「仔牛(べえこ)」
作詩:金子みすゞ
作曲:ほっぴの未来予想図
ひい、ふう、みい、よ、踏切で、
みんなして貨車をかずえてた。
いつ、むう、ななつ、八つめの、
貨車に仔牛はのっていた。
売られてどこへゆくんだろ、
仔牛ばかしで乗っていた。
夕風つめたい踏切で、
みんなして貨車をみおくった。
晩にゃどうしてねるんだろ、
母さん牛はいなかった。
どこへ仔牛はゆくんだろ、
ほんとにどこへゆくんだろ。
ほっぴの未来予想図
えるとろんの会話
ろん: 牛が売られる歌といえば、ドナドナがあるよね。
える: ドナドナは1940年のニューヨークのミュージカル「エスターケ」の劇中歌として作られたようよ。
ろん: あれ?
ジョーン・バエズが作ったんじゃないの?
える: 彼女はカバーして大ヒットさせたのよ。
20年経った1961年に。
ろん: ドナドナでは牛が荷馬車に乗せられいく。
みすゞさんの「仔牛べえこ」では蒸気機関車が引っ張る貨物列車に乗せられていく。
える: みすゞさんは1903年に生まれて1930年の誕生日の一か月前、満26歳でなくなっているから、
「仔牛べえこ」はドナドナが発表される10年以上前に作られたことになるわね。
ろん:
える:
ひい、ふう、みい、よ、踏切で、
みんなして貨車をかずへてた。
いつ、むう、ななつ、八(やつ)つ目の、
貨車に仔牛が乗つてゐた。
賈(う)られてどこへ行くんだろ、
仔牛ばかしで乗つてゐた。
夕風冷たい踏切で、
みんなして貨車を見おくつた。
晩にやどうして寝るんだろ、
母さん牛はゐなかつた。
どこへ仔牛は行くんだろ、
ほんとにどこへ行くんだろ。
金子 みすゞ(かねこ みすず、1903年(明治36年)4月11日 - 1930年(昭和5年)3月10日)は、
大正時代末期から昭和時代初期にかけて活躍した日本の童謡詩人。
本名、金子 テル(かねこ テル)。