過去の今日の出来事etSETOraですヨ(=^◇^=)

過去の今日の円谷プロダクション中心の特撮作品だヨ(=^◇^=)

 

今だから明かせる!? ダンとアンヌ隊員が『ウルトラセブン』の裏話を披露 
http://youtu.be/QD7hXT_a3fc
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 ┃ 『ウルトラセブン』ハイビジョンリマスター版 ┃円谷プロ×WOWOW
 ┃ ダン(森次氏)×アンヌ(ひし美氏)特別対談 前編 ┃ 共同プロジェクト
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  構成/友井健人
1967年に『ウルトラセブン』はTBS系で放送された。TBSがある赤坂は、円谷プロダクションがあった世田谷の砧と並んで、『ウルトラセブン』の故郷ともいえる場所。そして2012年。同じく赤坂のWOWOWから、ハイビジョンリマスター版として生まれ変わった『ウルトラセブン』が放送される。セブン、宇宙人、怪獣、メカニック、そして主役のモロボシ・ダンとヒロインの友里アンヌ。傑作SFドラマの魅力の全てが美しい映像で蘇る。2012(平成24)年11月22日、赤坂のWOWOW本社にてハイビジョンリマスター版が初披露された。そして、ダン=森次晃嗣と、アンヌ=ひし美ゆり子が顔を揃えて、トークショーと対談で大いに盛り上がった!
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 |枯葉が舞っても雪が積もっても1年間楽しかった『ウルトラセブン』のスタジオ|
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森次:当時のことで一番思い出すのは、スタジオがボロかったことです(笑)。テレビドラマの撮影って、最新の立派なスタジオで、キレイで快適な設備でやってるって、観る人は思うでしょう? ところがウルトラシリーズを撮っていた「東京美術センター」ってのはねえ……忘れられないな。天井を見れば掘立小屋みたいな剥き出しの垂木が渡っていて、屋根も、壁も、トタンの波板なんだ。だから秋は、天井からカサカサーッって、屋根に積もった枯れ葉が風に吹かれる音が聞こえてね。
ひし美:♪枯れ葉よ~~……掘っ立て小屋のスタジオだったわよね(笑)。
森次:雨が降るとボタボタ、ザザーッて音の中で「スタート!」「カット!」ってやってた。トタンの隙間から雪が吹きこんで「今日は撮影中止」ってこともあった。スタジオの中に雪が積もるんだ(笑)。
ひし美:♪雨が降る~~雪も降る~~(笑)。
森次:面白いねぇ、キミは。吉本か?
ひし美:私は一番の思い出は、レギュラーのみんなと意気投合してね。
森次:よく飲みに行ったこと?
ひし美:アハハ、それもある。飲みに行くのも含めて、1年間、他の作品のレギュラーの現場にはない楽しさがあったんですよ。あれから45年かぁ。今では『ウルトラセブン』は、女性ファンの方も多くて、アンヌも嬉しいわ~~(笑)。皆さん、ありがとうね。
森次:今また、ハイビジョンリマスター版で盛り上がるんだね。ハイビジョンの「湖のひみつ」(放送第3話)は、キレイで驚いたよ。エレキングが暴れるシーンの空が本当に青いね。
ひし美:私はウルトラ警備隊の制服が「こんなキレイな色だったの!」ってビックリしちゃった。まあ、一番最初の撮影で、衣装が傷んでくる前って理由もあるんだけど(笑)。
森次:メトロン星人も、キングジョーも、またキレイな色で見られるなんて、最高じゃないの。全体の色が明るい。撮影当時よりもキレイだね、ハイビジョンは。
ひし美:私たちだけが、古くなっていくのよね。ハア~~(笑)。
森次:変わらなかったらオバケでしょって(笑)。僕らにできることは、カッコよく、年を取っていくことだよ。
写真◆モロボシ・ダン役の森次晃嗣さん
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 |特撮の神様が監修した昭和ウルトラの傑作。大人になって見直して気付く深いドラマ!|
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森次:『ウルトラセブン』が今も愛される理由として、忘れてはいけないのは、最初に『ウルトラQ』ありき、次に『ウルトラマン』が生まれ、そして『ウルトラセブン』が出来たわけだ。「この3本が今も愛されている理由は?」ってことになるね。『Q』『マン』『セブン』に共通なのは、「円谷英二監督が生きておられた時代の作品」だということ(注:円谷英二=『ゴジラ』などの特撮演出で知られる東宝の特技監督で世界的に有名。円谷プロダクションの創設者)。後の作品との、一番の違いはそこですよ。
ひし美:『セブン』は「監修・円谷英二」の傑作として、しっかり残っているものね。
森次:でも、たまにタイトルを間違われるよ。『ウルトラマンセブン』って。そんな作品、どこにもないからね!(笑)。
ひし美:ないない!(笑)。
森次:それと『セブン』の魅力は、大人になって見直して「あ、そういう意味だったんだ!」って気付く、ドラマの深さにあるって言われる。よくファンの人から聞くよ。「子供の頃に見てわからなかった」って。「怖かった」って。
ひし美:出てる私もわかりませんでした!(笑)
森次:スタッフも、出てる僕らも「子供番組」って意識はなかった。「いい特撮ドラマを作ろう」って、みんな、それだけを思っていた。でも深い分、お話がストレートで痛快な『ウルトラマン』よりは、視聴率は落ちてしまった面もある。
ひし美:『ウルトラマン』は40%を超えたんだものね。
森次:『セブン』は最高で33%くらいだから。
ひし美:敵わなかったのよね。
森次:ただね、大きくなって再放送で見たら「えっ、こういう番組だったんだ!」と驚いて、反対にのめりこんで、熱心なファンになった人もいるわけ。そうそう、(少年時代に『ウルトラセブン』を見て宇宙に憧れた)宇宙飛行士の古川聡さんも再放送ファンですよ。
ひし美:いろいろなデザインもいいわよね。
森次:うん。ウルトラホークにしても、これは絶対に速く飛べるぞ!って形をしているよ。車のポインターもカッコいいし。
ひし美:通信機のビデオシーバーも未来的でカッコイイ!
森次:基地の電話がダイヤル式なのが残念! 将来の電話がプッシュホンになるってのは、スタッフも読めなかったんだな。惜しいよ。
ひし美:でもスタッフは、いつも工夫してたじゃない。基地の自動ドアが左右に開くのは、実は「はい、開けた~!」「閉めた~!」ってスタッフの人力だけど、左右のタイミングが合うように、ロープと滑車の仕掛けを作ったりね。
森次:みんな、頑張って工夫していたよ。
写真◆友里アンヌ役のひし美ゆり子さん
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 |ハードな真夏のクランクイン。熱が40度あっても頑張った!|
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ひし美:『セブン』が愛されている理由は……主役のダンの俳優さんも、よかったんじゃない?(笑)
森次:うん、主役の俳優、彼は最高だよ(大笑)。さっきの「湖のひみつ」(第3話。対談前の試写で上映された)で富士五湖のロケをやったとき、僕は40度も熱があったんだよ。ひたむきに頑張ってたねぇ。
ひし美:あれと「緑の恐怖」(第2話)が最初に撮影したお話なのよね。でも、私は後から入ったのよね。
森次:そうそう、アンヌ役には、「豊浦美子さん」という女優さんが決まっていた。ところが、他の作品の都合で降りてしまった。「湖のひみつ」の撮影を3日ぐらいやってからかな? 少し早くロケが終わってスタジオに帰ってきたら、キミ、つまり新しくアンヌ役になった「菱見百合子(当時の芸名)」がいた。その場で、すぐダンとアンヌのスチール撮りをやったんだよ。
ひし美:ポインターの前のダンとアンヌの写真ね。クランクインは7月だったでしょ。
森次:うん、真夏だね。隊員服は暑いし、ヘルメットは重くて、ズレやすくて、走ると傾いて、アクションはひと苦労だった。それでも富士五湖を、運動場みたいに走り回ってた!涼しい顔をしているけど、汗ビッショリだった……しかし、キミはいいよな。
ひし美:えっ?
森次:「湖のひみつ」のアンヌは、メディカルセンターでの出番だけで、白衣姿で涼しい顔をして、通信機のビデオシーバーの画面で「ダ~ン!」ってね(笑)。
ひし美:あら、アタシだって、木曽川ロケのライン下りの場面で40度の熱をガマンして撮影したのよ(第44話「恐怖の超猿人」)。「あのときは目が赤いですよ」って、見てた人に言われたりするの。
森次:熱で目が赤いのも、ハイビジョンでよく見えるかもしれないな。若いからやれたんだよな。
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 |モロボシ・ダンを狙って美女宇宙人が続々と襲来!戦いの中に隠されたアンヌの意外なNG?|
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ひし美:実はアンヌの白衣姿は、ピッタリした制服姿より、おなかのポッコリが目立たなくて、すごく気楽なのよ(笑)。あの頃の私はポッチャリしてたからね。キリヤマ隊長(中山昭二)も、いつも、本番の「よーい!」でグーッとお腹を引っ込めて演技して、「カット!」で「フーッ……」って、お腹を緩めていらしたもの(笑)。あのカッコイイ制服姿はプレッシャーがあったな~。
森次:あったね。僕もお尻の線がキレイに見えるようにパンツを選んだり、制服姿がカッコよく見えるように工夫していた。
ひし美:白衣といえば、たまに勘違いされますが、アンヌは看護師じゃなくて、ドクターだからね。そこは間違わないでね!(笑)20歳なのに、凄く優秀なのよ。満田監督は「飛び級したんだよ」って(笑)。
森次:基地の300人の隊員の体調を管理する優秀なドクターなんだよな。
ひし美:しかし、クランクインのお話から、ウルトラアイを女の子に盗まれるなんて、本当に女の子には弱いのよね、ダンって(笑)。「湖のひみつ」の高橋礼子さん(ウルトラアイを盗むピット星人役)は、15歳だったって。
森次:ダンは15歳の女の子を突き飛ばしていたわけか。ひどいね(笑)。
ひし美:私も最終回でダンに突き飛ばされたわよ(笑)。水上竜子さんもキレイな方だったな~(第4話「マックス号応答せよ」ゴドラ星人役)。
森次:キレイだったね。あんな美人なら、ダンがウルトラアイを盗まれてもしょうがないよ(笑)。
ひし美:ウルトラアイを盗む宇宙人は、吉田ゆりさん(現・香野百合子)もキレイね(第37話「盗まれたウルトラアイ」のマゼラン星人マヤ)。私は出番が少ない回で、いまだにちゃんと見てないんだけど(笑)。
森次:「湖のひみつ」でウルトラアイを盗られる場面、円盤の中でスモークに巻かれて倒れてて、ああいう撮影はケムいんだ。円盤の外観のセットは、富士五湖に大きなセットを作ったんだよ。岩場で、怪獣のエレキングに襲わる場面で、エレキングが光線を吐くと、爆発からダンが逃げるだろう。スレスレでジャンプしてさ。火薬のタイミングが一歩違えばケガするし、うまく避けても爆風がブワーッと来る。怖かったよ。隊長や隊員が、ゴムボートでエレキングに襲われるのは、奥多摩で撮ったんじゃないかな。暑い中、大変だったよ、みんな。
ひし美:ねえ、あたし、「湖のひみつ」を見て、気付いちゃった。メディカルセンターでアンヌの髪が、最初はアップにして結ってて、その後では結ってなくて、下ろしているの。カットが繋がってないのよ(笑)。
森次:よく気付いたねぇ。当時はフィルムも高いから、多少ミスがあっても、そうそうは撮り直しをしないんだよな。セリフがロレっても「アフレコだから」ってOKにしちゃったりさ。
ひし美:覚えてる? 「狙われた街」(第8話)の喫茶店で、ダンとアンヌがグラスやカップを持って会話するじゃない? あのときは「はい(グラスを)上げたー!」「下げたー!」って、その場で指示が飛んでたの。本番中によ。
森次:実相寺(昭雄)監督だね。
ひし美:実相寺監督は構図にこだわるから。私たちが持つグラス越しに窓の外を撮ったりして、それで私たちの手の、微妙な動きも大切だったのね。
森次:そうやって指示が飛ぶ撮影も、オール・アフレコだからできたんだな。
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 |ロケはハプニングの連続?ダンは当時も今も正義のヒーロー。|
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ひし美:撮影現場での失敗っていうと、「シャンデリア」です(笑)
森次:なんだっけ?
ひし美:「怪しい隣人」(第10話)ってお話があるでしょう。あの撮影はどこかのお宅を借りて、2階で撮影してたのね。1階は控室みたいに使わせてもらってた。近所の八百屋さんで買ってきたミカンを現場に差し入れしたの。早生の青いミカンね。それで照明さんに「アンヌ、こっちもー!」って言われて「はーい!」って投げたら、シャンデリアに命中しちゃってね(笑)。
森次:壊したんだ。
ひし美:そう、壊した。制作進行(撮影現場の進行や予算管理を担当するスタッフ)の高山篤さんに叱られちゃって(笑)。弁償したわよ~。私も半分、払ったの。
森次:高山さん! あの「苦虫」さんか(笑)。
ひし美:苦虫!ひどいアダ名ね~(笑)。
森次:厳しかったな。制作は予算管理をする立場だからしょうがないんだよな(笑)。
ひし美:半分でも2万円よ!『セブン』1本のギャラが1万8千円なのに(笑)。
森次:1本分が飛んじゃったんだ(笑)。
ひし美:ねえ、神戸ロケ、あったじゃない?(第14・15話「ウルトラ警備隊西へ 前編・後編」)。ゲストでリンダ・ハーディスティーさんって白人の女優さんが来てたでしょう?(ドロシー・アンダーソン博士役)
森次:キレイな人だったね。実は留学生だっけ?
ひし美:そうそう。あのとき、満田監督に「リンダさんに日本語を教えてあげてよ」って言われて、宿舎のホテルの彼女の部屋に行ったら、彼女は、私たちの部屋の3倍くらいある豪華な部屋だったの(笑)。私は、スクリプターさん(撮影記録係)と、メイクさんと3人の相部屋よ。「何この違い? これも苦虫の仕業か~~」って思った(笑)。
森次:よく覚えてるな~~そんなの(笑)。
ひし美:覚えてる覚えてる。リンダさんは、あの金髪は脱色してたの。かわいい声で「アフレコも私がやりたいんです」「じゃ監督に頼んであげるわ」とか話して、でも結局は吹き替えになったんだけど……ダンは神戸で誰と相部屋だったの?ソガ隊員とかアマギ隊員?
森次:そのあたりだろうね(笑)。
ひし美:あとね、山本耕一さんがゲストの回があったじゃない?(第5話「消された時間」)。あのロケは箱根のホテルが宿舎で、山本さんと相部屋のキリヤマ隊長が「とても居場所がないよ~~」って。
森次:なんで?
ひし美:山本耕一さんが小林千登勢さんとアツアツの頃で、ずっと部屋で甘~い愛の電話をされてて、それで「いやいや、参ったな~~」ですって(笑)。
森次:ホントにキミの記憶力は凄いな。僕は全部忘れた。
ひし美:ダンは出番が多いから忙しかったのよ。
森次:ひたむきにやっていたからね。失敗って、ないと思うしね。
ひし美:失敗はない!? ホント?
森次:だって、地だからね。宇宙人の役は、深く考えたら出来ないって思ったから。新人の「森次浩司(当時の芸名)」を出していけばいいんだと、それでモロボシ・ダンが素直に出ればいいなって。ダンは正義感が強い男。それは僕も同じだしさ。
ひし美:ホント~?(笑)
森次:うん、完全に自分と重なるよ、当時も今もね(笑)。でも背負っているものは重いよ。お酒の席なんかで、ケンカとか騒ぎが起きそうだなとか、不穏な空気を感じたら早々に退散する。騒ぎがあって、その中に僕がいたら大変だから。事件や事故は絶対に起こさないよ。円谷プロさんにも迷惑をかけてしまうしね。いやいや、誰にも迷惑かけなくても起さないよ!(笑)
後編へ続く…。 12/7(金)公開予定です!
 http://www.wowow.co.jp/drama/ultra/ultraseven/interview/interview01.html
 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓2012(平成24)年12/7(金)公開
 ┃ 『ウルトラセブン』ハイビジョンリマスター版 ┃円谷プロ×WOWOW
 ┃ ダン(森次氏)×アンヌ(ひし美氏)特別対談 後編 ┃ 共同プロジェクト
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  構成/友井健人
1967年に『ウルトラセブン』はTBS系で放送された。TBSがある赤坂は、円谷プロダクションがあった世田谷の砧と並んで、『ウルトラセブン』の故郷ともいえる場所。そして2012年。同じく赤坂のWOWOWから、ハイビジョンリマスター版として生まれ変わった『ウルトラセブン』が放送される。セブン、宇宙人、怪獣、メカニック、そして主役のモロボシ・ダンとヒロインの友里アンヌ。傑作SFドラマの魅力の全てが美しい映像で蘇る。11月22日、赤坂のWOWOW本社にてハイビジョンリマスター版が初披露された。そして、ダン=森次晃嗣と、アンヌ=ひし美ゆり子が顔を揃えて、トークショーと対談で大いに盛り上がった!
写真◆モロボシ・ダン役の森次晃嗣さん
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 |ヒロイン・アンヌから見たヒーロー・ダンの魅力とは?|
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ひし美:ダンの魅力かぁ。うーん、なんでしょうねえ……。
森次:俺のことだよ。言いにくいだろう?(笑)
ひし美:お芝居だったから、何も感じなかったのよ。演じる側と、見る側では、気持ちが違うんです。やっぱり。
森次:ダンは名セリフがいっぱいある。「血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ」(第26話「超兵器R1号」)、「アマギ隊員がピンチなんだよ!」(第49話「史上最大の侵略 後編」)。正義感が強いし、仲間への思いやりも深いんだよ。ダンみたいな男になれば、自然と女性たちも「ステキ!」となるから、男性諸君は見習って欲しいな(笑)。
ひし美:でもね、最終話でアンヌが、ベッドで体調が悪くて苦しんでいるダンの額の汗を拭いてあげるじゃない?(48話「史上最大の侵略 前編」) あんな女らしいことをしてたんだわね~。
森次:忘れちゃってたんだ(笑)。
ひし美:だって、『セブン』の最終回って、テレビなんかで必ず紹介されるのは「たとえ宇宙人であろうと、ダンはダンだもの!」でしょう。あの告白が強烈で、やった自分も、他のシーンは、全く忘れてたのよね(笑)。
森次:ダンの汗を拭くアンヌは、まるでダンのお母さんだよ。アンヌの母性。これがダンの心に響いて、とうとう、ダンはアンヌに「僕は……!」って告白する、そういう流れなんだよ。
ひし美:それでアンヌが「待って!」って止めても、振り切って変身するのよね。
森次:そう、突き飛ばして変身するんだ(笑)。
ひし美:今になって知ることって、いっぱいあるのね。『セブン』が始まる頃の新聞記事を見たら、私、こんなことを言ってるの。「ダン隊員に寄せる恋心を、どう表していいか、それが悩みのひとつです」って。私はダンとアンヌって、てっきり、最初はただの同僚で、だんだん恋心が芽生えて、深まって最終回になったって思ってたの。ところが、アンヌには最初からある設定だったのね、ダンへの思いが。
森次:最初の頃から「ダ~~ン!」って、甘えた声で呼んでたじゃないの(笑)。
ひし美:アハハ、忘れてました(笑)。あと新聞記事で「猛暑の中の撮影でアセモができます」とも言ってる。やっぱり制服は暑かったみたいね~(笑)。
森次:だって、真夏に空調もないスタジオで照明をガンガンたいてるんだもの(笑)。
ひし美:真夏は、外に出た方が「あ~涼しい」ってね(笑)
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 |クサくないのがダンとアンヌの芝居の良さ。でも「封印」したい時期もあった?|
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森次:ダンとアンヌのシーンはいろいろやったね。映画館で並んで大きなセンベイかじって、遊園地でコーヒーカップに乗ったり(第28話「700キロを突っ走れ!」)、モーターボートに乗ったり(第41話「水中からの挑戦」)。でもダンにしてみれば、アンヌとはウルトラ警備隊の中の「仲良し」だよ。だって、宇宙人のダンにしてみれば「地球人とは恋はできない」って、思っていたはずなんだ。
ひし美:アンヌはダンを宇宙人とは知らないから、恋心を抱いていたのね。恋心を表すのは「新人だから地でやるしかない!」って感じだったと思うな。
森次:僕も同じ。新人だから地でやっていた。
ひし美:役作りなんてできる器用な女優じゃなかったもの(笑)。でも、地とは言っても、私たちの間に、恋心なんて、微塵もなかったわよね(笑)。
森次:なかったねえ、全然(笑)。でも、そこもよかったんだよ。もしあったら、画面に出てしまうものね。
ひし美:ベタベタした感じになっちゃったかもね。
森次:だから今も新鮮なんだよ。「ダーク・ゾーン」(第6話)で、ダンが「弱虫さん」ってアンヌのオデコを突っつくのも、お茶目でいいじゃないの。
ひし美:満田監督の特訓のおかげよね。
森次:そうそう。1時間早くスタジオ入りしてリハーサルをしてね。満田監督に、感謝、感謝ですよ。
ひし美:つまり、演技がクサくないのがいいわよね、見直すと。
森次:そう、クサくない!
ひし美:ソガ隊員のアチさん(阿知波信介)とは違う!(笑) アチは芝居がクサいのが味だったのね(笑)。
森次:ダンの「血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ」って有名なセリフがある。今だったらあんなに素直に言えないよ。今じゃ重々しく響かせる芝居を覚えてしまったから、逆にできない。当時は、素直にストレートにしかできなかった。でも、よかったんだ。
ひし美:今だと、時代劇みたいな節回しで「血を吐きながら~続ける~~」なんてやっちゃうのかしら(笑)。いつも、飾らずにお芝居してるダンとアンヌ。 
森次:それがいいんだよ。
ひし美:正直にいえば、最初の放送が終わって何年かは「ウルトラセブンの話はやめて欲しいな」「恥ずかしい」って思った時期もあったの。だって、ニキビがアップで映ってたりするじゃない(笑)。
森次:実相寺監督の「狙われた街」だね。
ひし美:近所のおばさんに「『ウルトラセブン』の地谷子ちゃん(本名)は、オヘチャでカワイイわよね」って言われたりして「も~~っ恥ずかしい!」ってときもあったのね。オヘチャって、アンパンみたいに丸い顔に目と鼻、みたいな意味よ(笑)。
森次:若かったからねえ(笑)。
ひし美:それが変わったのは、放送が終わって10年くらいしてからかな。ウルトラシリーズの第二次ブームみたいのがあって、急に家を訪ねてくる熱心なファンの人とかいて、「あ~、こんなに愛されてたんだ」って、感激したのね。
森次:僕もそうだよ。昔の自分を見られるのが恥ずかしいというかね。一時は「ダンは封印」みたいな気分もあった。でも、気がつけば、そんな迷いは乗り越えてしまったよな、俺たちは(笑)。
ひし美:「恥ずかしい」って思った時期がウソみたいで、今じゃ「ダンです!」「アンヌです!」だもんね(笑)
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 |もう一度出会いたい撮影アイテム。『ウルトラセブン』アナログ特撮の魅力!|
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森次:昨年、僕の店の「ジョリー・シャポー」から、ウルトラセブン制作当時のマスクが盗まれてしまった……残っていたセブンの全身から、ボロボロになっていた体のウェットスーツ部分は切り離して、首から上をキレイに塗り替えた。そして飾っていたんです。大切な宝物だよ。今も見つかっていない。返してください!
ひし美:撮影当時のものだものね。
森次:ウルトラ警備隊のヘルメットはひとつ持っているんだよ。アマギ隊員の古谷敏ちゃんが使ったものだけど。
ひし美:確か、隊員のヘルメットの内側は、それぞれ名前が書いてあった。隊員服は2着ずつあったわよね。
森次:当時のものは、なぜだかファンの方が、どこかで手に入れて保存していることが多いんだよな。「ダン」って書いてある僕の隊員服も、今も誰かが持っているんだろうな。
ひし美:私はアンヌのものって、何も持っていないの。
森次:作品を見るといろいろ思い出す。「ノンマルトの使者」(第42話)で海辺で着ている海パン、白いニット、あれは僕の自前、私物だった。どうなったんだろうな。撮影後、返してもらったのかね?
ひし美:最近、思い出したの。「ミス10代女王コンテスト」っていう、大信田礼子さんが優勝したミスコンが当時あってね。そのとき、東宝の新人女優が何人か駆り出されたの。出場者の数の水増しで。つまりサクラね(笑)。私も東宝の新人だったから、行けっていわれて出たわけ。その水着審査で、全員が同じ水着を支給されて、終わった後はもらえたの。「ノンマルトの使者」でアンヌはピンクの水着を着てるでしょ。アレがそうよ(笑)。
森次:それは今あるの?
ひし美:ないない(笑)。
森次:どうなったんだろうねえ。
ひし美:捨てられたのよ。きっと家族に「こんなのいらないだろう」って。
森次:あったら凄い価値なのにね。ひどい家族だ(笑)。僕らの撮影小道具だけじゃなくて、『ウルトラセブン』は特撮のミニチュアも大変な価値があるね。アナログの世界。ピアノ線の世界だね。ウルトラホーク1号なんて、基地の山が割れて発進していく。最高じゃないの。「フォース・ゲート・オープン!」ってドックに声が響いてね。ホーク3号は滝から飛び出す。水で叩かれてグッと下がってから飛んでいくよ。いいよ! あれがミニチュア特撮の魅力だよ。撮影がアナログ、つまりフィルムだったから、今回のようにリマスターされて生まれ変わって、さらにキレイになるんだ。ビデオで撮ったドラマは、こうはいかない。フィルムってのは、時間がたっても、しっかり残る。くじけないんだ。
ひし美:ウルトラシリーズは最近の作品もフィルムで撮っているのかしら?
森次:それは僕に聞かないでくれよ(笑)。(注:1990年代の作品はフィルム撮影してビデオに変換して編集、近年の作品は高精細なハイビジョンカメラで撮影されるなど、フィルムの魅力を継承している)。僕らも年末年始は『ウルトラセブン ハイビジョンリマスター版』を見ようよ。
ひし美:年越しそばを食べながら見ましょうよ!(笑)
森次:しかし、まあ、お互い変わらないって言うか、アンヌとダンは何十年たってもダンとアンヌだよなぁ。
ひし美:そりゃそうよ。「ダンはダンだもの!」(笑)。
 http://www.wowow.co.jp/drama/ultra/ultraseven/interview/interview02.html

過去の今日の円谷プロダクション中心の特撮作品だヨ(=^◇^=)

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