




雪深き郷の晩秋。
一年の労を終た耕作地は休息の時。
一面の雪に閉ざされるその時をじっと待つ。
野良に精を出す人もまばらで
静かな静かな郷に秋。
軒先の柿の木も今年はたわわ。
穫る人も無く重く枝をうなだれたまま。
ポツンと建つログハウスから立ち上る
白い煙が緩い風になびく。
美しく咲く花も、輝く緑の葉もないが
なぜか美しいと思えるこの風景。
日本の四季が様々な顔を見せる中で
この時はほんの僅か、
決して華やかではないが
なぜか心を落ち着かせてくれる。
「里の秋」
斎藤信夫作詞・海沼実作曲
静かな静かな 里の秋
お背戸に木の実の 落ちる夜は
ああ 母さんとただ二人
栗の実 煮てます いろりばた
明るい明るい 星の空
鳴き鳴き夜鴨の 渡る夜は
ああ 父さんのあの笑顔
栗の実 食べては 思い出す
さよならさよなら 椰子の島
お舟にゆられて 帰られる
ああ、父さんよ御無事でと
今夜も 母さんと 祈ります