石坂は、自分の方からも謝る。
翌朝、石坂が1枚のメモを残して、信州屋からいなくなる。
<第54回>「失恋の痛み・・・」
石坂が黙って、はるの前から姿を消す。ショックを受けるはるを気遣い、かなえはその日1日、はるに休みを取らせる。
その夜、はるは源さんから、別れた妻と再び入籍したことを知らされる。源さんの妻は寝たきりだが、「一瞬、一瞬のお互いの思いを大事にしたい」という源さんの言葉に、はるは心打たれる。
八重子が、石坂の親方から預かったという剪定バサミをはるに届けにくる。石坂の腕をかっている親方からの贈り物で、石坂に渡してほしいと。
石坂は今、上高地にいて知り合いのホテルでアルバイトをしているという。
はるは上高地へ駆けつける。
<第55回>「上高地での再会」
はるは石坂のいる上高地のホテル「白樺荘」へ駆けつける。
そして、石坂に剪定バサミを渡し、いろいろと語り合う。
その夜、はるはホテルに泊まり、翌朝、帰る。石坂は“たいまつ祭り”までには帰ると約束するのだが・・・。
<第56回>「愛のお見舞弁当」
石坂が怪我をして、病院へ運ばれる。命に別状はなかったが、全治一ヵ月。子どもを助けようとして、崖から落ちたという。はるは献身的に看病する。かなえたちはそんなはるを温かく見守る。
まもなく、石坂が退院。完治するまで、信州屋で養生することに。
はるは石坂に愛を告白しようとするが、言いそびれる。
その夜、石坂の退院祝いの祝宴が開かれる。酔った源さんは石坂に、はるを幸せにしてほしいと頼む。
数日後、八重子が険しい表情で、かなえを訪ねてくる。親方の話によると、石坂の怪我をした手は、二度と元に戻らないと・・・・・・。愕然とするはる・・・・・・。
<第57回>「悲しすぎる宣告」
石坂の右手は日常生活に支障はないが、造園師として復帰するのは無理だという。はるは仕事が手につかず、石坂に事実を告げることなどとうていできない。
信州屋に、若い女性客・悦子が来る。
そして、翌朝、悦子を追って、恋人の戸田が来る。戸田はJリーガーだが、怪我で再起不能になり、悦子から別れをきりだされていた。
はるは、二人で新しい夢を見つけてほしい、と悦子を非難。はるの気持ちがわかるかなえは、土下座して悦子に謝る。
結局、戸田は一人で帰っていく。
その夜、はるは思いきって、石坂に右手のことを告げる。
<第58回>「奇跡を信じて・・・」
はるは石坂に、右手の神経麻痺は治らないことを告げる。石坂はショックを受けたものの、「努力すれば不可能なことはない。怪我は絶対に治して見せる」と笑顔を見せる。
翌日、石坂は今まで通り仕事ができることを証明するために、頼まれていた仕事に出かけていく。
その日、シズ子が休みをとり、志保と南は急病で働けなくなる。かなえは予約客を断ろうとするが、はるは「努力すれば不可能なことはない」と、一人で乗りきるつもり。
口うるさいことで有名な会社社長・百瀬が宿泊。自発的に仲居の仕事を手伝っていた未来の茶髪が気にいらず、憤慨して帰ろうとする。
<第59回>「去っていく足音」
茶髪の仲居に腹を立て、帰ろうとした百瀬を、はるは引きとめる。未来も必死に事情を説明。百瀬は機嫌を直す。
そして、はるらはその夜の仕事を無事、こなす。
そこへ、石坂が暗い表情で帰ってくる。仕事は失敗。病院を回り、怪我は絶望的だと思い知らされたという。はるは石坂を励ますが、石坂は、自分のことは忘れてほしい、と捨鉢になる。
翌日、石坂は源さんや未来の励ましにも、頑に心を閉ざす。
そして、深夜泥酔して、チンピラと大喧嘩。悲しくなったはるは、「私の前から消えて」と口走る。
石坂は信州屋から出ていく。
<第60回>「新しい夢の発見」
石坂が去って一週間。はるはことさら明るくふるまい、仕事に没頭する。
若い女性まどかが信州屋に宿泊。板長に会わせてほしいという。龍二が行くと、まどかは驚いた顔になり、順の名を呼ぶ。
実は、まどかは順の恋人で、順は自分は板長だと嘘をついていたのだ。まどかは怒って、帰ろうとする。はるは一計を案じて、二人を仲直りさせる。石坂からはるに手紙が届く。「もう一度会いたい」と。はるは石坂の待つ上高地へ駆けつける。
石坂は、新しい夢が見つかったといい、樹木医になる決心を語る。
そして、イギリスへ行くと。
<第61回>「一人で旅立つ人」
石坂は樹木医になるためイギリスへ行くという。
そして、一人前になったとき、もしはるが自分のことを忘れないでいてくれたら、改めてプロポーズすると。
はるは明るく石坂に別れを告げる。
はるのことが不憫なかなえは、石坂に会いにいく。
が、石坂の一人で渡英する決心は変わらなかった。
そんな折、八重子がかなえに、勝人と結婚するようきりだす。どうしても信州屋を手に入れたい八重子は、かなえに美鈴の女将になってもらい、信州屋は美鈴の傘下として、自分の指導のもと、はるに雇われ女将として取り仕切ってもらうと。
思いもよらない話に、はるは呆然。
<第62回>「キャンペーン失敗」
信州屋を美鈴の傘下にしたい、という八重子からの申し出を、かなえはきっぱりと断る。はるも女将になる気は毛頭なかった。
伝統ある名旅館が次つぎと閉鎖するなか、勝人は心配そうにかなえを見守る。
かなえが商売を度外視した破格の安値の宿泊プランを提案。自らチラシを配って歩く。
が、「閉店セールを始めたのか」と陰口をたたかれ、予約もさっぱりだった。
かなえはめげることなく、起死回生の次の手を打つ。ホテル批評で有名なエッセイスト・黒田を招き、最高のサービスを提供、高い評価をしてもらおうと考えたのだ。料理もいつものものではなく、金に糸目はつけいないという。
<第63回>「許せない不正」
エッセイストの黒田が、信州屋に来る。いい記事を書いてもらいたいかなえは、黒田に足もとを見られ、賄賂を要求される。
かなえが賄賂を渡そうとしているのを知ったはるは非難。他の従業員たちも動揺し、八重子の提案に賛成する。
その夜、かなえが黒田に金を渡すと、未来が飛び込んできて、黒田に突っかかっていく。
はるもかっとなって、啖呵を切って、黒田を追い出す。
仲居たちは皆で美鈴にトラバーユしようと相談し合う。
はるもその気になるが、源さんは皆に、かなえの本当の気持ちを語って聞かせる。
<第64回>「お客様は家族です」
かなえが従業員を守るために、自分一人で泥をかぶろうとしたのを知ったはるたちは、かなえに協力して皆で信州屋を守り立てていこうと励まし合う。
そんなとき、黒田が再び来訪。信州屋を酷評したゲラずり段階の新聞の原稿を見せ、脅迫する。
かなえは動じず、黒田のための料理を出して、心からもてなす。
黒田は脱帽。八重子を呼んでほしいという。
実は、黒田と八重子は知り合いで、かなえの女将としての力量を認めた八重子は、信州屋のバリアフリーの資金を融資する。
まもなく、黒田の好意的な新聞記事により、信州屋には予約が殺到。はるたちは忙しくなる。
<第65回>「笑顔でサヨナラ」
信州屋に客がつめかけ、経営が軌道に乗り始めた。
はるは嬉しいが、気になることが一つあった。未来が自分のことを頼りにするあまり、かなえとのいい親子関係が築けないのだ。
はるは信州屋を辞めることを決意。勝人に頼んで、ヘッドハンティングの話をでっちあげる。
はるに裏切られたと思った未来は、旅館の後継者になることを宣言。かなえに仕事を一からたたき込んでほしいと頼む。
翌朝、はるは皆に黙って信州屋を出る。はるが自分のために悪役を演じていたのを知った未来が追いかけてくる。
そして、かなえはじめ、従業員たちも笑顔ではるを見送る。
番頭の源さんが信州屋に復帰。以前の活気が戻ってきた。
源さんが大切にしている盆栽に、若い男・石坂が勝手に鋏を入れていた。はるが注意すると、自分は造園師だ、と石坂は悪びれもせずに答える。
その石坂が、カップルの野田、江里子とともに信州屋に泊まる。
三人は一見、楽しそうだったが、はるは野田と江里子の言い争いを聞いてしまう。帰ってほしい、という江里子に対して、ガンの手術を目前にひかえた江里子を気遣う野田。
はるは思わず、江里子を励ますが、石坂から無神経だと非難される。
実は、江里子は乳ガンだった。
<第42回>「深刻な恋人たち」
はるは江里子が乳ガンだと知り、ショックを受ける。
石坂は野田の親友で、江里子の不安を和らげるために、旅行へ誘ったという。野田は江里子の支えになりたいと言い、彼女がなんと言おうと、自分の気持ちは変わらないと。
江里子は思いつめた表情で、どこにも出かけようとしなかった。かなえから、二人のことは二人に任せたほうがいい、と忠告されていたはるだったが、じっとしていられなくて、観光用のパンフレットを持って、江里子の部屋へ行く。
すると、中から言い争う声が・・・・・・。別れたい、と主張する江里子に対して、きっぱりと拒否する野田。江里子は信じられない言葉を浴びせかける。
<第43回>「愛のために別れる」
江里子が一人だけでチェックアウトすると言いだす。
はるは江里子の本心を知るために、野田と一芝居打つ。
果して、江里子は野田への愛を告白。
が、野田は江里子の望みどおり別れるという。
はるは源さんやかなえと江里子を励ます。江里子は野田の胸に飛び込み、二人で生きていく決心をする。
ここ何日か仕事が上の空の公平が、ヘッドハンティングされていることを打ち明ける。龍二はどこへでも行け、と雷を落とすが、はるはひきとめる。
かなえは勝人の協力で、バリアフリーのための改装計画を立てる。二人の親密そうな様子に、仲居たちはあれこれ噂し合う。
<第44回>「客のプライバシー」
通いの仲居・シズ子が亭主に愛想を尽かして、家出。寮に転がり込む。
信州屋に、会社の部長・桑野が宿泊する。どこか拒絶的な桑野に、首を傾げるはる。そのうえ、気になることに、桑野は鞄の中にロープをしまっていた。
その日、桑野を知っている男が、たまたま信州屋に泊まる。その男の言葉から桑野がリストラされたことを知るはる。桑野は再就職が決まったというが、はるは信じられない。
その夜、桑野が大浴場の前に倒れていた。自殺か、とはるらは心配するが、気分を悪くしたのだった。
翌日、はるの連絡を受けて、桑野の妻・博子が駆けつけてくる。動揺する桑野・・・・・・。
<第45回>「預かった離婚届」
桑野は会社をリストラされたことを博子には黙っていた。が、博子はすでにそれを知っていて、離婚届をつきつける。
かなえはその離婚届を預かり、二人でもう一度よく話し合うよう訴える。
翌日、桑野と博子は二人で再出発する決意をし、仲良く安曇野観光に出かけていく。
シズ子の夫が入院。離婚を口走っていたシズ子だが、あわてて病院へ駆けつける。
博子が厳しい顔で戻ってきて、一人で帰ると言いだす。桑野が相変わらず尊大なので、嫌気がさしたという。はるは、桑野の博子への思いが伝わる“あるもの”を見せて、二人の中をとりもつ。
<第46回>「降ってわいた縁談」
勝人の母で、ハワイで手広く商売をしている八重子が、信州屋を買い取りにやってくる。
かなえは断るが、八重子はしばらく信州屋に滞在するという。勝人はそのことを知らなかった。
八重子は手に入りにくい酒を注文したり、献立にはない料理を要求したり、わがまま放題。はるは必死に八重子の望みどおりにする。
その夜、様子のおかしい一組の老夫婦が信州屋に泊まる。「美鈴」では信用できない客は泊めない、という八重子。
果して、翌朝、老夫婦は置き手紙を残して姿を消す。詐欺だと主張する八重子に対して、はるは否定。
八重子は勝人に、はると結婚するよう言い渡す。
<第47回>「電撃プロポーズ」
はるの仕事ぶりに惚れ込んだ八重子が、はるを勝人の嫁に決める。はるも勝人も拒否するが、八重子は意に介さず、かなえのところに話しにいく。今夜正式に縁談を進めたいから、かなえに立ち合ってもらいたいと。
かなえは動揺を隠して、はるに勝人との結婚を勧める。
かなえと勝人が互いに好意を抱いているのを知っているはるは勝人に、自分の気持ちをストレートにぶつけるべきだ、とはっぱをかける。
その夜、信州屋で、八重子を中心に縁談の話し合いが行われる。勝人ははるとの結婚をきっぱりと断り、突然、かなえにプロポーズする。
<第48回>「幻の恋人探し・・・」
勝人がかなえにプロポーズ。はるは喜ぶが、八重子は勝人をけしかけたはるがまるます気にいり、はるのことは絶対にあきらめないと言い張る。
はるはかなえと勝人の仲がうまくいくよう、仲間たちに協力を求める。
一方、かなえは勝人の気持ちは嬉しいものの、信州屋の暖簾のことを考えると、どうしていいかわからない。
未来はかなえの恋愛に、激しく動揺する。
翌日、八重子が再びはるを訪ねてきて、ぜひ嫁に来てほしいと懇願する。思いあまったはるは、自分には恋人がいると宣言。彼を八重子に紹介するはめになる。
途方に暮れたはるは、造園師の石坂とばったり再会。名案を思いつく。
<第49回>「嘘の恋人同士」
はるは石坂に恋人のふりをしてもらうよう頼む。人助け、と聞き、石坂はしぶしぶ承知。はるは石坂を信州屋へ連れてくる。かなえははるの芝居をすぐに見抜くが、はるは気にせず、八重子に石坂を紹介する。
八重子は石坂にいろいろな質問をする。石坂の言葉に嘘がないことがわかった八重子は、きっぱりはるのことを諦める。
はるは計画がうまくいって、大喜びするが、八重子の涙を見て、心が痛む。
未来が北海道の全寮制の高校へ行きたいと言いだす。かなえは絶対反対。
彩が、ストーカーのようなメル友のことで、未来に相談にくる。
<第50回>「気づいてない愛」
翌日、彩からの電話で飛び出していった未来が、彩、恵と脅えながら帰ってくる。ストーカー男に追われているという。
そこへ、仕事に行く途中の石坂が通りかかる。その日の仕事は石坂の将来がかかった大切な仕事だったが、石坂ははるのことを放っておけなかった。
まもなく、ストーカー男が乗り込んでくる。ナイフをふりかざす男からはるを守るため、石坂は手に怪我をする。
勝人が駆けつけ、男を撃退する。
かなえは未来のために、勝人からのプロポーズを断る。
石坂は仕事に遅れた責任をとって、退職。信州屋で働くことになる。
<第51回>「石坂くんの告白」
石坂が信州屋で働き始める。主に雑用係だが、その真面目な働きぶりに、皆、好感を持つ。石坂ははるのことが好きだった。ある日、石坂ははるに告白。つき合ってほしい、と申し込む。はるは驚くが、今は仕事しか眼中にないと言って、話をはぐらかす。
はると石坂のことが、仲居たちの噂にのぼる。皆にからかわれても、はるのことはあきらめない、と石坂は屈託がない。
そんなある日、はるは旅行者らしい若い女性・千晶と知り合う。恋人が突然いなくなった、と泣く千晶の話を聞くうちに、はるは千晶の相手が石坂だと知る。
はるは千晶を石坂にひき合わせる。
<第52回>「苦悩の三角関係」
千晶は、石坂が自ら破門を申し出た親方の娘だった。石坂との結婚を夢見ていた千晶は、なぜ黙っていなくなったのか、と石坂に問いかける。千晶に好感を持つものの、恋愛感情を抱いたことのない石坂は、困惑顔。
一方、はるは千晶の純粋な愛に胸を打たれ、千晶を応援することに決める。
千晶が、信州屋で住み込みで働きたいと言いだす。石坂は千晶に帰るよう言い聞かせ、自分ははるのことが好きだ、と打ち明ける。
ショックを受けた千晶ははるを恨みながら、帰っていく。自分のお節介が千晶を傷つけることになり、はるは深く落ち込む。石坂もまた傷ついていた。
<第53回>「悲しい置き手紙」
計らずも、千晶と石坂を傷つけてしまったはるは、自己嫌悪に陥り、石坂とまともに向きあえなくなる。はるはひたすら仕事に打ち込み、なんでもかんでも1人でこなそうとする。
そんなはるを心配して、源さんが話を聞く。はるは、これ以上石坂を傷つけたくないから、本気で仕事にかけているところを見せるしかない、と答える。源さんは勇気を出してケジメをつけるべきだと忠告する。
はるは石坂に謝り、自分の気持ちを伝える。はるがどんなに仕事を愛しているかわかった石坂は、自分の方からも謝る。
翌朝、石坂が1枚のメモを残して、信州屋からいなくなる。
<第54回>「失恋の痛み・・・」
石坂が黙って、はるの前から姿を消す。ショックを受けるはるを気遣い、かなえはその日1日、はるに休みを取らせる。
その夜、はるは源さんから、別れた妻と再び入籍したことを知らされる。源さんの妻は寝たきりだが、「一瞬、一瞬のお互いの思いを大事にしたい」という源さんの言葉に、はるは心打たれる。
八重子が、石坂の親方から預かったという剪定バサミをはるに届けにくる。石坂の腕をかっている親方からの贈り物で、石坂に渡してほしいと。
石坂は今、上高地にいて知り合いのホテルでアルバイトをしているという。
はるは上高地へ駆けつける。
<第55回>「上高地での再会」
はるは石坂のいる上高地のホテル「白樺荘」へ駆けつける。
そして、石坂に剪定バサミを渡し、いろいろと語り合う。
その夜、はるはホテルに泊まり、翌朝、帰る。石坂は“たいまつ祭り”までには帰ると約束するのだが・・・。
<第56回>「愛のお見舞弁当」
石坂が怪我をして、病院へ運ばれる。命に別状はなかったが、全治一ヵ月。子どもを助けようとして、崖から落ちたという。はるは献身的に看病する。かなえたちはそんなはるを温かく見守る。
まもなく、石坂が退院。完治するまで、信州屋で養生することに。
はるは石坂に愛を告白しようとするが、言いそびれる。
その夜、石坂の退院祝いの祝宴が開かれる。酔った源さんは石坂に、はるを幸せにしてほしいと頼む。
数日後、八重子が険しい表情で、かなえを訪ねてくる。親方の話によると、石坂の怪我をした手は、二度と元に戻らないと・・・・・・。愕然とするはる・・・・・・。
<第57回>「悲しすぎる宣告」
石坂の右手は日常生活に支障はないが、造園師として復帰するのは無理だという。はるは仕事が手につかず、石坂に事実を告げることなどとうていできない。
信州屋に、若い女性客・悦子が来る。
そして、翌朝、悦子を追って、恋人の戸田が来る。戸田はJリーガーだが、怪我で再起不能になり、悦子から別れをきりだされていた。
はるは、二人で新しい夢を見つけてほしい、と悦子を非難。はるの気持ちがわかるかなえは、土下座して悦子に謝る。
結局、戸田は一人で帰っていく。
その夜、はるは思いきって、石坂に右手のことを告げる。
<第58回>「奇跡を信じて・・・」
はるは石坂に、右手の神経麻痺は治らないことを告げる。石坂はショックを受けたものの、「努力すれば不可能なことはない。怪我は絶対に治して見せる」と笑顔を見せる。
翌日、石坂は今まで通り仕事ができることを証明するために、頼まれていた仕事に出かけていく。
その日、シズ子が休みをとり、志保と南は急病で働けなくなる。かなえは予約客を断ろうとするが、はるは「努力すれば不可能なことはない」と、一人で乗りきるつもり。
口うるさいことで有名な会社社長・百瀬が宿泊。自発的に仲居の仕事を手伝っていた未来の茶髪が気にいらず、憤慨して帰ろうとする。
<第59回>「去っていく足音」
茶髪の仲居に腹を立て、帰ろうとした百瀬を、はるは引きとめる。未来も必死に事情を説明。百瀬は機嫌を直す。
そして、はるらはその夜の仕事を無事、こなす。
そこへ、石坂が暗い表情で帰ってくる。仕事は失敗。病院を回り、怪我は絶望的だと思い知らされたという。はるは石坂を励ますが、石坂は、自分のことは忘れてほしい、と捨鉢になる。
翌日、石坂は源さんや未来の励ましにも、頑に心を閉ざす。
そして、深夜泥酔して、チンピラと大喧嘩。悲しくなったはるは、「私の前から消えて」と口走る。
石坂は信州屋から出ていく。
<第60回>「新しい夢の発見」
石坂が去って一週間。はるはことさら明るくふるまい、仕事に没頭する。
若い女性まどかが信州屋に宿泊。板長に会わせてほしいという。龍二が行くと、まどかは驚いた顔になり、順の名を呼ぶ。
実は、まどかは順の恋人で、順は自分は板長だと嘘をついていたのだ。まどかは怒って、帰ろうとする。はるは一計を案じて、二人を仲直りさせる。石坂からはるに手紙が届く。「もう一度会いたい」と。はるは石坂の待つ上高地へ駆けつける。
石坂は、新しい夢が見つかったといい、樹木医になる決心を語る。
そして、イギリスへ行くと。
<第61回>「一人で旅立つ人」
石坂は樹木医になるためイギリスへ行くという。
そして、一人前になったとき、もしはるが自分のことを忘れないでいてくれたら、改めてプロポーズすると。
はるは明るく石坂に別れを告げる。
はるのことが不憫なかなえは、石坂に会いにいく。
が、石坂の一人で渡英する決心は変わらなかった。
そんな折、八重子がかなえに、勝人と結婚するようきりだす。どうしても信州屋を手に入れたい八重子は、かなえに美鈴の女将になってもらい、信州屋は美鈴の傘下として、自分の指導のもと、はるに雇われ女将として取り仕切ってもらうと。
思いもよらない話に、はるは呆然。
<第62回>「キャンペーン失敗」
信州屋を美鈴の傘下にしたい、という八重子からの申し出を、かなえはきっぱりと断る。はるも女将になる気は毛頭なかった。
伝統ある名旅館が次つぎと閉鎖するなか、勝人は心配そうにかなえを見守る。
かなえが商売を度外視した破格の安値の宿泊プランを提案。自らチラシを配って歩く。
が、「閉店セールを始めたのか」と陰口をたたかれ、予約もさっぱりだった。
かなえはめげることなく、起死回生の次の手を打つ。ホテル批評で有名なエッセイスト・黒田を招き、最高のサービスを提供、高い評価をしてもらおうと考えたのだ。料理もいつものものではなく、金に糸目はつけいないという。
<第63回>「許せない不正」
エッセイストの黒田が、信州屋に来る。いい記事を書いてもらいたいかなえは、黒田に足もとを見られ、賄賂を要求される。
かなえが賄賂を渡そうとしているのを知ったはるは非難。他の従業員たちも動揺し、八重子の提案に賛成する。
その夜、かなえが黒田に金を渡すと、未来が飛び込んできて、黒田に突っかかっていく。
はるもかっとなって、啖呵を切って、黒田を追い出す。
仲居たちは皆で美鈴にトラバーユしようと相談し合う。
はるもその気になるが、源さんは皆に、かなえの本当の気持ちを語って聞かせる。
<第64回>「お客様は家族です」
かなえが従業員を守るために、自分一人で泥をかぶろうとしたのを知ったはるたちは、かなえに協力して皆で信州屋を守り立てていこうと励まし合う。
そんなとき、黒田が再び来訪。信州屋を酷評したゲラずり段階の新聞の原稿を見せ、脅迫する。
かなえは動じず、黒田のための料理を出して、心からもてなす。
黒田は脱帽。八重子を呼んでほしいという。
実は、黒田と八重子は知り合いで、かなえの女将としての力量を認めた八重子は、信州屋のバリアフリーの資金を融資する。
まもなく、黒田の好意的な新聞記事により、信州屋には予約が殺到。はるたちは忙しくなる。
<第65回>「笑顔でサヨナラ」
信州屋に客がつめかけ、経営が軌道に乗り始めた。
はるは嬉しいが、気になることが一つあった。未来が自分のことを頼りにするあまり、かなえとのいい親子関係が築けないのだ。
はるは信州屋を辞めることを決意。勝人に頼んで、ヘッドハンティングの話をでっちあげる。
はるに裏切られたと思った未来は、旅館の後継者になることを宣言。かなえに仕事を一からたたき込んでほしいと頼む。
翌朝、はるは皆に黙って信州屋を出る。はるが自分のために悪役を演じていたのを知った未来が追いかけてくる。
そして、かなえはじめ、従業員たちも笑顔ではるを見送る。
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