写真は武漢駅

2021年2月22日、共産党機関紙・人民日報系の環球時報は、ドイツの物理学者が「新型コロナは武漢の実験室から漏れた」との報告を発表し、同国内で激しい非難を浴びていると報じた。

記事は、ドイツの物理学者ローランド・ビーゼンダンガー氏がこのほど「新型コロナの遡及研究」報告を発表したと紹介。同氏はハンブルク大学ナノ構造・固体物理学研究所教授で、ドイツ科学技術アカデミーの会員でもあるとした上で、報告について「湖北省武漢市の華南海鮮市場ではコウモリは売買されておらず、武漢ウイルス研究所がコウモリ病原体を保有していたことから、新型コロナは武漢の実験室からやってきたもの」との結論を出したと伝えた。また、同氏がドイツのテレビ取材を受けた際に「武漢の実験室から新型コロナが発生したと99.9%確信している」と語ったことを紹介している。

一方で、同氏による100ページに及ぶ報告は「科学的根拠がない」と主張。科学論文で禁止されている色付きのマーキングや画像のコピー張り付けなどが行われていたとし、ドイツ紙ディ・ヴェルトが21日に「単なるコレクションのようであり、科学研究とは言えない」と評したことを伝えた。

環球時報の記事は、「ドイツのメディア、学者、政治家らは、一斉に同氏の報告に対して『ネット文章のゴミを積み重ねたもの』『学術界の恥』『研究は反アジア民族主義を扇動するもの』などと批判を展開している」とし、ハンブルク大学に対して報告の撤回を求める声が出ていると伝えた。(WEB引用掲載)