前回から
2005/03/16
2005年3月14日----------
「強制執行」というのは"物品や金品、給料などを強制的に取り上げて現金化し、借金の返済に充てる手続き"の事です。
法律で言う「差し押え(差押え)」というのは「差し押え」「仮差し押え(仮差押え)」と2種類あって、共通する事は「(国家権力によって)財産の処分を止めたり禁止する事」です。言い換えると「勝手に自分の財産を売っちゃいけません」ということだそうです。
うぬー、私は今まで「差し押え=強制執行」でそれしか無いと思っていたよ。・・・
どういう時にそれぞれを使うかというと、「なんか相手に財産を処分されて逃げられそう」という場合は「仮差し押え」です。これは裁判を始めた時や裁判中の時に「途中で逃げられないようにしておく」ために使います。裁判は時間がかかるものですので、その間財産の処分をされ、逃げられると元も子もないからです。
ただし仮差し押えの場合、裁判中ということもあって貸主の主張が正しいのかどうかまだ決まっていません。そういうわけで、裁判所から指示された一定額の保証金を「供託所(法務局の中にあるらしい)」に預ける必要があります。私の場合は少額訴訟でしたし、そもそも預けるお金が無かったので仮差し押えの申し立てはしませんでした。
一方、「アンタ、お金を払えないんだったら財産を渡してもらいます」という場合が「強制執行(=差し押え)」です。これは裁判を"終え"て裁判所から「この人にこんだけ払いなさい」という命令を出してもらい、強制的に回収するために使います。
私が今まで様々な準備をしてきたのは、全てこの「強制執行」のためです。
お金を貸した相手が私に毎月26,000円の支払いを滞り無く行っていれば何の問題もありません。強制執行をする必要は無かったのです。
しかし、現実にはグズグズと支払いを滞らせたり、その場で適当な言い訳をされたりしてホトホト困っていました。2004年12月10日以降、相手から1円も弁済(=返済のこと)されてないもんねぇ。
借りたお金を返すのは当たり前。言ってもダメなら強制執行!
そんな感じで。
さてさて、強制執行する財産は物品や不動産、預金等さまざまですが、今回私が行うのは「給料(給料債権)の差し押え」です。
いきなり迫力に欠けてしまい、申し訳ございません。しかし、これには理由があります。
前にも書いた通り「物品や不動産を強制執行するのはあまり現実的ではない」からです。簡単にまとめると次の通りになります。
- 差し押さえたい財産を貸主が前もって予め指定しておかなければならない。
- 物品や不動産を差し押さえる場合は着手料がかかる(不動産の場合は50万円くらいかかるそうで)。
- もちろん強制執行に失敗しても着手料等の費用は戻らない。
- 物品は貴金属や宝石以外ほとんど売れないのでお金にならない。
- 不動産は現金化するのに時間がかかる。
- 預金通帳等は口座番号や支店名が必要。
強制執行の難しさで大きなウエイトを占めているのが「1.」番でしょうなぁ。親しい友達で幾度となく家に遊びに行く間柄、とか、夫婦・・・でも無い限り、他人の借主がどういう財産を持っているのかなんて分かりませんわ。
「強制執行したいんで、家の中とか通帳をちょっと見させて下さい」
なんツーことは間違っても無理です、はい。
「2.」とか「5.」もあまり現実的ではないですねぇ。まぁ、訴額(この場合貸したお金)がン百万円単位だったらン十万つかっても・・・となるかも知れませんが、少額訴訟(60万円以下の訴額)の私としては非現実的です。
「6.」は「1.」と理由がかぶるんですけれど「自分の預金通帳の番号や支店名さえパッと出て来ないのに、他人のなんて正直分からんに決まっとるだろ、ボケが!」という感じですかねぇ。しかも、残高を差し押さえるだけなんで、残高が無かったら・・・。
もし、車を持っている人だったら車を差し押えちゃうんだけれどなぁ・・・持ってないからしようがないんですけれど。
取りあえず、「差押禁止財産」を挙げてみます。
差押禁止財産 (差し押えてはいけない財産) *=数点ある時は1点だけが差し押え禁止 | ||||
タンス | ベッド | 瞬間湯沸かし器* | テレビ(29インチ以下)* | 生活保護 |
鏡台* | 電子レンジ(オーブン付きも含む)* | 食卓セット | ビデオデッキ* | 児童扶養手当 |
衣類 | 冷蔵庫* | 食器棚 | ラジオ* | 年金 |
洗濯機* | 調理器具 | 掃除機* | 冷暖房器具(エアコンは1点まで) | 給料の3/4 |
などなど(他にもあるらしい)。これらのもの以外、例えば「家」「車」「楽器」「預貯金」「パソコン」「ステレオ」などなど・・・が責任財産(=借主名義の財産で最低限度の生活必需品以外のもの)として差し押えが可能だそうです。
もちろん、本人名義以外のものや、既に他の人に強制執行されている、担保に取られている場合はアウトです。
それにしてもビデオデッキまで差押禁止財産とは・・・上の表を見て「"強制執行されちゃうような人"なのに結構ゆとりある暮らしが出来そう」と思うのは私だけなのでしょうか。
っつーか、債権者の私だって鏡台やベッドなんか持ってないンですけれど・・・TVは14インチの古いブラウン管TVだし(そうは言ってもさすがにビデオ入力端子はついています)・・・
まぁ、こういうふうな様々な理由というか「シバリ」がありまして、結局「給料の差し押え」とか「売掛債権(取引先からの支払い)」が一番現実的なんです。現金なので物品と違い「現金化」しなくても良いし。
具体的には、給料債権なら勤め先に対して「借主ではなく貸主へ支払う」ようになります。給料は全額ではなく3/4は差押禁止財産ですので、残りの1/4です。
ただし、この金額は具体的には「基本給と諸手当(ただし通勤手当を除く)から給与所得税、住民税、社会保険料を控除した残額の1/4」ということだそうで。要するに、(ほぼ)手取りが12万円の場合3万円が責任財産です。
ナカナカ厳しいことになってます・・・ハイ。
つづく