雨の記号(rain symbol)

「宮廷女官チャングム」から

 心を打たれるチャングムの生き方

 それこそ何度も見て楽しんだドラマなのだが、仕事が休みの日、苦労して地デジのアンテナを取り付けた後、シャワーを浴びて何もする気が起きない時、スポドリを飲みながらネットでこれを見た。そこでは7話、8話、9話が置いてあって、7話から観出したわけだった。
 ぱっと見ただけで、もちろんストーリーは蘇ってくる。チャングムはクミョンを助けるため、一緒に金鶏を探しに出かけるが、クミョンは時間までに金鶏を抱いて王宮に戻るもののチャングムは戻れない。もし密偵と争い傷ついたミン・ジョンホと遭遇しなければ間に合って戻れたはずである。
 さて、少しチャングムとクミョンについて考察してみたい。二人とも才能豊かなトップクラスの女官なのだが、人間としての器量がどこか違っている。
 ひとことでそれをいうのは難しいが、あえて言えば、チャングムには食を通じて自然や人間に対する飽くなき好奇心が感じられる。その好奇心は時に敵を作ったり、テコでも動かぬ義侠心を生み出したりするようだが、邪な考えや曲がったことだけは大嫌いな性分である。それを支えているのは二親に培ってもらった信念である。つまり親への絶対的親愛と尊敬が今の彼女を支えている。
 一方、クミョンの心を支えているのは必要なものだけに目を向ける合理性である。それ以外はムダとして切り捨てていく。わかりやすく言えば、ミン・ジョンホも彼女にとって必要な存在。よぶんを枝打ちしてしてひたすら背丈だけを伸ばして行こうとするスタンス。
 チャングムはミン・ジョンホの傷の手当をしてあげたため、時間内に宮に戻れず、追放の処分を受ける。彼女のたぐい稀な才能を惜しむ者のバックアップで追放をまぬかれるが、閑職の地へ左遷されてしまう。そこでの彼女の奮闘が第7話。
 チャングムが見ず知らずのミン・ジョンホを助けたのは恩返しを求めてのものではない。傷ついて倒れている者をただ放っておけなかっただけである。
 クミョンはこれが出来ただろうか。むろん、ミン・ジョンホなら自分の慕っている相手だから出来ただろうが、ほかの男ならどうであっただろう。悩んだとは思うが、彼女はたぶん、門限に遅れない方を選んだであろう。それが彼女の人間としての限界を感じさせる。
 チャングムは違う。ひたむきな魂の力を感じさせる。
 おおむね、現実の人生ではチャングムの生き方の方が報われないであろう。
 しかし、僕らが心の底で好感を寄せるのは彼女の方である。多くの人にかかわり、まっとうな人々に奉仕していく姿にはやはり心を打たれる。
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