(2017夏ふくしまキッズ スタッフと子供たち)
基金の全額返済という節目のご挨拶として、あれから7年後の今の世の中に感じることを率直なメッセージにして挨拶に代えさせていただきます。
田歌舎に発電所が出来て5年が経ちました。つまり震災後もうすぐ7年ということですね。この7年の中で、まだ右肩上がりの経済を求める象徴のごとく東京オリンピックの誘致が決まり、かつて以上に政治は混迷を極め、信じるべき政党など何一つ見あたらない。そして若狭の原発は再稼働に邁進し、私たちの美山町では再稼働を前提にした原子力防災訓練などが町民を巻き込み大がかりに取り組まれ、関電と行政が共催で開催される説明会では、再稼働を前提としてその事故をあり得ないことと(万々一と)言い張る始末。
世界に目を向ければ日本がいつ戦争に巻き込まれるかわからないような情勢にあり、そんな状況にありながらも、あの事故によって日本は何も学ばず、新しい希望ある未来に進歩を遂げようともせず、旧泰然とした高度成長期のバブルな思いでの再来にしか希望を見出せないようで、ともすれば戦争の再来すら期待しているようにさえ見える。
中国や韓国の日本バッシング。至極当然のことだと私は考える。日本は先に裕福な国になった。それに追随しようとするのも当然の成り行きであり、裕福な暮らしを手に入れたのちに押し寄せる中国人の観光もかつての日本人と同じ行動原理だろうし、規模が違えど中国の汚染問題も同じことを先に日本がやっていたことだ。
中国や韓国その他アジアの国々にとって今の日本ならば追いつけ、追い越せ、叩き潰せと思って当然だと思う。政治的にも一般の方からもお手本にしたいと思わせるような国、世界を巻き込めるような持続可能社会を目指す国を目指してほしいと心より願う。
そんな素敵なリーダーシップを持ってこそ北朝鮮の脅威に対して話し合いという手段が可能になるはずだ。今の日本と話し合ったところで誰が懐の武器を捨て去ることがあろうか。
さて、田歌舎はおかげさまで自然を活かした狩猟、採集、農耕、牧畜といった営みを少しずつではありますが精度を上げてきて来年15周年を迎えます。多くのお客様に体験や食事を通して持続可能な社会、暮らしの楽しさや豊かさを伝えてくることが出来ました。視察や研修として訪ねてくる団体も多くあります。そして田歌舎に集まる学生、そして新しいスタッフも多くなりました。ささやかな規模の活動ではありますが、同じように頑張っているたくさんの友と出会い、私たち側の価値観を持つ人も日本各所にいること、そして少しずつ増えてきていることを日々実感し、喜びを感じています。
貧富の差と同様に価値観の差も両極端な時代になっているのだろうなと思います。これからも田歌舎が目指すことは豊かな自然との共生、平和、人の手の技術、お金でない豊かさです。そこにはきっと笑顔が絶えないはずです。
災い転じて福となす。
田歌舎が続けるふくしまの子供たちの受け入れも5年(春夏計9回)を超えました。今では中学生となった子供たちはあと何年かすれば田歌舎のスタッフになる子もいるかも。保護者とのかかわりも含めてあの事故があってこその出会い、強い絆、信頼が今確かにあります。
67枚のソーラーを入れました。まだまだエネルギーを100%自給できるわけではありません。ガソリンや灯油や化石燃料はお世話になるばかり。私たちもまだまだ進化しなくてはなりません。その決意をいただけたのがあの原発事故なのです。
私たちは3.11によって成長させていただきました。
出資金の返済の時が来たと報告を受けました。
おかげさまで倒産することなく、返済をさせていただけます。
心より感謝申し上げます。
そして発電機も引き続き発電しますこと同様、引き続き田歌舎は信じた道を進みます。
ご支援いただければ幸いです。
田歌舎 代表 藤原 誉
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