放課後フィルム

敢えてのフィルム写真。カテゴリーからどうぞ。

SNS用に書いたもの

2010-11-09 18:37:35 | 雑記
SIDE:B

「世界をとりますか。彼女をとりますか。」
自らを政府高官と名乗る男が言った。
「あなたは選ばなくてはなりません。あなたの恋人が死ぬことで、69億人の生命が救われる。逆に世界中の人間が全て死ぬことであなたの恋人は助かります。」
唐突だった。長々と説明を受けどうやら世界はそういう方向に動いているらしいと理解した。
「全てはあなたに選択権があります。我々はどんな選択であれ、あなたを支持するつもりです。」
おおよその状況は飲み込めた。僕が少し考えさせてくださいと呟くと政府高官を自称する男は名刺を置いて帰った。世界と僕の窓口は役所仕事のそれだった。

 テレビも新聞も連日のように迫る世界の終わりのカウントダウンでひっきりなしだ。しかし、どこか理性的で気味が悪い。《彼》の意見を全面的に尊重すると。僕はケータイを取り出し彼女―夕子に電話をかけ、落ち合う約束をとる。いつものファミレスだ。ファミレスにつくと夕子がこっちこっちと手をふる。
「で、こういうことになっちゃったんだけど。」
「私はもういいよ。隆に出会えて、付き合えて、今こうしてお話ができてる。素晴らしい人生だったなんて言うと怒られちゃうけど、それでも好きな人に囲まれて死ぬのはとても素晴らしいことだと思うの。怖くないって言えば嘘になるけど、覚悟はできてる。だから、安心して。」
でも、と言う僕を遮り続ける。
「もちろん隆にとって辛い決断なのはわかってる。でも世界の皆が死んだ世界でひとりで生きていくなんて辛すぎるよ。だから、お願い。これが本当の最後のお願い。」
そう言って少し困ったように夕子は笑うのだった。

 家に帰り、ベッドに転がり天井を睨みながら考える。
「世界がなんだ」
思わず呟いた。安っぽいドラマのようなこのシナリオは誰が考えたんだ。僕は彼女と2人っきりだったら何でもできた。そう、彼女が僕の世界なんだ。世界を失えば、僕は生きていけない。だったら――。ピンポンと呼び出し鈴が鳴る。ドアの向こうには先ほどの政府高官が立っていた。考えていただけたでしょうかと。
「考えるもなにも、結論は最初から決まっています。僕は彼女をとります。彼女と共に生きます。」
「そうですか。我々世界はあなたの意見を尊重します。そうですか。」
ため息まじりに続ける。
「これは、私の意見、なのですが、世界にひとり残された彼女は何を思うのでしょうか。」
「どういうことですか。僕と夕子の世界をあなたに心配される覚えはありません。」
「ですから、最初に申したように世界中全て一人残らず死ぬことが彼女の生存への道です。」
あ―――。
「こういっては失礼ですが、我々には代わりの恋人も手配する準備もできております。時間を要すでしょうがじっくり傷を癒すためのサポートもさせていただきます。」
いつもの僕なら激昂したに違いない。しかし、そのあまりにおおきな思い違いによるショックが大きく、あとは政府高官とやらに従うほかなかった。
「誰だって死にたくありませんからね。私にだって娘がいますし。」
その日僕は世界を守った。

 僕は夕子という世界を失い、日々を無気力に過ごしていた。政府が僕にあてがった新しい恋人が身の回りの世話をしてくれるがそれすら無関心であった。彼女に話しかけられて相槌を打つだけの関係。そんな関係にも関わらず彼女は毎日僕の様子を見に来てくれる。そんな関係も今年で三年。甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる彼女に、僕は好意を抱きはじめていた。
「君の名前は。」
三年目ではじめて僕が口にしたその言葉に、彼女は驚き、照れ笑い、そして答えた。ここからがスタートですねと言って彼女は微笑んだ。その時ふと玄関の呼び鈴が鳴る。ちょっと出てくるよと彼女に言い玄関に向かう。どちら様ですかとドアを開けると、顔に覚えのある男が立っていた。
「突然申し訳ありません。ですが、あなたは選ばなくてはなりません。」
「世界をとりますか。彼女をとりますか。」

50mm f1.4 vs 40mm F2

2010-02-12 21:22:32 | 雑記

Nikon FM10 / Ai50mm f1.4 MF / f8 B60秒



Nikon FM10 / ULTRON 40mm F2 / f8 B60秒

スキャンすると違いがないような感じがしますがULTRON 40mm F2のが光源が丸くつぶれています。対するAi50mm f1.4 はウニのようなチクチク光源でした。フィルムはトレビ100C、完全日没後に撮影しています。

僕の事とか機材の事とか

2009-10-26 19:28:55 | 雑記
Nikon FM10
AiMF50mmf1.4
で撮った写真を
EPSON GT-F720
で1発スキャンしています。見難くて申し訳ない。編集加工なし。
なぜ、フィルムで撮るのかと問われれば物理的な切り取りとカタルシスが好きなんじゃないでしょうか。
カメラも入門機のFM10をずっと使っています。
僕は写真は好きですがきっとカメラや画像はそこまで好きじゃないんでしょうね。

自意識森少女×熊

1998-12-17 00:41:38 | 雑記
期待したあたしが悪かったのです。

本当に悪いと思ってるの。

思っていますよ。心の閉塞を願えば心の平穏は訪れますもの。

嘘つき。見返りを、あわよくばを期待しといて。傲慢だよ。

しょうがないじゃない。誰だって孤独は嫌なもの。

だからって相手にもそれを求めるのが傲慢だというんだよ。

ではあたしはどうすればよいの。あなたは口を開けば否定から入る。どうしろと言うのよ。

君は被害者だ。いや、君も、か。とどのつまり君は釣られたのさ。自尊心の為にね。その過程で自尊心が満たせた今、君はもうお払い箱さ。そもそも最初からお払い箱にいたのさ。それをのこのこ出て来てとんだお笑い草だよ。君は被害者であり加害者なのさ。

ではあたしは、あたしはそんなものを満たす為に生まれてきたというのですか。違います。

何を言うんだ。君は今日までどんな形であれ他者の自尊心を満たしてきたじゃないか。往々に受動的にね。今になってお代を頂戴とは笑止。君がだらだら生き続ける限り続くよ。

そんな事は解っています。けれど一人。たった一人に行き着く事が出来たら、幸だったのです。それでもあたしは傲慢なのでしょうか。

ああ、大変おこがましい奴だよ。君が誰かを幸せに出来るなんて逆立ちしても無理だよ。ましてやそこに見返りがある限りね。願うんだ、心の閉塞を。そしてありもしない幻想を抱いてだらだら生きて、幸せなふりをして死ね。

そんなのあまりに。ねえ熊さん、あたしは思います。結局幸せが相対的な概念である以上、そこに行き着くには何人の人を殺せば済むのかしらって。

でも、手を繋いでもらって嬉しかったんだろう。

嬉しかったんです。