伊集院静さんが初めてJULIEを見たのは六本木のバー
21 CDs COLLECTON OF KENJI SAWADAより
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濡れた背中
沢田研二を初めて見たのは、
冬の冷たい雨が降る、深夜の六本木のバーの片隅だった。
なんの気なしに見つめたカウンターに
2人の男が酒を飲んでいた。
奇妙な雰囲気がそこにはただよっていた。
こちらからは、男たちの背中しか見えないのだけど、
そこだけが違った色彩をしていた。
「何なのだろう・・・・・」
私はぼんやりその男の背中を見ていた
やや斜目にした肩と少し猫背の格好が
力味のない酒を飲んでいるようで
「酒場に似合ういい背中だな」
と私は思いながら、また目がとまった。
男の背中が濡れていた。
外は雨から雪に変わったのだろうか
ふとそんな思いがした。
そのとき一瞬、見えた横顔で、男が沢田研二とわかった。
「そうか、彼が・・・・・」
いい背中をしている男に逢ったと思った。
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二日前の国際フォーラムのステージで
JULIEが背中を魅せたのは
虎の着ぐるみに中洲流の法被姿
ゆっくり回転して
長法被からのぞく虎の尻尾がゆれていたっけ
まだまだ一生懸命ツアーPart1のときは
じゃんぷする背中も魅せてくれたり
JULIEの背中に
あれこれ言葉が思い浮かぶ派だから
その瞬間に思い浮かんだ言葉は
そっと心にしまったっけ