選挙戦も後半に入りました。出馬がようやく市内外の方々に知られてきたようで、お便りをいただいております。
なかなかお返事が間に合っておりませんが、ひとつひとつ丁寧に読ませていただく度、目頭が熱くなります。
3つほど、お便りに共通の質問がありましたので、こちらでお答えしておきます。
Q「選挙の手伝いは必要ない?」
A「このブログを、ひきたの名前を、お知り合いに伝えていただくこと、
それが私にとっては何よりのお手伝いです。
本当に助かります。
ただし、公職選挙法上、メールやメッセージでは行わないようご注意下さい。
通話やLINEやフェイスブックなどのSNSを使う分には問題ありません。
ほんと、変な法律ですね。」
Q「ひきたの看板を見かけないんだけど?」
A「そうなんです。
私には、いわゆる地盤・看板・カバンのどれもありません。
選挙カーも使わなければ、事務所にすら看板ひとつ出していません。
税金でまかなわれるビラもチラシも折り込みもハガキも、ありません。
運動員も、選挙従事者もいません。選対本部長すらいません。
ないない尽くしです。
従来のいわゆる選挙戦らしいものは、ポスターと選挙公報くらいのものです。
それでも、みなさんに声を届けることができ、みなさんのお力を借りて、山が動かせると信じています。」
Q「お前のバックには誰が居る? 支援組織はどこだ?」
A「私は孤立無援、どなたの支援も受けていません。
正真正銘、たったひとりです。
しがらみを背負って弱い立場で立候補すれば、当選しても議員としては鎖にしばられ、言いたいこと、言わなければいけないことも言えなくなります。
しがらみに苦しむ議員さんたちをたくさん見てきました。
だからこそ、あえてひとりで立ちました。
たったひとりで、根回しもなしでは選挙などできるわけがない、そういう思い込みこそが、今の南アルプス市の息苦しい状況 ―― 誰も満足していないのに、状況の改善へ動けないという悲しい有様の、大きな原因のひとつではないでしょうか。
私の当落は関係なく、こういう候補者がいた事実が、少しでも状況を変える一助になればと思って、行動しました。」
以上です。
最後のご質問は、他の陣営の方から何度もたずねられました。
いやぁ、陰謀論って怖いですね…。
なんだか、アメリカ大統領選で暗躍した「Qアノン」みたい。
さて、本題に入りましょう。
ひきたの政策第四弾は、南アルプス市の主産業である農業。
とくに「農地の承継」についてです。
■4-1:荒れた畑が目立ちませんか。
南アルプス市には、フルーツ王国やまなしの中にあっても、多品種を手がける果物農家が多いことで知られます。
砂礫の多い土壌で乾燥していること、風の強いことで、栽培に独特の苦労が絶えないものの、モモ、スモモ、ブドウ、サクランボ、キウイ、ブルーベリー…どれも味が濃く、絶品です。地域外の方には、ぜひこの地で、完熟のフルーツを味わう時間を過ごしていただきたいところです。
しかしその一方で、県内外を巡って帰ってくると、南アルプス市には、他の地域、例えば県内の峡東地域などと比べ、使わなれなくなった畑、荒れてしまった畑が多いことに気づきます。
条件の悪い農地が荒れているならまだしも、比較的形状が整い、障害物や起伏も少なく、道路の接続も良く、畑地かんがい整備も済んで水が来ている畑であるにもかかわらず、荒れたところが多いのが、南アルプス市の農業の、残念な点です。
これは、担い手の減少や高齢化等に対して、市役所はじめ地域全体が、効果的な対策を打てていないということを示しています。
耕作放棄地は、はじめ「うまくいっていないことの症状」として表れます。
しかし問題を放置し、積み重なっていくと、今度は「うまくいかないことの原因」にもなっていきます。
人間の体にたとえて言うと、中高年になってから、身体の不調を放置すると、深刻な病気に至るようなものです。
「人口減少 → 担い手不足 → 荒廃」。
これは、集落における空き家の増加、山地における森林の荒廃などと似た、人口減少・少子高齢化社会の典型的症状なのです。
このまま対策が遅れれば、市の未来に対して、危険な影響をおよぼすようになるでしょう。
■4-2:農地のバトンを落とさずつなぎましょう。
南アルプス市の農家には、驚くほどエネルギッシュで、若々しい方が多くいらっしゃいます。
とはいえそんな方々であってもいつかは、高齢にさしかかり、あるいは体調を崩すなどして、農業を続けられなくなる日がやってきます。
「仲間がずいぶんやめてしまった」
「子や孫には、農家を継ぐつもりは無いのだろうか」
「あと何年、続けていけるだろうか」
「いざという時、だれかこの畑を、自分の育てた木を引き受けてくれる人はいるだろうか」
そんなことを農作業の合間に、ふと自問する、というお話を聞くと、多くの農家が寂しさとともに、大きな不安を抱えておられることに気づきます。
そしてそれは、市全体にも影響していく話なのです。
一方に農地の担い手を探す所有者、「農地の出し手」がいれば、また一方には、農地を探す「新しい担い手」、すなわち拡大を目指す事業者や新規就農者がいます。
拡大を目指す方は、広げるための条件の良い畑を探しています。
新規就農者はまだ数こそ少ないものの、首都圏に隣接する山梨で就農を望む方は、潜在的には多いのです。この方々も、情報が限られる中で畑を探しています。
なのに、なぜ畑が荒れるのか。
所有者は、耕作をやめてからも、短い期間であれば最低限の畑の管理を続けておられます。この時点では「資産」です。目の前に担い手さえいれば、貸すなり売るなりして、価値に見合った対価を受け取ることができます。
けれど数年たって、担い手とつながる見込みもないと、あきらめて木を伐ってしまう。あるいは、草の茂るにまかせてしまう。
こうなった畑は、もはや「負債」となり、担い手を探すことがさらに困難になってしまいます。同じ畑なら、荒れてない状態の畑が選ばれるのは当然ですよね。担い手探しがもう少し早ければ、精魂込めて手入れのされた、本当に立派な畑だったのに…。
問題は、出し手と担い手を、効果的に、迅速に、継続的にマッチングし、制度や資本、住環境、地域の閉鎖性といった障害をとりのぞく仕組みが欠けていることです。
荒れる前にバトンタッチする仕組みづくりが、遅れていることです。
バトンが落ちているのに、誰も気づかない状況があることです。
ただ農地だけ渡せば良いわけではありません。
国の言う通り「人・農地プラン」をつくり、県の言う通り農地環境整備事業をすすめているだけでは、この状況はけっして好転しません。
■4-3:「新しい農家」を惹きつけ、選ばれる地域になりましょう。
拡大を図る意欲的な「新しい農家」は、少しでも状態の良い畑を、できるだけまとめて確保しようと、よく見ています。
同じように、新規就農者も、「どこの市町村なら、就農が上手くいくか」を、よく見ています。
できるだけ早く、彼らに「選ばれる市町村」にならなければ、南アルプス市の稼ぐチカラは、他地域の後塵を拝するばかりです。
この農地は遊休化前なのか遊休化後何年目なのか、樹種は、品種は、土壌は…そういった属性情報が窓口であるいはネット上で詳しくわかる仕組みがあったなら、農地の承継検討は、飛躍的に増大します。遠隔地からの参入検討も、ぐっと現実的になります。
その仕組みづくりだって、別にゼロからつくる必要はないのです。
農水省が公表している「筆ポリゴン」に、JAが過去収集したデータを属性としてヒモづけて行けば、地理情報システム(GIS)を作成することができます。
それによって、「いつごろ」「どこの畑が」「どのような状態で」遊休化する見込みであるのかを、動的・視覚的に把握することができます。
担い手から提供されたデータを、ビッグデータに統合し、視覚的・直感的に理解できるよう加工して活用する。
真剣に検討している担い手に、その情報を提供する。
その代わりに地域は、担い手から新しい視点を提供してもらう。
ここでの地域(市役所、県庁、JA等)の役割は、上からのお達しではなく、あくまで協同作業です。
バトンが地面に落ちずにつながるためのお手伝いです。
出し手、担い手、地域の相互作用により、さらに地域の強みをきたえあげ、障害をとりのぞいていきましょう。
■4-4:政策は農地だけでなく、一気通貫で。
例えば新規就農者で言えば、県庁には、この10年ほどの新規就農者、実に200人余りの詳しいデータがあります。
まずそこから「就農に当たっての地域固有の強み、地域固有の障害」を抽出しましょう。
それをもとに毎年、2年後の新規就農を目指して5人ずつ募集を行い、それぞれに市役所やJAの担当者がついてサポートしていく。
二人三脚、三人四脚の中で、お互いのスキルを高めていく…といった具合です。
農地自体だけではなく、住居・農機具の確保や、そのための借り入れの担保が障害になるケースもあります。
そこでは、入居率の低いクラインガルテンを、むしろ就農者の研修用住宅として再定義したり、市内に増加する空き家の利活用を図ることも必要でしょう。
市が信用保証を行うこともありえます。
法律上の扱いがあいまいな農業用倉庫については、市が条例をつくって位置付け、活用を促進していくべきです。
農業技術については、教育機関や、人手不足の事業者など、品目、規模、ステージに応じた適切な研修が受けられるように、またスマート農業のような新しい技術も導入しつつ、既存の枠組みをさらに精緻にしていく必要があります。
売り方については、既存の販路を提供しつつ、並行して六次化を念頭に、商品開発に補助を出し、その成果を競い、発信していくことが重要でしょう。
要は、新規就農の障害になっているものをどけて、そこに誰でも歩ける「道」をつくって見せることです。
その道に多くの就農者が集まったなら。
農地が遊休化する前に、できれば木を切らないうちに、人から人へ切れ目なくつなぐ仕組みができたなら。
南アルプス市の農業は新しい時代を迎えることができるでしょう。
「稼げる田舎」は実現できます。今ならまだ、間に合います。