これはいつも元気なかぜさんのおはなしです。
かぜさんはいつも僕たちのために幸せを運んでくれています。
夏の暑い日には木陰で休む僕たちに涼しい風を届けてくれます。その風を受け取って僕たちは目的地に向かいます。もしかしたらかぜさんが頑張ろうと想えるなにかを運んできてくれているのかもしれません。
秋になるとかぜさんは、高く取れない木の実を僕たちのもとへ運んでくれます。
それは動物達にとっても同じです。かぜさんはみんなに平等に幸せを運んでくれるのです。
冬になるとかぜさんも冷たくなります。かぜさんから逃げるようにして僕たちは家に帰ります。僕たち家族を集めてくれるのです。温かいスープを飲んでいる僕たちをかぜさんは笑って見ています。
春になるとかぜさんは毛布の中で寝ている僕たちをそっとやさしく起こしてくれます。雪を溶かし、花粉を翔ばして、新しく咲くキレイな花を僕たちのもとへ運んでくれます。僕たちはその花を少しだけ摘み、大好きな人に気持ちを伝えることができるのです。
かぜさんは休むことはありません。ときには強く、ときには激しくなって、僕たちのもとへ幸せを運んでくれるのです。しかし僕たちのもとへ届くころには、いつものようにやさしくやわらかいかぜさんです。
僕たちはかぜさんに恩返しはできないのだろうか?かぜさんにありがとうと伝えることはできないのだろうか?
そんなことを想っていると、遠くの方からかぜさんがやって来て、僕の髪を少し揺らした。
著者 毒主 🙇
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