イルボロ専門ブログにする前、映画よろずブログにあったミュージカル関係と合体にするつもりでした。
でも6年も前の記事なんて受容ねえだろ?と思い、また引用していた動画がほとんど削除されたのもあり、面倒になってやめました。
ミュージカルの舞台を見たのは、2012年の『エリザベート』来日公演が最後。その公演場所である渋谷のシアターオーブに6年ぶりに足を踏み入れましたよ。
他に置く場所がないので(アメドラブログを持ってるが、置けるわけがない)こちらに感想を落っことしておきます。
エビータを見たことがない人はバックプリーズの内容になっております。
まずは。
ラミンの上腕二頭筋がたまらぬガン見
しょっぱなフェチですが、もとより二頭筋スキーです。ラミンは腕が総タトゥーで、タトゥーに関しては別段何も思わないものの、すごい迫力でしたわ。
とりあえずあたまの悪い叫びをかましましたが、ちゃんとした感想はおいおい出てきます。そのはずです←
まずはタルい前説。
※余はいかにして、ミュージカル『エビータ』に出会いしか
私は劇団四季が野村怜子主演で再演した『エビータ』の初演時を見ています。BBAです。先日逝去された浅利慶太氏の夫人でもある彼女が、まだうら若き四季の看板女優だった頃。後年の野村さんは声を痛めたとかであまり好意的な噂を聞きませんが、市村正親が退団した頃にすでに四季から遠ざかっていたため、その辺のところはまったく知りません。
当時彼女がエヴァを演じると知った時、かなり不安がありましたね。私はもう一人の看板女優だった保坂知寿の方が断然贔屓だったんですが、それは単に保坂さんタイプが好みだったからで、野村さんも普通に見てました。
ただ彼女は清楚なイメージだったので、ある意味ゴリ押しな生涯を通した激しいエヴァ・ペロンができるの?と友人と話したものです。
その頃はネットなんぞありません。舞台を見る前からエヴァのイメージがあったのは、四季の最初の公演、久野綾希子主演、市村正親チェのLPレコードを中古店で発掘入手してたからです。それとともに、1979年度ブロードウェイオリジナルキャスト版のLPもGet。お小遣いも少ない小娘には高い買い物でした(笑) LPだぜ。今は当然持ってません。
それが今は、iTunesで聞けると…。Amazonへ
EVITA - Requiem for Evita/Oh, What a Circus
初演のパティ・ルポーンとマンディ・パティンキンのチェの歌唱にすっかり魅せられ、そして四季初演版の啖呵切り版(私はそう呼ぶ)にド肝を抜かれた(笑) 四季初演はさすがに世代的に見てませんが、ジーザス・クライスト・スーパースターといい(これもレコード発掘した)熱量がすごかった。
ふたを開けると、それなりに野村さんのエヴァも良かったんで(初演時は歌えてましたよ)安心したけど、その後何度か見ても、やはりお上品な仕上がりではありましたね。少々物足りない感。
アンドリュー・ロイド・ウェーバーといえば即『オペラ座の怪人』が挙がりますが、初期作品である『エビータ』『ジーザス・クライスト・スーパースター』の方が断然好みです。当時から恋愛ものが不得手な上に、貴族のぼんぼんと異形の天才に愛される歌姫が羨ましいとはミリも感じれないとんがったティーンでした。
何十年もあとに、25周年記念公演のラミン、シエラ、ハドリーの突撃三人衆に喰らわされ、「怪人もええやんか」の心境に←
それでもやはり、サー・ウェーバーの完成形であるオペラ座より、30歳そこそこでパンタロンなんか履いてた70年代アンドリュー青年とティム・ライスがタッグを組んだ最初の二作品のとんがり具合が好きです。ハイ。
今回本当に久しぶりにエビータの楽曲を聞いて、うわこんなに変拍子が多かったんだと思いました。変調に次ぐ転調、変拍子。なんつうマニアックさ。昔は何も考えずに聞いてたんで。これ歌えないよ普通…。
上の初演版のオープニングを聞いても、レクイエムの不協和音の不吉なこと。雰囲気がガラッと変わり、チェが軽快に飛び出してきて唄う『What a Circus』(こいつはサーカス)のテンポよさが際立つ。ちなみに知ってる人は知ってるけどこれ、有名な『アルゼンチンよ、泣かないで』とメロディが一緒です。
2012年の『エリザベート』来日公演でも感じたんですが、サイドに出るスクリーンの訳詞を見ると、日本の舞台で聞いてるものとの差が物凄いんですよね。
かなりきついことを言ってる。日本語の訳詞はかの岩谷時子さんですが、この人の訳し方は好きなんですよ。ジーザスもレミゼも、上手いこと充てるなあと思う。けれど字数の問題で中身は薄くなるのは仕方がない。
海外のLPには歌詞カードはついてなかったし、あっても訳せなかったあの頃。今はネットで調べられるけど面倒。
たとえば、チェがエヴァに向かい歌い、エヴァが返していく『High Flying Adored(空を行く)』の中で、日本語版では
「空を行き、ゆえのない非難も受けた ありきたりの田舎娘が玉の輿に
幸せ求めて生きただけ 渡れないはずの川を 見事に飛び越えたあたし」
という部分。おおまかにしか覚えてないけど、“私は正しい時に正しい場所にいただけ。私はラッキーだった。けれど言っておくけど、私だからこそできたことよ”というニュアンスになっていた。
あまり野心が見えない四季版と違い、いちいち自己主張が強い。これを日本の俳優が直球で伝えられるとしたら、演じ方も変わってくるでしょうね。
それをガツンと正面からぶつけてくる、エマ・キングストンのエヴァ。いやあすごかった!
Evita | International Tour 2018
両手中指立てですよ(笑) 歴代海外キャストを知ってるわけではありませんが、エマは強烈な方では。もろ好みです(笑) このチェはワールドツアー版の人でラミンじゃありません。
彼女、実在のエヴァに似てる気がする。アルゼンチンとイギリスのハーフだそう。
エヴァが成り上がっていく前半の強烈さ。えげつないですよ。でなきゃどうするって感じ。エヴァの激しさ、運命をかえてやるという意思、それらが強ければ強いほど、後半の早すぎる死に向かう彼女の生き様が胸にくるんです。
最初の男であるマガルディに、ブエノスアイレスに連れて行ってとねだるエヴァ。私生児の田舎娘なんて、朝にはゴミ箱行きだと鼻で笑うマガルディ。しかし傷つきもビビりすらせず押してくるエヴァに、次第にタジタジになってなだめ体制に。
「エヴァ甘く見るな 沢山いるぞ狼たちが街に 待っているぞ落とし穴が あそこでモノになるってやつはよっぽどの悪さ」
「素敵ね面白いじゃない 悪いことなんでもしたいわ きれいごとはもうもう飽きたのよ ケチな田舎町うんざりよ」
ここから上の「ブエノスアイレス」に入っていくわけですが、15歳だった本物のエヴァ・デュアルテの真実はわからずとも、今のティーンがアイドルに憧れて上京するのとは全然違った、見果てぬ野望を抱いていたのだけは確かだったはず。つおい。
ハリウッドスターであった美貌のグレース・ケリーがモナコ王妃になったのとは全然違うわけですよ。彼女のような境遇の娘が、わずか10年ほどでキナ臭いアルゼンチンの最高権力者の妻に収まった。そこにどんな運命と人の手が加わったのか舞台で詳しくは語られないけど、少なくとも途方もない意地と情熱はあったにちがいない。四季版のエビータも素敵だったけど、やはり貪欲とも言える彼女のパッションは感じなかったな。アナ雪的な「ありのままの私」程度。
でも実は、初演版の音源には求めてた勢いがあるんですよ(笑) 久野さんが客席に向かって啖呵切ってるのが見えるような。これはたぶん、四季の初演版はオリジナルから4年ほどあとの上映で、同じ時代に属してたからかもしれない。
ちなみに四季版の歌詞ですが、何も見ないで記憶で書いてます。手元に音源ないので。若い頃好きだったものは覚えてるんですね。今は夕べ何食べたかもさっさと忘れんのに。
四季では完全にムード歌謡だった『I'd Be Surprisingly Good For You(あなたのための女)』 エマとペロン役のロバート・フィンレイソンのデュオ良かったです。ロバート氏のペロンいいわ。エヴァにケツを叩かれる日和見的な男なところはそのままに、逆内助の功というか、自分よりエヴァが目立つのをあえて容認してる感じ。利用もしてるし、させていただいてるというか(笑) ペロンはちょっとやさに演じてる人が多いんですが、頭良さそうに見えたよ。
EVITA - Charity Concert/I'd Be Suprisingly Good for You
またオリジナル版。2分過ぎから。オリジナルも充分ムード歌謡だな(笑) この歌すごい好き。四季で某山口御大若かりし頃のペロン大佐が、「どおぞー、つづけてー!」とあたまのてっぺんから突き抜けるような美声で歌った時、私は椅子から転げかけました(山口信者でない) 違う、ちがうんだよそれ…。
そしてかの『アルゼンチンよ、泣かないで』がむしろ、日本語訳との差があまりない、さほど内容の濃くない歌なんだと再認識した。
美しい名曲です。けれどこの歌はエヴァが大統領夫人として、“エビータ”として国民にその姿を見せた初めての演説を歌にしたもので、“私はあなたたちのためにここにいるの”という、口当たりの良い文句しか言ってないんだよね。感極まって夫のペロンにすがりついたりして(笑)
相当あざとい。そう見えるように演じてた、エマ。
感動的な『アルゼンチンよ、泣かないで』を望んでる人には違和感あったかもしれない。でも私は感心したね。
彼女に泣かされたのは、死の間際に歌う『Lament』
Lament
これはブロードウェイ版キャスト。とても美しい声ですが、エマ・キングストンは壮絶だった。短く激しい生涯を振り返って歌うこの歌で幕が閉じる。
『You Must Love Me』、こんな歌と場面あったっけ?と思ったら、映画版からの逆輸入だそう。マドンナとバンデラスの映画は見たし、それなりに楽しんだはずだがほとんど覚えてないんです。
この歌はあまり… メロディは綺麗だけど、エヴァがペロンに対し「私を愛して」というのは、わたし的にはないです。
二人の間に真の愛情はあったのか、ただお互いの利益のために手を組んだだけなのか。解釈は人それぞれだろうけど、出会いから9年間、二人の濃い道行の間には、共闘か愛情かだけでは語れないものがあったはず。普通の夫婦だって単純じゃないんだから。
エマはペロンよりも客席に向かって歌ってたので、心の底では愛に飢えていた女性が、国民の、世界の愛を求めていたみたいには見えました。
エヴァは父親の愛をあまり知らずに育ったけど、母や兄弟姉妹はいた。
けれど不遇で惨めな境遇から、世界に向かってはいつでも叫んでいたような気がします。
「何でもするわ。だからすべて与えて」
頂上に立ち、自分がかつていた境遇の人々に施しと癒しを与える高みに登ることで、もう私は下にはいないという確信をいつでも求めてた。そこからの貪欲さでもあったのかと。
さて、ラミン・カリムルーのチェ。
私はチェという役が大好きでね。後年、『エリザベート』のルキーニは明らかにこの役にインスパイアされてる。
ラミンは歌い上げる系の大曲をドラマチックに聴かせるのが真骨頂なので、オペラ座の『Music of the Night』やレミゼの『Bring Him Home』、ラブネバーダイズの『Til I Hear You Sing』のような歌がないチェは、ことによるとファンには物足りないかも。
けれどOPの『What a Circus』と共に、大好きな『And the Money Kept Rolling In』が聞けて嬉しかった!
16 Evita OBC-And The Money Kept Rolling In And Out
ラミンのはないのでマンディのを。この人が私の基本。
上のワールドツアー版のチェの人もうまい。イケメンやね。
歌詞はエヴァが貧民救済基金を立ち上げるも、「ピンハネ」(四季版)してスイス銀行に入れていたという、なかなかに黒い内容。それをこんなノリノリの曲にした若ウェーバーのとんがり…(もういい)
エビータというミュージカル全体が、夢も恋もぶっ飛ばすシビアな話で、子供が見てもどうかと思います。そこが大好きv
四季版では、「金 金 金、転がり出る~」ってなってて妙にハマった(笑)
チェ・ゲバラに模して、彼ではない。彼は誰なのか。Who is Che? パンフレットでのラミンの解釈は結構良かった。そしてエマのチェに対する考えも好きです。ここはパンフ購入促進をお手伝いし、書きません(笑)
今回ラミンはタバコをふかしてるんですが、これがカッコいい。劇場内すべて禁煙だよ(笑) タバコの害はわかるものの、小道具としてのタバコは好きなんですよ。しかし吸い込んでなくても、よくスパスパしながら歌えるよ。
四季版のチェがあんなに動いてたか覚えてないんですが、あれほど出てなかったのでは(あくまで初演)。小まめに動くよラミンチェ。そういう演出なのか。
歌声で有名なラミンですが、芝居も小技が聞くんですよね。怪人がクリスティーヌの喉を絞めて我に返り、震える手を押さえるシーンなんて秀逸でした。しかしとにかく筋肉と腕がすごくて、そこに目が行ってしまう(笑)
このエヴァのパート、難しすぎるぜ。
常にシーンのどこかに溶け込んでるチェ。狂言回しであり、オブサーバーでもあるんだよね。
後半に行くにつれ、エヴァとチェは実際に絡んでいく。それが内面の風景なのかどうかはわからないけど、突き放して冷笑してたチェの方も、エヴァに対し感情が動いて激していく感じがある。そこが良かったな。
ラミンはチェが好きらしい。私も彼は、歌としては歌いあげ系を聞きたいけど、役的にはこういうのもあってると思うね。
小まめに動ける人だし(笑)
取っ散らかってるので後日書き直すかも。時間があれば。
楽日のチケを取れたので、もう一度よく堪能してきます。
保冷剤で冷やしながら使用してもPCが熱いのであまり使えない…汗
25周年記念のオペラ座記事だけ、あとで一番後ろにぶっこんでおきます。
でも6年も前の記事なんて受容ねえだろ?と思い、また引用していた動画がほとんど削除されたのもあり、面倒になってやめました。
ミュージカルの舞台を見たのは、2012年の『エリザベート』来日公演が最後。その公演場所である渋谷のシアターオーブに6年ぶりに足を踏み入れましたよ。
他に置く場所がないので(アメドラブログを持ってるが、置けるわけがない)こちらに感想を落っことしておきます。
エビータを見たことがない人はバックプリーズの内容になっております。
まずは。
ラミンの上腕二頭筋がたまらぬガン見
しょっぱなフェチですが、もとより二頭筋スキーです。ラミンは腕が総タトゥーで、タトゥーに関しては別段何も思わないものの、すごい迫力でしたわ。
とりあえずあたまの悪い叫びをかましましたが、ちゃんとした感想はおいおい出てきます。そのはずです←
まずはタルい前説。
※余はいかにして、ミュージカル『エビータ』に出会いしか
私は劇団四季が野村怜子主演で再演した『エビータ』の初演時を見ています。BBAです。先日逝去された浅利慶太氏の夫人でもある彼女が、まだうら若き四季の看板女優だった頃。後年の野村さんは声を痛めたとかであまり好意的な噂を聞きませんが、市村正親が退団した頃にすでに四季から遠ざかっていたため、その辺のところはまったく知りません。
当時彼女がエヴァを演じると知った時、かなり不安がありましたね。私はもう一人の看板女優だった保坂知寿の方が断然贔屓だったんですが、それは単に保坂さんタイプが好みだったからで、野村さんも普通に見てました。
ただ彼女は清楚なイメージだったので、ある意味ゴリ押しな生涯を通した激しいエヴァ・ペロンができるの?と友人と話したものです。
その頃はネットなんぞありません。舞台を見る前からエヴァのイメージがあったのは、四季の最初の公演、久野綾希子主演、市村正親チェのLPレコードを中古店で発掘入手してたからです。それとともに、1979年度ブロードウェイオリジナルキャスト版のLPもGet。お小遣いも少ない小娘には高い買い物でした(笑) LPだぜ。今は当然持ってません。
それが今は、iTunesで聞けると…。Amazonへ
EVITA - Requiem for Evita/Oh, What a Circus
初演のパティ・ルポーンとマンディ・パティンキンのチェの歌唱にすっかり魅せられ、そして四季初演版の啖呵切り版(私はそう呼ぶ)にド肝を抜かれた(笑) 四季初演はさすがに世代的に見てませんが、ジーザス・クライスト・スーパースターといい(これもレコード発掘した)熱量がすごかった。
ふたを開けると、それなりに野村さんのエヴァも良かったんで(初演時は歌えてましたよ)安心したけど、その後何度か見ても、やはりお上品な仕上がりではありましたね。少々物足りない感。
アンドリュー・ロイド・ウェーバーといえば即『オペラ座の怪人』が挙がりますが、初期作品である『エビータ』『ジーザス・クライスト・スーパースター』の方が断然好みです。当時から恋愛ものが不得手な上に、貴族のぼんぼんと異形の天才に愛される歌姫が羨ましいとはミリも感じれないとんがったティーンでした。
何十年もあとに、25周年記念公演のラミン、シエラ、ハドリーの突撃三人衆に喰らわされ、「怪人もええやんか」の心境に←
それでもやはり、サー・ウェーバーの完成形であるオペラ座より、30歳そこそこでパンタロンなんか履いてた70年代アンドリュー青年とティム・ライスがタッグを組んだ最初の二作品のとんがり具合が好きです。ハイ。
今回本当に久しぶりにエビータの楽曲を聞いて、うわこんなに変拍子が多かったんだと思いました。変調に次ぐ転調、変拍子。なんつうマニアックさ。昔は何も考えずに聞いてたんで。これ歌えないよ普通…。
上の初演版のオープニングを聞いても、レクイエムの不協和音の不吉なこと。雰囲気がガラッと変わり、チェが軽快に飛び出してきて唄う『What a Circus』(こいつはサーカス)のテンポよさが際立つ。ちなみに知ってる人は知ってるけどこれ、有名な『アルゼンチンよ、泣かないで』とメロディが一緒です。
2012年の『エリザベート』来日公演でも感じたんですが、サイドに出るスクリーンの訳詞を見ると、日本の舞台で聞いてるものとの差が物凄いんですよね。
かなりきついことを言ってる。日本語の訳詞はかの岩谷時子さんですが、この人の訳し方は好きなんですよ。ジーザスもレミゼも、上手いこと充てるなあと思う。けれど字数の問題で中身は薄くなるのは仕方がない。
海外のLPには歌詞カードはついてなかったし、あっても訳せなかったあの頃。今はネットで調べられるけど面倒。
たとえば、チェがエヴァに向かい歌い、エヴァが返していく『High Flying Adored(空を行く)』の中で、日本語版では
「空を行き、ゆえのない非難も受けた ありきたりの田舎娘が玉の輿に
幸せ求めて生きただけ 渡れないはずの川を 見事に飛び越えたあたし」
という部分。おおまかにしか覚えてないけど、“私は正しい時に正しい場所にいただけ。私はラッキーだった。けれど言っておくけど、私だからこそできたことよ”というニュアンスになっていた。
あまり野心が見えない四季版と違い、いちいち自己主張が強い。これを日本の俳優が直球で伝えられるとしたら、演じ方も変わってくるでしょうね。
それをガツンと正面からぶつけてくる、エマ・キングストンのエヴァ。いやあすごかった!
Evita | International Tour 2018
両手中指立てですよ(笑) 歴代海外キャストを知ってるわけではありませんが、エマは強烈な方では。もろ好みです(笑) このチェはワールドツアー版の人でラミンじゃありません。
彼女、実在のエヴァに似てる気がする。アルゼンチンとイギリスのハーフだそう。
エヴァが成り上がっていく前半の強烈さ。えげつないですよ。でなきゃどうするって感じ。エヴァの激しさ、運命をかえてやるという意思、それらが強ければ強いほど、後半の早すぎる死に向かう彼女の生き様が胸にくるんです。
最初の男であるマガルディに、ブエノスアイレスに連れて行ってとねだるエヴァ。私生児の田舎娘なんて、朝にはゴミ箱行きだと鼻で笑うマガルディ。しかし傷つきもビビりすらせず押してくるエヴァに、次第にタジタジになってなだめ体制に。
「エヴァ甘く見るな 沢山いるぞ狼たちが街に 待っているぞ落とし穴が あそこでモノになるってやつはよっぽどの悪さ」
「素敵ね面白いじゃない 悪いことなんでもしたいわ きれいごとはもうもう飽きたのよ ケチな田舎町うんざりよ」
ここから上の「ブエノスアイレス」に入っていくわけですが、15歳だった本物のエヴァ・デュアルテの真実はわからずとも、今のティーンがアイドルに憧れて上京するのとは全然違った、見果てぬ野望を抱いていたのだけは確かだったはず。つおい。
ハリウッドスターであった美貌のグレース・ケリーがモナコ王妃になったのとは全然違うわけですよ。彼女のような境遇の娘が、わずか10年ほどでキナ臭いアルゼンチンの最高権力者の妻に収まった。そこにどんな運命と人の手が加わったのか舞台で詳しくは語られないけど、少なくとも途方もない意地と情熱はあったにちがいない。四季版のエビータも素敵だったけど、やはり貪欲とも言える彼女のパッションは感じなかったな。アナ雪的な「ありのままの私」程度。
でも実は、初演版の音源には求めてた勢いがあるんですよ(笑) 久野さんが客席に向かって啖呵切ってるのが見えるような。これはたぶん、四季の初演版はオリジナルから4年ほどあとの上映で、同じ時代に属してたからかもしれない。
ちなみに四季版の歌詞ですが、何も見ないで記憶で書いてます。手元に音源ないので。若い頃好きだったものは覚えてるんですね。今は夕べ何食べたかもさっさと忘れんのに。
四季では完全にムード歌謡だった『I'd Be Surprisingly Good For You(あなたのための女)』 エマとペロン役のロバート・フィンレイソンのデュオ良かったです。ロバート氏のペロンいいわ。エヴァにケツを叩かれる日和見的な男なところはそのままに、逆内助の功というか、自分よりエヴァが目立つのをあえて容認してる感じ。利用もしてるし、させていただいてるというか(笑) ペロンはちょっとやさに演じてる人が多いんですが、頭良さそうに見えたよ。
EVITA - Charity Concert/I'd Be Suprisingly Good for You
またオリジナル版。2分過ぎから。オリジナルも充分ムード歌謡だな(笑) この歌すごい好き。四季で某山口御大若かりし頃のペロン大佐が、「どおぞー、つづけてー!」とあたまのてっぺんから突き抜けるような美声で歌った時、私は椅子から転げかけました(山口信者でない) 違う、ちがうんだよそれ…。
そしてかの『アルゼンチンよ、泣かないで』がむしろ、日本語訳との差があまりない、さほど内容の濃くない歌なんだと再認識した。
美しい名曲です。けれどこの歌はエヴァが大統領夫人として、“エビータ”として国民にその姿を見せた初めての演説を歌にしたもので、“私はあなたたちのためにここにいるの”という、口当たりの良い文句しか言ってないんだよね。感極まって夫のペロンにすがりついたりして(笑)
相当あざとい。そう見えるように演じてた、エマ。
感動的な『アルゼンチンよ、泣かないで』を望んでる人には違和感あったかもしれない。でも私は感心したね。
彼女に泣かされたのは、死の間際に歌う『Lament』
Lament
これはブロードウェイ版キャスト。とても美しい声ですが、エマ・キングストンは壮絶だった。短く激しい生涯を振り返って歌うこの歌で幕が閉じる。
『You Must Love Me』、こんな歌と場面あったっけ?と思ったら、映画版からの逆輸入だそう。マドンナとバンデラスの映画は見たし、それなりに楽しんだはずだがほとんど覚えてないんです。
この歌はあまり… メロディは綺麗だけど、エヴァがペロンに対し「私を愛して」というのは、わたし的にはないです。
二人の間に真の愛情はあったのか、ただお互いの利益のために手を組んだだけなのか。解釈は人それぞれだろうけど、出会いから9年間、二人の濃い道行の間には、共闘か愛情かだけでは語れないものがあったはず。普通の夫婦だって単純じゃないんだから。
エマはペロンよりも客席に向かって歌ってたので、心の底では愛に飢えていた女性が、国民の、世界の愛を求めていたみたいには見えました。
エヴァは父親の愛をあまり知らずに育ったけど、母や兄弟姉妹はいた。
けれど不遇で惨めな境遇から、世界に向かってはいつでも叫んでいたような気がします。
「何でもするわ。だからすべて与えて」
頂上に立ち、自分がかつていた境遇の人々に施しと癒しを与える高みに登ることで、もう私は下にはいないという確信をいつでも求めてた。そこからの貪欲さでもあったのかと。
さて、ラミン・カリムルーのチェ。
私はチェという役が大好きでね。後年、『エリザベート』のルキーニは明らかにこの役にインスパイアされてる。
ラミンは歌い上げる系の大曲をドラマチックに聴かせるのが真骨頂なので、オペラ座の『Music of the Night』やレミゼの『Bring Him Home』、ラブネバーダイズの『Til I Hear You Sing』のような歌がないチェは、ことによるとファンには物足りないかも。
けれどOPの『What a Circus』と共に、大好きな『And the Money Kept Rolling In』が聞けて嬉しかった!
16 Evita OBC-And The Money Kept Rolling In And Out
ラミンのはないのでマンディのを。この人が私の基本。
上のワールドツアー版のチェの人もうまい。イケメンやね。
歌詞はエヴァが貧民救済基金を立ち上げるも、「ピンハネ」(四季版)してスイス銀行に入れていたという、なかなかに黒い内容。それをこんなノリノリの曲にした若ウェーバーのとんがり…(もういい)
エビータというミュージカル全体が、夢も恋もぶっ飛ばすシビアな話で、子供が見てもどうかと思います。そこが大好きv
四季版では、「金 金 金、転がり出る~」ってなってて妙にハマった(笑)
チェ・ゲバラに模して、彼ではない。彼は誰なのか。Who is Che? パンフレットでのラミンの解釈は結構良かった。そしてエマのチェに対する考えも好きです。ここはパンフ購入促進をお手伝いし、書きません(笑)
今回ラミンはタバコをふかしてるんですが、これがカッコいい。劇場内すべて禁煙だよ(笑) タバコの害はわかるものの、小道具としてのタバコは好きなんですよ。しかし吸い込んでなくても、よくスパスパしながら歌えるよ。
四季版のチェがあんなに動いてたか覚えてないんですが、あれほど出てなかったのでは(あくまで初演)。小まめに動くよラミンチェ。そういう演出なのか。
歌声で有名なラミンですが、芝居も小技が聞くんですよね。怪人がクリスティーヌの喉を絞めて我に返り、震える手を押さえるシーンなんて秀逸でした。しかしとにかく筋肉と腕がすごくて、そこに目が行ってしまう(笑)
このエヴァのパート、難しすぎるぜ。
常にシーンのどこかに溶け込んでるチェ。狂言回しであり、オブサーバーでもあるんだよね。
後半に行くにつれ、エヴァとチェは実際に絡んでいく。それが内面の風景なのかどうかはわからないけど、突き放して冷笑してたチェの方も、エヴァに対し感情が動いて激していく感じがある。そこが良かったな。
ラミンはチェが好きらしい。私も彼は、歌としては歌いあげ系を聞きたいけど、役的にはこういうのもあってると思うね。
小まめに動ける人だし(笑)
取っ散らかってるので後日書き直すかも。時間があれば。
楽日のチケを取れたので、もう一度よく堪能してきます。
保冷剤で冷やしながら使用してもPCが熱いのであまり使えない…汗
25周年記念のオペラ座記事だけ、あとで一番後ろにぶっこんでおきます。
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