世界の中の極々小さな断片

田舎暮らしの日常と地元を走るローカル線を短いエッセイと写真で綴る。
※ブログのタイトルが変わりました。

天使の輪あったかい。

2015-03-18 14:40:45 | 日記


今回は薪ストーブの着火方法についてです。
我が家は先日も話しましたが
たき付けは「井ゲタ」に組んで着火します。
この方法に落ち着いたのは、長年の経験からです。
モノが燃えるためには酸素が必要です。
燃焼においてはこの酸素いわゆる空気の取り入れが重要です。
井ゲタに組むことで空気の通り道を作ることができます。


・・・というわけで、組み上げました。
一番上には大きな薪をすでに積んであります。
本来ならば、小さな木から大きな薪へと火の燃え加減で
徐々にストーブに投入して行くのですが、
この方法で着火すると比較的に容易に安定燃焼にすることができます。






さぁ、組み上がったら二次燃焼室のダンパーを開けます。
着火時はまだ燃焼温度が低く二次燃焼が出来る温度でないこと
そして、煙突からの正常なドラフト(空気の流れおよび排気煙)が得られないことです。
ダンパーを閉めて着火をすると煙は逆流し煙突ではなくストーブのドアやトップローディングから
漏れだし大変な騒ぎになってしまいます。
いぜん、間違ってこれをヤラカシて火災警報機をけたたましく鳴らしてしまったことがあります。
次に空気の取り入れレバーを目一杯開けます。






では、着火です。
マッチの火を井ゲタの中央に置いた燃え易い木っ端などに火を付けます。
我が家では、カンナくずや薪作りで出るチェーンソーの切り屑
それから、さまざまな切れ端が出るのですが、それを捨てずに集め
着火用に使用しています。




着火したら前面ドアをすこし細く開けて締めます。
これは、より多くの空気を燃焼室に取り込む為です。
では、しかしここでなぜ全てオープンにしないか?
それは、口でやってみると分かると思いますが、
「あ」と「う」の口の形で吹いてみてください。
そうです、「う」の形のほうがより強い風(空気)を吐き出すことができますね。
それと同じことです。
このようにドアを絞った形にしてあげると勢い良く空気を取り入れることが出来るのです。





しかし、我が家のストーブは観音開きですので
この時ドアを左右どちらかだけしか開けていないと空気の流れも
左右に綺麗に送ることができなくなります。
燃焼室内に満遍なく行き渡らせるにはドアを左右対称に開いてあげることが大切です。






さあ、火も大きくなってきました。
温度はまだ50度以下です。





ファンもまだまだ回りません。
このファン、じつは高温になると自動で回りだします。
その時の温度が200度位から回りだします。
しかもノーエネルギーです熱だけでまわるため、電気は必要ありません。
これが回ることで、上に昇ろうとするストーブの暖気をファンでカクハンすることで
室内に温かい空気を循環・カクハンさせる効果があります。
だいたい、このファンがない状態と比べ約20%の差があるということです。






火が燃焼室の薪全体にまわり出したら
新たに薪を追加します。






この時の温度はやっと100度近くになってきました。
さて、ここで煙突の話しです。
我が家のストーブはストレートのものがの6m延びています。
この煙突ですが、家の作りや設置場所で様々な形で取り付けるのですが、
薪ストーブを使う上ではストレートが一番ということらしいです。
まず、排気(煙)が真直ぐ上がるため煙突が詰まりにくいこと、
燃焼に必要なドラフトが得易いこと
メンテナンス(煙突掃除)がし易いことなどです。
さて、この煙突についた一本の白い輪が分かりますか?
これは金属製の煙突が熱によって膨張し、縦に延びるので
繋ぎ合わせ部が擦れ煙突の塗装が剥げたモノなのです。
この煙突の伸縮状態でもストーブの温度状態を確認出来るのです。







薪も徐々に熾の状態になって来ました。
薪ストーブの理想の燃焼状態というのは
炎が燃え盛っていることではないのです。
このような熾(おき)すなわち炭化(炭)の状態にしてあげることが大切です。
この様な状態が燃焼効率と高い温度を保て、無駄のない焚き方といえます。
温度も200度になりました。






ストーブも安定燃焼に入って来ましたので
先ほどの二次燃焼室のダンパーを閉じ、
二次燃焼室で燃え残りのガスを燃焼させます。
これは排気が綺麗になること、それからより燃焼温度があがることになります。
このような機構はクルマの排ガスをクリーンにするマフラーと同じですね。
空気の取り入れレバーも絞ってあげます。
これは無駄に温度を上げないことと、上げ過ぎてストーブを傷ませないようにする
温度の調整といったところですね。




ここまで温度が上がると
外部塗装の赤いホーローが黒みをおびてチョコレート色に変化して来ます。
なかなか、落ち着いた色合いで何とも言えないですね。
このストーブの赤ですが、
火を付けない時には明るい赤がインテリアとしてのアクセントとして効果的ですが
このように温度が上がり落ち着いたダークな色合いになることで
こんどは中で焚かれたオレンジの炎を引き立たせる効果がでてきます。
なかなかな演出であると感心します。








ここまで来ればもう安心
ファンも回りだしました。

温かさが部屋中にまわってゆきます。
暖かな炎の色を見ていると何とも幸せな気分です。
パチパチとはぜる音もまたたまりません。
この薪が爆ぜる音ですが、これは一種の水蒸気爆発です。
薪内の水分が熱せられ爆発しているのです。
どんなに乾燥させてもこの爆ぜる音は聞こえますが、
乾燥の悪い薪はこの音も大きいのです。
そんな音からもか薪の乾燥状態を知ることが出来ます。





ここまで薪ストーブの着火を見て来ましたが、
火が心配で「ちゃんと着くかな?」などと付ききりで
ストーブの真ん前で見ているなんてことありますよね。
じつはストーブの真ん前は空気を取り入れる為の通り道です。
そこに居ると空気もキチンとストーブに取り入れられません。
心配でしょうが、ちょっと脇に移動しましょう。






さあ、温度も250度を過ぎました。
最適温度です。
煙突の白い天使の輪も隠れています。



冬ももう終わり。
今更ですが薪ストーブの着火についてでした。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 薪ストーブと天使の輪 | トップ | やる気 »
最新の画像もっと見る

日記」カテゴリの最新記事