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ビリーは喜んだが、すると心配も発生した。
「しかしまさか・・・チャンを許したりはしないよな？」
「いい？ 私は叔父さんを許せない」
アンナはチャン・チョルスの甥っ子らを登校前に呼んで強調した。
「だから私がいる間、叔父さんはここには帰らない。みんな、よく聞いて。私はチャン・チョルスが嫌いよ。だから、あんたたちとも仲良くできない。いい？ それが人間関係というものよ。これからは気安く私に話しかけないで」
チャン・チョルスの甥っ子たちは元気に声を揃えた。
「は～い」
「わかってくれたなら行っていいわ」
「は～い、行ってきまーす」
「挨拶もダメ。しないで」
「どうして？」
グンソクが訊ねた。
「おばさんは僕たちが嫌いなんだよ」
長男のジュンソクが説明した。
「僕たちは好きだよ」
ユンソクはアンナに向かって笑顔を振りまいた。
「全部勘違いよ。悪い叔父さんのせいで生まれた誤解なの。だから、好きにならないで」
アンナはつんとして子供たちに言った。
アンナが出てくるとコッスンは尻尾を振って彼女に甘えた。アンナはそんな彼を排斥し、叱り付けた。
「ダメ。尻尾なんか振らないで。あんたの飼い主と私は敵なんだ。尻尾なんか振ったらデートに行かせないわよ」
チョルスの家族とムキになって対抗してるアンナのところにケジュが顔を出した。
「ナさん、ここにいたのね」
「その呼び方はやめて」
アンナは不快そうに言った。
「私はそのような人間ではありません」
「・・・昨日、ドックから聞いたわ。大丈夫？」
「・・・」
「ご飯は食べた？」
「大丈夫だと思います？ 心配するフリなんかやめて」
「心配するわよ。まったく・・・まずは食べないと、ほら、行こう」
ケジュはアンナの手を取った。アンナはその手をふりほどいた。
「けっこうです」
「何言ってるの。ほらほら」
ケジュはアンナの背を押して家に入った。
ご飯の支度をしてあげ、ケジュは言った。
「何はともあれ、食べて、元気は出さないと。チョルスと喧嘩だってできないでしょ」
アンナは毅然として言った。
「怒る価値もない男よ。顔も見たくない」
「・・・ナさんは、ほんとに何も覚えてないの？」
「私はナじゃありません」
「ナさんはチョルスを殴った強盗だっていうじゃない？」
アンナは少し動揺した。チョルスにも聞かされているからだ。
しかし、アンナは答えるのを拒んだ。
「覚えてません」
ケジュは興味しんしんでさらに訊ねた。
「犬も盗んだそうね」
「・・・覚えてないわ」
「彼を海に落としたのも、頭に挟んだまま運転したのも、みんなナさんのやったことだそうね？」
バツが悪くなったがアンナは意地になって答えた。
「おっ、お・・・覚えてません。だから、ナさん、ナさんって呼ばないでください」
ケジュは呆れた。
「まったく・・・何も覚えてないなら仲直りもしようがないじゃない」
「チャン・チョルスのやった私への仕打ちに比べれば、そんなの何でもないわ。私は家族も捜せず、監禁されたんですから」
「それは違うわよ」ケジュは言った。「チョルスは必死に努力したけど・・・あなたを捜す人がいなかっただけよ」
「”私を捜す人がいない”？」
アンナは真顔になった。
「それはどういうこと？」
