抹茶ラテ
私はとあるカフェで今パソコンと相対している。そのそばにあるのは抹茶ラテ。ここのカフェオリジナルのマグカップに注がれてい
る。量はそれなりに多く、とてもワンコインで済むものとは思えない。だが客の私からすればそれはむしろありがたいことである。ワ
ンコインで多量の抹茶を摂取することができるのだから。ただ表現の仕方がサプリメントか何かのようで少し誤解されるかもしれない
が、「摂取」という言葉を使うほど私は抹茶が好きで、「好き」の範囲も通り越しているかもしれない。思えばいつからだろうか、こ
れほどにまで抹茶にこだわり出したのは、と思い返してみる。と、小学四年生の運動会の昼食時が記憶に現れ始めた。運動会の昼食は
大抵ブルーシートを引いて家族や親戚で食卓を囲むというのが一般的だろう。しかしそんな集団の中で私は茶道道具でもってお茶を立
てていた。傍から見れば異様な光景であろう。騒がしく陽気な「運動会」という場で静観や落ち着きを求むる行動をとっているのだか
ら。しかし、そんな状況でも私は気にせず、立て続けていた。ということは、この頃にはすでに抹茶loverは確立されていたのだろう。
となると、一体どこまで遡ればいいのだろうかなどと、そんなどうでもよいことを考えながらマグカップを持ち上げる。「あれ、軽
い?」カップの中を見ると、ラテは底をついていた。私は昔をたどるほんの5分程度でワンコイン分の抹茶を飲み干していたのだ。「あ
ーあ、飲み方を間違えた。初心忘るべからず、小学4年生の頃の落ち着きある飲み方を思い出せ」心の内でそう呟きながらも、気づけ
ばレジ前にて抹茶ラテとホットサンドを即座に衝動買いしてしまっていた。