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*** june typhoon tokyo ***

MY FAVORITES ALBUM AWARD 2008

 2009年まであと僅か。今年も(個人的に)年の瀬恒例の「マイ・フェイヴァリッツ・アルバム・アワード」を開催したいと思います。毎回言いますが、この「マイ・フェイヴァリッツ・アルバム・アワード」はあくまでも独断と偏見にもほどがあると思われるくらいに趣味嗜好が偏ったもので、今年のミュージック・シーンを表わしたとか、そんな大それたことなどは全くありませんし、ロック、パンクやジャズ、クラシックなどの類は、そのアルバム存在しなかったように無視されていますので、ご容赦ください。要するに、J-POP、R&B/ヒップホップ、ソウル/ダンスなどに特化しまくってるということなので、それ以外が好みの方は、どうぞ他の格式高いランキングへ行ってみてください。(笑)

 では、今年のアルバム・アワードを発表する前に、過去の授賞およびノミネート作品を振り返ってみることにしましょう。

◇◇◇

【過去の授賞作品】

◆ 2005年
◎ ERIC BENET 『HURRICANE』

JAMIROQUAI 『DYNAMITE』
m-flo 『BEAT SPACE NINE』
ALICIA KEYS 『UNPLUGGED』
CRAIG DAVID 『THE STORY GOES...』

◆ 2006年
◎ NATE JAMES 『SET THE TONE』

JEFF HENDRICK 『SOUL CELEBRATION』
MONICA 『THE MAKINGS OF ME』
AMP FIDDLER 『AFRO STRUT』
SOULHEAD 『NAKED』

◆ 2007年
≪洋楽部門≫
◎ LEDISI 『LOST & FOUND』

ALICIA KEYS 『AS I AM』
ANGIE STONE 『THE ART OF LOVE & WAR』
CHRISETTE MICHELE 『I AM』
FRANK McCOMB 『LIVE IN ATLANTA VOL.1』
JILL SCOTT 『THE REAL THING WORDS AND SOUNDS Vol.3』
JOE 『AIN'T NOTHIN' LIKE ME』 
JOY DENALANE 『BORN & RAISED』
KEYSHIA COLE 『JUST LIKE YOU』
MUSIQ SOULCHILD 『LUVANMUSIQ』

≪邦楽部門≫
◎ AI 『DON'T STOP A.I.』

ICE 『Speak Low』
安室奈美恵 『PLAY』
JAMOSA 『ONE』
BENNIE K 『THE WORLD』
BONNIE PINK 『THINKING OUT LOUD』
MONDAY満ちる 『MY EVER CHANGING MOODS』

≪新人賞≫
CHRISETTE MICHELE 『I AM』
≪功労賞≫
ICE

◇◇◇

 昨年から洋楽と邦楽で部門を分けました。さらなるジャンル分けは、このアワードがJ-POPやR&B/ソウルなどに特化しているため必要ないかと。したがって、今年も洋楽と邦楽でそれぞれマイ・フェイヴァリットを決めたいと思います。

 では、最初に(生意気にも)2008年の総評から。

◇◇◇

【総評】

 洋邦通じて、今年の1番のキーワードは何だろうといったら、“ロボ声”とか“オートチューン”といった“エレクトロ・スタイル”ってことになるだろうか。洋楽ではオートチューン・スタイルをシーンの最前線へ送り出したT-ペイン、邦楽ではテクノ・ポップとしての側面を持ちながらアイドルの救世主となったPerfumeが中心人物にあたるか。そのエレクトロ・スタイル(特にヴォーカル・エフェクトという形で脚光を浴びた)を武器に、今年の音楽シーンを席巻したのは記憶に新しいところだ。
 この新鮮な風は、さまざまなアーティストに影響を与えた。T-ペインの作風は、カニエ・ウェストやリル・ウェイン、ディディなどによって積極的に採用されてヒット作を生み出すことになったし、Perfumeのブレイクで時代の寵児的な評価もされている彼女らのプロデューサー、中田ヤスタカのヴォコーダー・スタイルは、Perfumeの成功を受けて多くのJポップが採り入れるまでとなった。

 その一方で、特に洋楽R&Bシーンでは、旧き良きソウル・サウンドへ回帰する動きも多かった。ニーヨ『イヤー・オブ・ザ・ジェントルマン』などのように、そろそろ真剣にメロディを軸とした楽曲の構築をしようという意気込みが各アーティストにあったのかもしれない。とはいえ、誰もが2008年といえばこれだというような代表作が生まれたとも素直には言いがたいのも事実。傑作が多くなかった訳ではないけれど、全体的に小粒というか、アヴェレージ・ヒッター的なスケールだったような気がする。ただ、ジェニファー・ハドソン、エステルやアルジェブラ、ジャズミン・サリヴァンら、特に新人女性アーティストの有望株が出現したことは、明るい話題であった。

 邦楽については、近年次第に購入比率が低くなってきている。特に新人アーティストで、購入意欲がそそられるものがなかなかいない。アルバム単位のリリースとしては、ニューカマーは青山テルマ『Diary』を購入したくらいか(ただ、その後の青山テルマの楽曲にはちょっとという感じもする)。男性としては久しぶりだが、清水翔太が1stアルバムをリリース。ブルージィなソウルが多いが、今後の展開に期待したい。
 また、昨年同様、ベスト盤やカヴァー・アルバムなどの類が多かった。~周年を記念して、という企画はアーティストにとってもアニヴァーサリーという意味合いもあるので批判するつもりはないが、デビューして日が浅いアーティストがすぐにカヴァー、またはそれに準ずる曲をリリースしたり、ヴェテラン・シンガーが“Jポップの名曲を歌う”と称して他人の曲ばかりを歌う、徳永英明『VOCALIST』シリーズの二匹目ならぬ何匹目?のドジョウ戦法のような安易な作品を出す傾向にも、やっぱりちょっと閉口。2008年を“パーフェクト・イヤー”と銘打ったEXILEもしかり、売り上げトップランカーとなった『BEST FICTION』の安室奈美恵もしかり、引き続きカヴァーとコンピ盤で溢れた年だったという感じ。そろそろ安易なヒットだけを求めないで、ロング・タームで聴けるオリジナル曲で勝負していってもらいたいところだ。まぁ、それに耐えうるアーティストがどれだけいるのかという話になってくるのだが、楽曲獲得手段が配信、ダウンロード主流となりつつあり、手軽に素早く入手出来る反面、簡単にリスナーの耳を通り過ぎていってしまう傾向の強い昨今、とりあえず一旦気を惹かせるための安易なキャッチー・ソングが求められている
(リスナーからではなく会社や事務所から)ので、難しいところではある。だが、そのような傾向の反発や反動は必ずある訳で、来年以降はそれを実践するような作品を提示するアーティストが出てくるのではないか、ということに期待したい。

◇◇◇

 といったところで、2008年の“マイ・フェイヴァリッツ・アルバム・アワード”のノミネート作品の発表です。

◇◇◇

<ノミネート作品>

【最優秀作品】
≪洋楽部門≫
アンジェラ・ジョンソン 『ア・ウーマンズ・タッチ Vol.1』
コモン 『ユニヴァーサル・マインド・コントロール』
エリック・ベネイ 『愛すること、生きること』
エステル 『シャイン』
ジョー 『ニュー・マン』
ケイ・ビー 『ルック・ノー・ファーザー』
ミュージック・ソウルチャイルド 『オン・マイ・レディオ』
Q-ティップ 『ザ・ルネッサンス』
ラヒーム・デヴォーン 『ラヴ・ビハインド・ザ・メロディ』
サンバースト・バンド 『ムーヴィング・ウィズ・ザ・シェイカーズ』
ステファニー・マッケイ『テル・イット・ライク・イット・イズ』
Sy Smith 『CONFLICT』
ザ・デイ 『ザ・デイ・ハズ・カム』

以上13作品(A→Z)

≪邦楽部門≫
安室奈美恵 『BEST FICTION』
有坂美香 『アクアンタム』
宇多田ヒカル 『HEART STATION』
JAMOSA 『CRY』
DOUBLE 『10YEARS BEST WE R&B』
DANCE★MAN 『ファンクラヴ』
Perfume 『GAME』
MONDAY満ちる 『NEXUS』
YOSHIKA 『World』

以上9作品(あ→ん)

【新人賞】
アルブライト・フィーチュアリング・ヴィヴィアン・セッサムズ 『サニー・ワン・デイ』
アルジェブラ 『パーパス』
エステル 『シャイン』
ジャズミン・サリヴァン 『フィアレス』
ジェニファー・ハドソン 『ジェニファー・ハドソン』

以上5作品(A→Z)

◇◇◇

 洋楽が13作品、邦楽が9作品をノミネート。洋楽は絞るのが厄介でした。一番悩んだのが、メアリー・J.ブライジ『グロウイング・ペインズ』。リリースは昨年末(2007年12月22日)なのですが、昨年はリリースと発表が直近過ぎて見送った経緯があった気がしたので、今年に入れようかと思いましたが、やはり時期的なものとインパクトが薄れたということもあり、選外にしました。年をまたいでも有力候補に挙げられる名盤であるという一方で、それを挙げようか迷うという今年の全体の質を物語ったものだということもいえるでしょう。
 今年も12月中下旬リリースのものに好作が多く、きちんと聴いたものは対象に、そうでないものは翌年に考慮としましたが、このあたりはしっかりと対象範囲を考えなければいけないのかもしれません。たとえば、BRANDYの新作『HUMAN』はここにノミネートされて当然の良質を誇る作品だとは思いましたが、2009年に国内盤でリリースされるとの情報を得たので、2009年の対象作品としてピック・アップすることにしました。そのあたりは曖昧なところがあると思いますが、ご了承ください。

 邦楽は、頑張ってここまでノミネートを出した、という感じです。また、個人的に昨年はハマったハウス・シーンですが、それほど伸びることなく収束してしまった気がします。

 それでは、2008年、“マイ・フェイヴァリッツ・アルバム・アワード”の発表です!

◇◇◇

【MY FAVORITES ALBUM AWARD 2008】

【最優秀作品】

≪洋楽部門≫
ラヒーム・デヴォーン 『ラヴ・ビハインド・ザ・メロディ』
(Raheem DeVaughn 『Love Behind The Melody』)

≪邦楽部門≫
有坂美香 『アクアンタム』

【新人賞】
エステル 『シャイン』
(Estelle 『Shine』)

◇◇◇

 最優秀洋楽アルバムはラヒーム・デヴォーン『ラヴ・ビハインド・ザ・メロディ』。斬新な趣向を試みながらも、軸を常にグッド・ミュージックに置いている制作手法が素晴らしいメロウ作中心の傑作。こちらとエステル『シャイン』で迷ったが、キャッチーな分再生回数はエステルに軍配があがるも、質としての部分でラヒームに。その代わりといってはなんだが、エステルは新人賞ということで落ち着かせてもらった。そうなると、映画『ドリームガールズ』で完全にビヨンセを食ったジェニファー・ハドソンが割りを食ってしまったと思われるかもしれないが、歌唱力は間違いないが、多少多くを詰め込み過ぎというかリスナーを圧倒するという意味でトゥー・マッチなところもちょっと感じたので次点に。それでも良質盤には変わりないのだが。
 2005年に『ハリケーン』で最優秀を授賞しているエリック・ベネイだが、その時は押し出された感じだったが、今作『愛すること、生きること』は元来の路線に回帰するようなベネイらしいサウンド・プロダクションに好感を受けた。ジョーやミュージック・ソウルチャイルドなどは、純粋に前作からの流れを受け継ぐだけでなく、新たな素地を織り込みながらも、“らしさ”を吹き込むことに成功した傑作だ。ケイ・ビーは“UK盤R.ケリー”との呼び声高いで、こちらも旧き良き生音を散りばめた優良作。UKにも元気なってもらいたいと思い、ノミネートに挙げてみた。ステファニー・マッケイも最優秀候補に迷った1つ。彼女やサイ・スミスなどは実に音楽を大切に扱い愛しているんだな、という感覚が伝わってくる。
 ヒップホップ系では、久々にリリースしたQ-ティップ、コモン、ザ・デイなどがお気に入りとなった。その他にも、カニエ・ウェスト『808s&ハートブレイク』、N・E・R・D『シーイング・サウンズ』なども再生率が高かった。ザ・デイ『ザ・デイ・ハズ・カム』はアース・ウィンド&ファイア「宇宙のファンタジー」という大ネタ使いの「ギヴ・ユー・ザ・ワールド」ばかりが注目になったが、それ以外でもラテン・テイストを採り入れたりするなど、高いプロダクションが窺える好盤だと思う。リル・ウェインやT-ペインはどうした! という声はあるかもしれない。総評で今年は“オートチューン”といっておきながら、何だと。(苦笑) ただ、これはもう好き好きの度合いとしかいえないので。評価出来ないというものではないので、悪しからず。
 もう一つ、サンバースト・バンドはマイ・フェイヴァリット・アーティストの1つであるインコグニート関連のメンバーが参加。廃り流行の早いダンス・ミュージック・シーンにあって、こういったダンス・サウンドは長く親しめるものだと思う。

 最優秀邦楽アルバムは文句なしに有坂美香『アクアンタム』で。カテゴライズにとらわれない幅広さと柔軟さが堪能出来る2枚組。彼女をフィーチャリング・シンガーだとかバック・ヴォーカリストだとしかで知らなかった人は、是非その世界観の広さに触れてみるべき。カテゴライズだけでなく時代にとらわれない名盤だと思う。
 安室奈美恵は前作『PLAY』、そして今作『BEST FICTION』と一つの新たな安室像を創り上げた感じ。ただ今回はベスト盤ということで、一つ引いてもらった形。安室がスタイリッシュならJAMOSAは濃厚路線。多少濃すぎるリリックは好き嫌いの度合いを高めるかもしれないが、それを含めてメッセージ・シンガーとして今後も期待出来るだろう。
 年末付近でリリースされたMONDAY満ちる 『NEXUS』(11月)とYOSHIKA 『World』(12月)。特にYOSHIKAの復帰作の『World』は、聴いたのは短期間であったが、グッと心象表現の深まったサウンド・プロダクションにやられた。カテゴリーを捨てて自身がジャンルとなるようなオリジナリティを発揮した快作だ。
 宇多田ヒカル『HEART STATION』については、ランキングもトップクラスだしオリジナル作としての完成度も高いと思う。ただ、アルバムの構成上で「ぼくはくま」が終盤に配されていたのが、個人的にどうしても違和感が消えなかったので、最優秀から外した。収録しなくてよいってことはないが、これはボーナス・トラック扱いとして収録して欲しかった。ただそれだけ。それがなければ、当作が最優秀を脅かしていたかもしれない。
 DANCE★MAN 『ファンクラヴ』はファンだというのもあるが、こういうカメオの焼き直しみたいなモロ・ファンクっていうサウンドをもうちょっと邦楽アーティストでもやっていいんじゃないかと思って候補に入れてみた次第。

 新人賞は上述のようにエステル。ジョン・レジェンド、カニエ・ウェストなどのバックも万全。自身もラップとヴォーカルを共に駆使出来たりと、アリシア・キーズ級になれる逸材だろう。候補は洋楽からのみのエントリーとなってしまったが、それが個人的な邦楽に対する総合的な感想なのかもしれない。

◇◇◇

 いかがでしたでしょうか。“オレのと違うじゃないか!”“ワタシのがちゃんと評価してるわ!”のような意見はたくさんあると思いますが、そこは独断と偏見のあくまでも個人的な賞ということで、ご勘弁を。
 ちなみに、邦楽で今年のフェイヴァリット・ナンバーをいくつか挙げろといわれたら、世間は全く注目してないかもしれませんが(苦笑)、WISEの「Mirror feat. Salyu」は挙げますね。これは名曲。あとは、Spontania feat. JUJU「君のすべてに」(JUJU feat. Spontania「素直になれたら」でもいいけど)とかかな。あと、Perfumeならば「love the world」。そして、リリースは昨年12月だけど、DOUBLE「残り火-eternal BED-」は今年よく聴いた1曲ですね。

 では、次回は“マイ・フェイヴァリッツ・ライヴ・アワード 2008”をお送りします。

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