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全50話のドラマである。長いので多くの時間を奪われる。２～３話見て面白くなければ中断しようと思って見始めた。
すると、つっこみどころは満載でも、致命的にダメ、って感じはしなくてそれなりスムーズに見ていけた。
「ランラン18歳」を思わせる明るい役どころはヒロインを務めるハン・ジヘにはよく似合う。
しかし、明るいとはいえ婚期の遅れた役どころで50話持たせるのは大変そうだ、とも感じていたら、ハン・ジヘとよく似た女優が良家の娘として登場してきた。
ハン・ジヘに似てるがこの女優だれ？ こんなに似た女優、他にいたっけ？
キャスティングが気になり、出演陣とストーリーを調べたら、何とハン・ジヘが一人二役の難役にチャレンジしたドラマだったようである。
全５０話を見終えたが、感想をすっきりまとめるのは難しい。理解できるところもあれば受け付けられない面も多々あるドラマだったからだ。
韓国は今もって両班（りょうはん、양반〈ヤンバン））時代の影響が今も色濃く残る社会のようだ。
このドラマを見終えてその感を深くした。大企業におんぶされ、国民の４０㌫が今もって税金を払わない（払えない？）国というのが何となく分かる気もした。
こんなドラマをエンタメで楽しめる許容性を大衆層が持つなら、民主主義の時代下で両班制度は廃止されているとしても、会社（企業組織）に姿を変えて生き残っている部分もけっこうあるのではないか？ そんな後味が残ったわけである。
短気でわがままで配下に向けて怒鳴り散らすことしかない社長の次位を目指し、いがみ合ってるバラバラの家族と周辺の人たちが信頼感と協力関係を深めていって「めでたしめでたし」となるドラマだからだ。
このドラマの主人公ら（ヒロイン）は一般家庭と金持ちの家に引き取られていた双子だが、視点を移せば、一流の宝石会社を経営する社長が、妻や愛人、彼女らに産ませた三人の息子らがいがみ合っているのをしっかり束ね、理想のハーレムをつくりあげる話とも言えるからだ。
このドラマの純然たるヒロインは、母の親友だったユン・シムドクに引き取られて育てられたチョン・モンヒだ。
モンヒはアクセサリーの露天商を営んでいる時の方がなぜか生き生きして感じられた。ストーリーの進行に従って会社組織の中に引き込まれ、自由を失っていくのが何ともいたましい。才能も売り買いで取引されるイメージが強くなり、最終的に宝石デザイナーとして成功する。だが組織の中枢に入り込んで金に困らなくなったのが確かなだけで、宝石デザイナーとして本当に夢を果たして成功しているのかどうかはあいまいに感じられてきてしまう。
一流会社の下でまとまり、お金にも困らなくなって不幸せな人は周囲からいなくなったが、そうなると金をめぐる騒動もなくなり、傍からは両班（ヤンバン）一族の活況を見るのと大差はないように感じられる。
妻と愛人、いがみ合ってた息子一家らがワンマン社長の下で和気藹々となってるラスト場面は、自分にはアナクロニズムだったが、韓国の茶の間の人たちは、現実の大企業一族の姿に重ねてこのドラマを受け入れていたのかもしれない。
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