*** june typhoon tokyo ***

RHYMESTER@Zepp Tokyo


 自負と証明のステージ。

 RHYMESTERの結成25周年記念ベスト・アルバム『The R~The Best of RHYMESTER 2009-2014~』を引っ提げてのツアー“RHYMESTER King Of Stage Vol.11 The R Release Tour 2014”のZepp Tokyo公演の模様を観賞。ステージを遮っていた幕の中から宇多丸、Mummy-Dがオーディエンスを煽る声を発した直後に一瞬にして幕が外されると、“The R”のロゴが光るターンテーブル台のDJ JINをセンターに、宇多丸とMummy-Dがステージを所狭しと駆け回る。“お手を拝借”のフレーズとともに繰り出されるクラップがフロアの隅々まで行き渡る「Walk This Way」から“キング・オブ・ステージ”のショウがスタートした。

 “チケット代の5倍は楽しませる”“2009年以降の楽曲を軸に構成しても充分満足出来る内容”“他のヒップホップ・グループがやらないことをやる”……宇多丸から発せられる言葉は一見挑発的で自己陶酔にも思えるようなものが続くが、彼らから発せられる熱量やメッセージ性とパーティ性のバランス、納得せざるを得ないスキル&パフォーマンスなどを実際に体感してしまうと、「ゆめのしま」の詞にもあるように“絵空事を明日に変え”てきた彼らだからこその説得力がフロアに充満していた。

 時が来るまで決して自分を貶すなと問いかける「ONCE AGAIN」、自分自身が自分の道を決めるんだと説く「The Choice Is Yours」、持たざる者が持つものに時には勝てる武器は何であるかを教える「K.U.F.U.」などアッパーな楽曲でオーディエンスの心と身体を揺るがしたかと思えば、KAN SANOのエレピによるスタイリッシュなグルーヴとともに“いい加減もたまにはいい”と人生の小休止の必要性を語る「ちょうどいい」や、何もないような日々の連続が素晴らしいと歌う「It's a new day」「POP LIFE」など、緩急の配分が見事。

 ライヴでは恒例となっているキャラクター“しゅうけいくん”が登場する“ミステリーコーナー”では、宇多丸が出演しているラジオ番組形式を模した形で再現。DJ JINをゲストに迎え、アシスタントの“しゅうけいくん”とやりとりをしながらリクエストを一曲披露するという寸劇も、長丁場のステージを飽きさせない工夫に満ちていた。

 Mummy-Dいわくベスト盤に入れるのは多少重過ぎるかなと思った「HANDS」では、“言いたいことは言っていく”という彼らのスタンスを貫く決意を表明し、宇多丸は昔ながらのオールドスクールをずっとやり続けることも出来たけれど、そうではなくさまざまな楽曲にトライしても、常に高みを目指してチャレンジしていくという姿勢はブレずに来たという自負を語る。その言葉に頷きながら体温を挙げてきたオーディエンスに、ここぞとばかりに食らわしたのがライムスター・クラシックなる「B-BOYイズム」。“決して譲れないぜこの美学/ナニモノにも媚びずに己を磨く”のフレーズで畳み掛けると、歓喜と叫喚が入り混じった声がフロアにこだました。

 終盤は再びKAN SANOを呼び出してのエレピ、ターンテーブル、声という三すくみの“リアル”なセッションで「ザ・グレート・アマチュアリズム」「ゆめのしま」を披露してクライマックスへ。本編ラストはタイトルどおりの「ラストヴァース」。「Walk This Way」で幕を開けたステージを「ラストヴァース」で締める。自分たちの進んできた道を赤裸々に晒しながらも、これまでの道のりは決して間違っていなかったと、25年間シーンに偉大な足跡を刻んできたという自負をオーディエンスに最後の言葉として伝えた……それを体現しようとした構成ではなかったか。

 アンコール明けは、一通り終わったら過去を振り返ってる場合ではなく次へ進むんだという意志をもって、新曲となる「SOMINSAI」を。この曲をプロデュースしたPUNPEEを呼び込んでのスペシャルなステージを披露したかと思えば、代わってスクービー・ドゥーの面々を迎え入れての「This Y'all That Y'all session with SCOOBIE DO」でバカ騒ぎ。
 スクービー・ドゥーのコヤマシュウが“(ここまでカッコイイ)ライムスターに対して、軽い嫉妬と憤りを覚える”と発言すると、それを受けて宇多丸が、それを一言で言うと? とオーディエンスに振り、“けしからん!”の声とともに「けしからん」がスタート。さらなるパーティ・モードにヴォルテージは最高潮に。“全てを吐き出して帰ってくれ”との煽りから、アンコールラストは「余計なお世話だバカヤロウ」。本編ではメッセージ性を感じさせる構成で締めて、アンコールは番外編だからとことん弾けてしまおうという、彼ららしいエンターテインメント性がきめ細やかにセッティングされた3時間。まさに、“キング・オブ・ステージ”に相応しいステージとなった。

 終演後、時計を見ると22時を回っていたが、全く長いと感じなかった。ベスト盤を携えてのツアーは次の札幌公演まで続くが、そのベスト盤に収録されている曲は2009年以降のもの。それ以前の楽曲ばかりに頼らず、常に進化と深化、そして進取と好奇心を忘れない彼らのこれまで積み重ねたステージの数々が、自負となり矜持となり、そして明日への活力となることを肌で感じたライヴだった。



◇◇◇

<SET LIST>
00 INTRODUCTION
01 Walk This Way
02 午前零時
03 ONCE AGAIN
04 The Choice Is Yours
05 K.U.F.U.
~MC~
06 サバイバー
07 Come On!!!!!!!!
~MC~
08 ちょうどいい(Piano session with KAN SANO)
09 It's a new day(Piano session with KAN SANO)
10 POP LIFE(Piano session with KAN SANO)
~VIDEO CM~
11 After The Last
12 そしてまた歌い出す
13 Just Do It!
14 付和 Ride On
~RADIO PROGRAM MC SECTION~
15 ビッグ・ウェンズデー
16 HANDS
17 B-BOYイズム
18 ザ・グレート・アマチュアリズム(with KAN SANO)
19 ゆめのしま(with KAN SANO)
20 ラストヴァース
≪ENCORE≫
21 SOMINSAI(Special Guest with PUNPEE)
22 This Y'all That Y'all session with SCOOBIE DO(Special Guest with SCOOBIE DO)
23 けしからん(Special Guest with SCOOBIE DO)
24 余計なお世話だバカヤロウ

<MEMBER>
RHYMESTER:宇多丸(MC)、Mummy-D(MC)、DJ JIN(DJ)

KAN SANO(key)
SCOOBIE DO(band)
PUNPEE(MC)



◇◇◇

The Choice Is Yours


K.U.F.U.


ラストヴァース





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