世界の中の極々小さな断片

田舎暮らしの日常と地元を走るローカル線を短いエッセイと写真で綴る。
※ブログのタイトルが変わりました。

忘れた頃に

2013-07-16 16:35:55 | 日記























飛行士は6つの時、
おそろしいウワバミが、象を丸呑みした、
世にもおそろしい絵を描いて大人に見せました。
すると大人はウワバミの絵のかたちをみて
「なんで、帽子がこわいものか」といいました。
そこで帽子の中身を描いてみせたら、
びっくりして恐がるどころか、
「つまらない絵を描いてないで、
もっとためになる本を読んだり、
役に立つ勉強をしなさい」と言われました。
それいらい、絵描きになることをあきらめ、
役にたつような地理とか文法とかの勉強をし、
飛行機の操縦をおぼえて、飛行士になりました。
そして、ブリッジ遊びや、ゴルフ、
政治、ネクタイの話をするようにしたら、
大人達は「物わかりのよい人間だ」と満足しました。

これは、サン・テグジュペリの「星の王子様」の冒頭に書かれている一節です。



子どもの感性を大人達は自分たちの

知識の中に当てはめようとします。

それを子どもは説明する手段や言葉を持ちません。

やがて、それが面倒で厄介で説明すればする程

つまらないことになるのです。


そして、あれは何が楽しくて可笑しくて

夢中になれたのかを忘れてしまうのです。

役に立つ物と引き換えに何を忘れてしまったのか

それを思い出す方法さえも忘れてしまった気がする。



決して「物わかりは良い人間」ではないが、

つまらない大人になってはいないかだろうかとふと考える。
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