パンフレットに寄せられた安部 寧さんからのメッセージ
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GSブームの生んだ唯一のプリンス―――――安部 寧
ブームとははかないものだ。
グループサウンズブームもまた例外ではなかった。
あれほど、世の中を騒がせたGS・ブームも、いまとなっては、うたかたの夢という感じさえするではないか。
しかし、ブームとはそれでいいのだと思う。
だからこそ、ブームと呼ばれるのだと思う。
それでは、ブームはのちのちの世になにも残さないのかというと、そんなことはない。
たいていの場合、ひとりのスターは残すものなのだ。
いい変えれば、騒ぎが終わったあと、たったひとりのスターしか残さないもの、それがブームの特質だと、わたくしはいいたい。
うたかたのGS・ブームの生んだ唯一のプリンス、それはいうまでもなく沢田研二である。
というと、ショーケン・ファンは怒るかも知れぬ。
他のなんとかファンも黙ってはいないかも知れぬ。
しかし、一部のファンがなんといおうと、これはまぎれもない事実なのだ。
大げさにいえば歴史的事実なのだ。
その証拠に、こんどのリサイタルが発表されたとたん、あっという間に切符が売り切れたではないか。
GSブームとは関係なく、ジュリーは見事に生き残っているのである。
ジュリーにはプリンスに欠かせぬ条件といえる甘さがある。
女の子にはたまらぬその甘さが消えぬかぎり、ジュリーのスターとしての地位はゆるぎはしないだろう。
少しぐらい歌がうまいとかまずいとか、そんなことはとやかくいうべきことではない。
わたくしは、いまジュリーの甘さを強調した。
しかし、ジュリーのビートはGS出身だけに定評がある。
問題はこのふたつをどう融合させて、新しいジュリーの特性とするかであろう。
こんどのステージは、彼の新しい個性の生まれるひとつの試金石であり、契機だと思われる。
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安部 寧さんの言葉から44年経ってあと数ヶ月で65歳になるJulie
年をたくさん重ねても
身体がまぁるくなっても
白いお髭でステージで歌っても
声の魅力 歌の魅力を とりのぞいたとしても
なお
甘~い雰囲気を感じさせてくれるJulie
ロックを歌うひとはいっぱいいるけれど
ロックと甘さが融合しているのは沢田研二だけと PYGの頃に確信して
だから あれから44年の歳月が過ぎたとしても
あの日生劇場のときと同じに どこかのホールの客席で Julieに心を動かす自分がいて