好調の勢いを削ぎかねないホームでの痛い敗戦。
長崎を侮っていた訳ではないだろうが、現在15位、前回のアウェイでの対戦では5点を奪った相手。さらに、前節の横浜F・マリノス戦で大量5点を挙げたFC東京。いつでも得点が獲れるだろうという僅かな気持ちの隙が、長崎の粘り強いディフェンスを崩せず、一瞬の出足の遅れに繋がっていたか。どこかいつもと異なり切り替えの素早さや激しさが抑え気味で、“ファストブレイク”が形作れず、なかなかペースを掴めない。そこに長崎がシドニーFCより新加入したバイスや昨季までFC東京に所属した徳永を中心にブロックを形成、FC東京が攻撃を掛けるとファンマのみを残して堅く守るメリハリの良さもあり、前半は長崎が主導権を握っていく。15分のファンマのヘディングは大久保択生がビッグセーヴ、32分の翁長のゴールチャンスはシュートミスに助けられ、何とか無失点で切り抜けていたものの長崎の得点機が続き、FC東京にとっては歯がゆさの残る展開で前半を終える。
後半も49分のファンマのミドルを大久保択生がそのままキャッチするスーパーセーヴ、56分にはCKから鈴木武蔵のヘディングシュートをゴールライン上で富樫がクリアして難を逃れるなど、長崎の攻勢が続く苦しい展開だったが、後半の頭から富樫を投入し、長崎が決め切れないでいるなかでディエゴ・オリヴェイラへボールを預けながら打開を窺っていたFC東京が60分台からようやく攻撃のリズムを生み出していく。太田からのクロスやアタッキングサードへの縦パスからの狭いエリアでのパス交換で抜け出しを試みるなどゴール前には迫るが、やはりシュートへの流れが1テンポ遅い分、シュートを打ち切れず相手のブロックに引っかかってしまう。72分にはエリア内右へディエゴ・オリヴェイラが抜け出してニアにシュートを放つも、バイスが足を延ばしてブロック。長崎のタフな守備から点が奪えない。
ともに攻勢で点が奪えず流れが往来し始めた77分、島田のCKからセカンドボールを再び島田が拾うとファーへクロス。その折り返しがゴールマウスへ向かうも東がゴールライン手前で一度は跳ね返すが、そのボールを受けた黒木がエリア内でプレスに来たFC東京のDFをかわすして浮き球パス。鈴木が頭でファンマへ送ると、ファンマがヘディングシュート。ゴールラインを越えたかに見えたが、東が再びクリア。それでもファンマが右足のアウトサイドでもう一度ねじ込み、長崎が貴重な先制点を挙げた。FC東京は60~70分台に掛けて攻勢に出始めていただけに、痛い失点となってしまった。
FC東京は70分にピッチに送り込んでいた田邉に続いて、79分にリンスを投入。10分以上残しながら3枚目を切って勝負に出る。次第に中盤が間延びし始め、FC東京も左サイドからのクロスやパスの連係からゴールをこじ開けようとするも、ビッグチャンスは生み出せず。最後まで集中力を欠かなかった長崎が最少得点差で味スタで勝ち点3を獲得。広島の後を追うFC東京にとっては痛恨の敗戦となった。
この日の試合は、このところの猛暑とは一変し比較的動きやすい気候だったとは思うが、ハードワークが直に伝わってきた前節と比べると物足りなさを感じてしまう出足の鈍さやスピード不足で、どこか地に足がついていない印象。大森やディエゴ・オリヴェイラなどシュートを打てる場面が幾度かあったが、素早くゴールを狙わずに長めにボールを持ったことでシュートのタイミングを自ら失うなど、シュートを意識した攻撃がいま一つ繰り出せなかった。多少は相手を崩していても、なかなかワンタッチやダイレクトのパス交換は見られず、狭いエリアを突破しきれずにシュートで終われない攻撃が徐々に攻撃のテンポを狂わせると、長崎にしっかり守れているという自信を与えてしまい、モチベーションを高めさせる要因の一つにもなってしまった。
FC東京は最低でも勝ち点1が欲しかったところだが、これで再び広島との差が広がる一方、川崎が勝利すればFC東京が2位から3位へ落ちることにもなる非常に痛い一敗。好調が続くなかで、前節とは敢えて異なる選手を起用して層の厚みに自信を増したかったところだが、それも叶わず。よく好調時には変にメンバーをいじらずにいた方がいいとも言われるが、その心配が的中する結果となってしまった。
長いシーズンでは劣勢に立つ場面はあるが、苦しみながらも引き分けたり、最後は試合をひっくり返せるというのが強いチームにはある。この試合だけをみると、FC東京には真の意味でまだそこまでの底力を備えていないともいえる。後半戦初戦で嘗めた苦い味をどのように活かしていくか、好調時に隠れていた見えづらかった課題を一つずつ克服しつつ、再度チームとして一体感を強めることが不可欠だ。このままズルズルと勢いを落とさないためにも、次節は結果が問われる。ミッドウィークのアウェイ戦かつこれまでに相性が決して良いとはいえない鹿島が相手と難しい試合になるが、ここを凌がないと、優勝争いどころか一気に中位の混戦にも飲み込まれかねない。
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【明治安田生命J1リーグ 第17節】
2018年07月27日(金)19:03試合開始 味の素スタジアム
入場者数 23,067人
天候 曇 / 気温 27.0℃ / 湿度 56%
主審 佐藤隆治 / 副審 山内宏志、熊谷幸剛 / 4審 赤阪修
FC東京 0(0-0 / 0-1)1 長 崎
≪得点≫
(東):
(長): ファンマ(77分)
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≪スターティングメンバー≫
GK 01 大久保択生
DF 02 室屋 成
DF 05 丹羽大輝
DF 03 森重真人
DF 06 太田宏介
MF 38 東 慶悟
MF 18 橋本拳人
MF 08 高萩洋次郎 → リンス(79分)
MF 39 大森晃太郎 → 田邉草民(70分)
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ
FW 11 永井謙佑 → 富樫敬真(46分*)
≪サブスティテューション≫
GK 30 廣末 陸
DF 25 小川諒也
DF 29 岡崎 慎
MF 27 田邉草民
MF 07 米本拓司
FW 13 リンス
FW 17 富樫敬真
≪監督≫
長谷川健太
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【明治安田生命J1リーグ 2018シーズン日程】
第01節 2018/02/24(土)14:00△FC東京 1-1 浦 和(H・味スタ)
第02節 2018/03/03(土)15:00✕FC東京 0-1 仙 台(H・味スタ)
第03節 2018/03/10(土)15:00✕FC東京 0-2 磐 田(A・ヤマハ)
第04節 2018/03/18(日)15:00〇FC東京 1-0 湘 南(H・味スタ)
第05節 2018/03/31(土)15:00〇FC東京 3-2 G大阪(H・味スタ)
第06節 2018/04/08(日)14:00〇FC東京 5-2 長 崎(A・トラスタ)
第07節 2018/04/11(水)19:00〇FC東京 2-1 鹿 島(H・味スタ)
第08節 2018/04/14(土)15:00✕FC東京 0-1 C大阪(A・ヤンマー)
第09節 2018/04/21(土)13:00〇FC東京 1-0 清 水(A・アイスタ)
第10節 2018/04/25(水)19:00〇FC東京 3-1 広 島(H・味スタ)
第11節 2018/04/28(土)15:00〇FC東京 3-2 名古屋(H・味スタ)
第12節 2018/05/02(水)19:00△FC東京 0-0 神 戸(A・ノエスタ)
第13節 2018/05/05(土)14:00〇FC東京 2-0 川 崎(A・等々力)
第14節 2018/05/13(日)16:00△FC東京 0-0 札 幌(H・味スタ)
第15節 2018/05/20(日)15:00△FC東京 0-0 鳥 栖(A・ベアスタ)
第16節 2018/07/18(水)19:00〇FC東京 1-0 柏 (A・三協F柏)
第17節 2018/07/22(日)19:00〇FC東京 5-2 横浜FM(H・味スタ)
第18節 2018/07/27(金)19:00✕FC東京 0-1 長 崎(H・味スタ)
第19節 2018/08/01(水)19:00 FC東京 vs 鹿 島(A・カシマ)
第20節 2018/08/05(日)19:00 FC東京 vs 神 戸(H・味スタ)
第21節 2018/08/10(金)19:00 FC東京 vs G大阪(A・吹田S)
第22節 2018/08/15(水)19:00 FC東京 vs 柏 (H・味スタ)
第23節 2018/08/19(日)13:00 FC東京 vs 札 幌(A・札幌ド)
第24節 2018/08/26(日)19:00 FC東京 vs 湘 南(A・BMWス)
第25節 2018/09/01(土)・02(日) FC東京 vs 鳥 栖(H・味スタ)
第26節 2018/09/15(土)・16(日) FC東京 vs 仙 台(A・ユアスタ)
第27節 2018/09/22(土)・23(日) FC東京 vs 広 島(A・Eスタ)
第28節 2018/09/29(土)・30(日) FC東京 vs 清 水(H・味スタ)
第29節 2018/10/06(土)・07(日) FC東京 vs 名古屋(A・豊田ス)
第30節 2018/10/20(土)・21(日) FC東京 vs C大阪(H・味スタ)
第31節 2018/11/03(土)・04(日) FC東京 vs 横浜FM(A・日産ス)
第32節 2018/11/10(土) FC東京 vs 磐 田(H・味スタ)
第33節 2018/11/24(土) FC東京 vs 川 崎(H・味スタ)
第34節 2018/12/01(土) FC東京 vs 浦 和(A・埼 玉)
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