会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

会計士も背水 監査厳しく 東芝、4~12月決算発表を再延期(日経より)

会計士も背水 監査厳しく 東芝、4~12月決算発表を再延期(記事冒頭のみ)

東芝を例に挙げて、M&A、特にのれんに関する監査が厳しくなっているという記事。

「経営再建中の東芝が、2016年4~12月期の決算発表を2月に続いて再び延期した。半導体メモリー事業の分社化や海外原子力事業からの撤退により再出発の姿勢は示したが、財務体質や内部統制に注がれる市場の視線は厳しさを増している。背景には、M&A(合併・買収)を実施した企業への監査が世界的に厳格になりつつある事情も浮かぶ。」

IASBでのれん減損のタイミングが遅いという議論があること、欧米主要企業でのれんの金額が膨らんでいること(「欧米の主要企業が抱える「のれん」は、14年の時点で平均して純資産の約30%に達していた」)、英国の監査報告書で(KAMとして?)のれんに関する手続きについて書いている例が増えていることなどについてもふれています。

東芝の監査については...

「東芝の場合、監査が厳しくならざるをえない固有の事情もある。会計不祥事への対応策として、東芝は今期から、監査業務を関係の長かった新日本監査法人からPwCあらた監査法人へと変えた。

PwCあらたは、カネボウの粉飾事件で解散に追い込まれた旧中央青山監査法人の出身者を中心に06年に設立された。同法人の木村浩一郎代表執行役はかつて本紙の取材に「不正を見逃さない体制を築く」と決意を語っている。その意気込みが試されるのが東芝の監査というわけだ。「カネボウ事件のイメージを拭おうという意欲が厳しい姿勢ににじむ」とは会計関係者の評だ。」

あらたががんばっているというのは、そのとおりなのかもしれませんが、報道によれば、東芝の四半期レビューが遅れて決算が確定しないというのは、あらたというより、子会社(WH)の監査人である米PwCが粘っているからのようです。あらたと米PwCの間で見解の相違があるとも報じられています。

また、東芝がのれん減損の監査厳格化の例といえるのかどうか...。普通のM&Aの場合、買収時点で、のれんの金額がだいたいどのくらいになるかというのは把握していると思われますが、東芝の場合は、建設会社買収の買収価格配分手続において、原発建設コストの見積りが膨らんでしまった結果として、のれんが想定外に膨らみ減損に追い込まれたということですから、のれんというよりコスト見積りを厳格にやったためだともいえます。(もっとも、こうした会社の説明も本当に信じていいのかどうかは疑問ですが)

当サイトの関連記事(東芝の監査などについて)

記事の中でふれている日本の企業会計基準委員会の報告書については...

当サイトの関連記事(「のれん及び減損に関する定量的調査」の公表について)
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