「磯五郎」という芋焼酎をご存知だろうか。
今年の6月に発売され、瞬く間に売り切れた。
大人気で、来年の6月には2000本を用意することになった。
しかし、何とか年末年始の酒として手に入れたいという要望が多くなり、
年末に1000本を間に合わせることになった。
これにより、来年6月の販売本数は1000本になるのだが。
この芋焼酎を醸造販売しているのは、油の会社なのである。
農工商参画プロジェクトで初めて醸造した芋焼酎約500本が、6日の販売開始から3日間で売り切れた。
◎エコ仕様「芋焼酎」三日で完売 2009/06/16
http://www.47news.jp/topics/newproduct/2009/06/post_3814.php
「静岡油化」という会社に現社長が取り組んだのは昭和57年。
廃棄物は本当に廃棄物なのか、無駄のない処理の方法はないのか。
そんな思いを形にするためだった。
工業用品の製作過程、あるいは自動車のエンジンオイル、
世の中には、廃棄される油がある。
これらを回収して、また使うことはできないのか。
できるようにしよう。
戦時中を過ごした長島磯五郎社長は「もったいない」と思うだけではなかった。
どのように「もったいなくない」にするか、会社の事業として取り組んできた。
まだまだ日本全体が、天井知らずに浮かれていたころだ。
廃棄される使えるもの、まだ食べられるものは、少なくない。
というより、非常に多い。
日配品として、日本人の食生活を支える大豆製品。
そのうち、豆腐や油揚げを製造すれば、大量のおからが廃棄される。
おからを家庭で作って食べる、ということもないではないが、到底廃棄される量に追いつくものではない。
「もったいない」。。。
そこで、おからを日持ちさせるためにも乾燥させて、動物の飼料となる機械を製作。
肥料としても使用できる乾燥おからは、廃油で動かせるように設計された。
さて静岡県豆腐油揚商工組合のオカラ処理指定工場になってみると、
油揚げを作るために使われる食用油の処理が気になる。
見渡せば、食品工場では大量の食用油が使われ、廃棄される。
「もったいない」
これで車は走らないのか。
走るのである。
すでに、静岡市でもてんぷらのようないい匂いをさせるバスが走っている。
あ、誰かてんぷら揚げてる??と思うと、バスだったりする。
ディーゼルエンジン車なら、そのまま用いることができるバイオディーゼル燃料だ。
完成したのは平成15年のことだった。
しかし、まだまだ世の中には身近な「もったいない」が溢れている。
長島社長始め、静岡油化工業の思いを同じくする社員は、次に取り掛かっていた。
バイオエタノールである。
食料となるべき農産物をエタノールに生成する「もったいない」やり方で穀物価格が急騰し、
その上、生産物をバイオエタノールの取れる種類のみにし、大きく農地を開発しているのが気がかりな、あれ。
そうだ、おからがある。
「風と共に去りぬ」のテーマが聞こえてきそうなフレーズになってしまったが、
静岡油化工業は、なんと、廃棄物であるオカラからバイオエタノールを作り出すことに成功。
だって、オカラって全国では年間約80万トンも出るんだそうですのよ、おくさん。
使わない手はない、なるほど。
◎「おから」もバイオ燃料 温暖化防止へプロジェクト 2008.2.9 MSN
http://sankei.jp.msn.com/region/chubu/shizuoka/080209/szk0802090301003-n1.htm
◎オカラでエタノール生産―静岡油化工業 2008年05月02日 商品投資ニュース
http://www.shohintokuho.com/gyokai_2008-05-02_2.html
さて、そろそろ芋焼酎の話に戻ろうか。
今年の環境フェアに出かけたとき、静岡油化工業のブースに立ち寄った。
そこには、芋焼酎が、燦然と並んでいた。
油屋さんが、酒屋さんに鞍替え。。。?
いえいえ、違いますよ。
ここからの話が、静岡油化工業なのである。
このごろ、悲しそうな土地が多い。
作物をはぐくむことができるのに、手がつけられていない遊休農地が増えている。
「もったいない」
食料自給率の低いこの国で、せっかくの農地が遊んでいる。
高齢化や跡継ぎ問題、土地税制や農業政策など、そこには問題は多く含まれている。
そうだ、手間がかからずに植えやすく育てやすいサツマイモを作ってくれませんか。
これが、バイオエタノールになる。
いやいやいや、それでは静岡油化工業の「もったいない」精神の真髄から離れる。
その芋で、まず芋焼酎を作りましょう。
そのカスで、バイオエタノールにするのです。
こうして、無農薬栽培で手掘りのサツマイモが収穫され、芋焼酎「磯五郎」の誕生となった。
これはアイディアだ。
静岡県の遊休農地は、全国レベル以上。
活用すれば、成長の過程ではCO2を固定し、芋焼酎ができ、廃棄物から燃料。
そのために、会社は酒類販売の免許も取った。
手に入れたい人は、静岡油化工業に連絡。
◎静岡油化工業株式会社
http://www.shizuokayuka.co.jp/
静岡油化工業は、とどまることはない。
環境破壊はまだまだ続いているし、工夫改善の余地は、あまりにも大きく、やることがいっぱいあるからだ。
遊休農地をもっと活用できるじゃないか。
菜の花畑やひまわり畑、きれいでみんなが喜ぶ畑。
いいなあ。。。
季節感があり、元気にしてくれる景色。
それに、もちろん菜の花やひまわりは油が採れる。
ここからバイオエタノール。。。。。
おいおい、それは静岡油化工業がやることじゃあないよ。
まずは植物油として食用に使い、廃油をバイオディーゼル燃料に精製するのさ。
もちろん、搾りカスは肥料に再利用、ね。
バンザイ!!
◎菜の花&ヒマワリ、植物油やバイオ燃料 資源循環型へ遊休耕地活用 静岡油化 2009/10/15 静岡新聞
http://www.shizuokaonline.com/otonaha/nature/20091015000000000014.htm
◎工場見学&社会見学ナビ タイケンダー 2009年3月12日 TNC
http://taiken.cocolog-tnc.com/rabicon/2009/03/post-dd44.html
◎静岡油化工業株式会社
http://www.shizuokayuka.co.jp/
油屋さんの もったいない まさに今の時代のエコですね~
今は何でもかんでもエコ!エコ!って…頑張ってますっ!
てな気もしますが、早い話、もったいない!が原点ですよね。
頑張ってなかった時代、もったいない 発想がフツーだったのかも…
もったいない から!て、ついつい食べちゃう。
ヤバい!私の体エコじゃなくなる!
こういう企業を応援しなくちゃ、ですよね。
やればできるんだなって思います。
それに見合う努力や才能も必要なのでしょうけど。
体はもったいながらずに動くしかないですっっ!!
と、自分に言い聞かせつつ。。。