*** june typhoon tokyo ***

MY FAVORITES ALBUM AWARD 2007

 夜の帳が下りるのも早まり、寒さも本格化してまいりましたが、みなさま如何お過ごしでしょうか。
 さて、年の瀬恒例となりました、「マイ・フェイヴァリッツ・アルバム・アワード」も今回で記念すべき0510回を迎えることになりました(大嘘ロングビーチ。0510=レコード…)。さあ、今年はどんなライン・アップとなるでしょうか!

 なお、この「マイ・フェイヴァリッツ・アルバム・アワード」はあくまでも独断と偏見にもほどがあると思われるくらいに趣味嗜好が偏ったものですので、ロック、パンク好きはもちろん、ジャズ、クラシック、ワールド・ミュージックなどのアルバムには、その存在自体がなかったように扱っていますので(爆)ご注意ください。ぶっちゃけると、R&B/ソウルに特化しまくっているので、それ以外のジャンルが好きで、万が一タイトルを見てワクワクしてしまった方は(いないと思いますが)、この記事なんぞぶっ飛ばした方がいいと思われます。はい。


◇◇◇

【総評】

 2007年の自分周辺の音楽シーンを見ると、昨年以上に豊作だったように感じました。食指が動くアルバムが年を通じてコンスタントにあったように思います。特に新人以上にヴェテラン勢が上質のアルバムをリリースしてきたなぁといえるのではないでしょうか。
 個人的な思考をいうと、洋楽に関しては国内盤を購入した方がボーナス・トラックやDVDが付いてることが多いし、ライナーノーツもある、さらに、大げさに捉えれば、日本の音楽業界のためにもなるからイイ、と思っているのですが、今年は国内盤まで待てずに購入したり、国内盤化されていない輸入盤を買うことも多かったように思います。まぁ、それ以上に、スペシャル・プライス版、デラックス・エディション、来日記念盤…等々、後日にえげつないリリースの仕方をするレコード会社に辟易しているとも言えるのですが。

 それと、ハレー彗星の出現の周期とまではいきませんが、久しぶりにハウスを聴く年にもなりました。さまざまな媒体で“今年はハウス・ブーム”と評されているようですが、それに乗っかった訳ではなく、あくまでも自分のサイクルにたまたまハウス・ムーヴメントが合っただけです(といっておきます…苦笑)。例年以上にハウス・コンピを聴いたと思います。ラウンジ・ミュージックなどは、とっつきやすい反面、飽きられるのも早いのですが、Ryoheiのカヴァー・シリーズ『Cavaca』、CARGO『JEWEL』、Jazztronik『Grand Blue』など良作も多くリリースされました。Fantastic Plastic Machineのベストが発表されたのも、今年の2月でした。パ・パ・パ、パパルワ~。また、中田ヤスタカ周辺も良く聴きました。capsuleはもちろん、COLTEMONIKHA、Perfume(ライヴ・チケットが全然取れない!!)など。どこへ行こうとしているのか全く解からない鈴木亜美とのコラボや、あそこまでYUKIに酷似したプロデュースはある意味天晴れ(?)なMEGなどは、微妙でしたが。

 近年は、ベスト盤やコンピ、カヴァー・アルバムが全盛となっていますが、今年はそれが特に顕著だったように思えます。それが悪いとはいいませんが、邦楽界におけるヴェテラン・アーティストのカヴァー・アルバム連発にはちょっと閉口しました。名曲をカヴァーしたアルバムを出してみたいという欲望を否定する気はないですが、どうもネタがなくなったから、レコード会社との契約もあるし、1枚とりあえずカヴァーでも出してみるか的なムードがぷんぷんに匂うものばかりなような気がしたので。洋楽でもカヴァー・アルバム(ベイビーフェイスやボーイズIIメンなど)が出ていますが、それでも温故知新的なしっかりとしたテーマがあるように思えるので、まだマシ。同じような時期にリリースされていることからも、契約がらみと思えるところが大きいのですが、それがまたオリコン・チャートに顔を覗かせたりするから…。徳永英明『ヴォーカリスト』のヒットに感化されたんだと思いますけどね。比較的若い島谷ひとみまでも男性ヴォーカリストのカヴァーを出したりしてますが、内容の良し悪しは別として、これはヴェテラン・アーティストたちのそれとは異なった見解をしてあげなければいけませんが。女性が男性曲のカヴァーをしたから?いいえ、それなら男性アーティストも女性ヴォーカル曲をカヴァーしてますから。そのアルバムが認められる唯一の点は、島谷ひとみが生粋のカヴァー・ソング・アーティストだからです。(爆)

 年末近くになって、畳み掛けるように良作がリリースされた気もしました。Mary J.Bligeなどもその一つですが、まだしっかりと聴き込んでいないので、そのあたりのアルバムは今回のアワードには選外としました。感じたのは、良作や手にとってみたい作品が多すぎて、追いつけないということです(経済的にも!…苦笑)。ということから、今回のアワードは、洋楽については原則国内盤リリース作品に限りました。

 では、今年のマイ・フェイヴァリッツ・アルバム・アワードの発表です。


◇◇◇

【ノミネート作品】

≪洋楽部門≫
Alicia Keys 『AS I AM』
Angie Stone 『The Art of Love & War』
Chrisette Michele 『I AM』
Frank McComb 『LIVE IN ATLANTA VOL.1』
Jill Scott 『The Real Thing Words and Sounds Vol.3』
Joe 『AIN'T NOTHIN' LIKE ME』 
Joy Denalane 『Born & Raised』
Keyshia Cole 『just like you』
Ledisi 『Lost & Found』
Musiq Soulchild 『LUVANMUSIQ』

以上10作品(A→Z)

≪邦楽部門≫
AI 『DON'T STOP A.I.』
ICE 『Speak Low』
安室奈美恵 『PLAY』
JAMOSA 『One』
BENNIE K 『THE WORLD』
BONNIE PINK 『Thinking Out Loud』
MONDAY満ちる 『My Ever Changing Moods』

以上7作品(あ→ん)


◇◇◇

【MY FAVORITES ALBUM AWARD 2007】


【最優秀作品】

≪洋楽部門≫
Ledisi 『Lost & Found』
(レディシ 『ロスト&ファウンド』)

≪邦楽部門≫
AI 『DON'T STOP A.I.』

【新人賞】
Chrisette Michele 『I AM』
(クリセット・ミッシェル 『アイ・アム』)

【功労賞】
ICE

◇◇◇

Ledisi_lostfound 最優秀作品は、レディシ『ロスト&ファウンド』とAI『DON'T STOP A.I.』に。アリシア・キーズ、アンジー・ストーン、ジル・スコットなど、女性ソウル・シンガーの上質な作品が次々と連発され、嬉しい悲鳴というかかなり困難を極めたましたが、不遇だった過去を一気に払拭させるパワーと懐の深さを体現したレディシのメジャー・デヴュー作を最優秀作品に選びました。ナイジェリアのヨルバ語で「生み出す」という意味の名前に違わず、まさに全身全霊で生み出した『ロスト&ファウンド』は、時代の潮流に流されないマスターピースとなることでしょう。
 男性ヴォーカリストでは、ジョーとミュージック・ソウルチャイルドの作品が光りました。特にミュージック・ソウルチャイルドの心地よさは圧巻。安心度120%のクオリティでした。
 ノミネートには、ヒップホップ勢がいませんが、ヒップホップよりもソウル寄りな個人的嗜好によるもので、ウィル・アイ・アムやカニエ・ウェスト、ティンバランドなど、こちらも良作がリリースされました。その中でも特に、コモン『ファインディング・フォーエヴァー』は素晴らしかった1枚のうちのひとつでしょう。前述のカニエ・ウェスト、ウィル・アイ・アムにディアンジェロ(!!!!!)も参加した、コンシャスな作品でした。

Ai_dontstopai 邦楽部門は、つい先日まで「今年は安室だな」と思っていたのですが、AIの『DON'T STOP A.I.』がクビ差(笑)で最優秀作品に。前作『What's Goin' On A.I.』を凌ぐクオリティになったと思っています。まさに“DON'T STOP=止まらない、止められない”AIの今後がさらに楽しみになりました。もちろん、安室奈美恵『PLAY』も素晴らしい出来で、以前のユーロビート路線を払拭したばかりか、日本でのR&Bシーンの先鞭をつけるに相応しい作品になったといえるでしょう。BENNIE K『THE WORLD』は、世界を旅するというコンセプトが秀逸。サンバ、ロック、ハワイアン……さまざまな要素を取り込みそれを見事に表現したその姿勢には脱帽でした。洋楽に比べて男性陣が多少元気がなかったかなとも思えますが、KREVAやFull Of Harmonyなどもいい作品を出しているようなので、今後に期待ですね。ジャパニーズR&Bのパイオニアである久保田利伸に続く、ソウル・シンガーの出現が待望されます。ただ、その久保田自身がKREVAと組んだり、年明けにはMISIAとコラボしたりと、彼自身が充実しているようですが。

 新人賞はクリセット・ミッシェル。『アイ・アム』は洋楽部門の最優秀作品でもおかしくないクオリティでした。これでまだ20代前半というのだから……。
 功労賞はICEに。先日、“宮兄ィ”こと宮内和之氏が鬼籍に入りました。近年はベスト盤のリリースが多かったのですが、今年はオリジナル・アルバムをリリースして、完全復活かと思われた矢先の悲報でした。ただ、新作『Speak Low』は、彼が亡くなったということがなかったとしても、今年の上位に配されるだろう佳作には間違いありません。

 来年へ期待するところは、特に邦楽で、次世代を担う若手の男性ソウル・シンガーが出てきて欲しいなというところですか。洋邦問わず、ヴェテラン勢は新たな要素を吸収して新境地やさらなる高みへと手を伸ばそうとしているのに、それに比べると、活きのいい若手がややパワーが足りないかなと。そして、安易なテクニックに走らず、オリジナリティで勝負出来るアーティストが、どんどん出てきてもらいたいですね。カヴァー・アルバムの連発はやめてくださいね。


 今年のベスト・ライヴを決める、“MY FAVORITES LIVE AWARD 2007”については、また後日にでも。

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