最近の監査人交代事例です(2023年5月11日発表分)。ひびき監査法人の退任が3件あります。
1.木 村 化 工 機(東証スタンダード)
公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
ひびき監査法人→仰星監査法人、の交代です。
行政処分の影響です。
「同監査法人による当社の継続監査年数が長期にわたっていることに加え、2023年1月20日に公認会計士・監査審査会から金融庁長官に対し、同監査法人に対して行政処分その他の措置を講ずるよう勧告があり、同年3月31日に金融庁から同監査法人に対して業務改善命令の行政処分が行われたこと等を鑑み、当社の監査の相当性を確保する観点から総合的に検討した結果、監査等委員会において同監査法人を不再任とすることを決定いたしました。」
現監査人の就任年は、1975年ですが、「調査可能な範囲での就任年であり、実際の就任年は上記以前である可能性があります」とのことです(たしかに長い)。
2.堺 商 事(東証スタンダード)
会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
ひびき監査法人→あずさ、の交代です。
これは行政処分には特にふれていません。
「同監査法人については監査継続年数が長期にわたっていることから、監査役会が定める会計監査人選任・再任決定手順書に従い、他の監査法人からの提案を受け、比較検討を行いました。」
現監査人の就任年は、1990年です。
3. 大 丸 エ ナ ウ ィ ン(東証スタンダード)
ひびき監査法人→海南監査法人、の交代です。
これは行政処分を理由に挙げています。
「監査等委員会は、2023 年1月 20 日に公認会計士・監査審査会より金融庁長官に対し、ひびき監査法人に対して行政処分その他の措置を講ずるよう勧告があり、2023 年3月 31 日に金融庁の行政処分が行われたことも踏まえ、新たな会計監査人の選定も視野に入れ、複数の監査法人の比較検討を行ってまいりました。」
現監査人の就任年は、2020 年です。
4.エーアイ(東証グロース)
会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
あずさ→アスカ監査法人、の交代です。
監査報酬がきっかけです。
「近年、監査報酬が増加傾向にあり、次期以降も増加することが見込まれることなどを契機として、当社の企業規模、利益規模に適した監査対応と監査報酬の相当性について検討してまいりました。」
現監査人の就任年は、2014 年です。
5.蔵 王 産 業(東証スタンダード)
会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
あずさ→監査法人東海会計社、の交代です。
「監査継続期間が長期にわたっていることや監査報酬増額の申し出を受けたこと等を総合的に勘案し」たとのことです。
現監査人の就任年は、1990 年以降(継続監査期間約 32 年)です。
6.日本ルツボ(東証スタンダード)
会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
トーマツ→グローリー監査法人(元新日本の人が多いようです。大学教授もいます)、の交代です。
「監査報酬の増額要請を契機に、当社の事業規模に適した監査報酬の妥当性について複数の監査法人と比較検討した結果」とのことです。
現監査人の就任年は、2010 年です。
グローリーは、上場会社等監査人名簿への登録を申請中です(経過措置も対象外?)。
「グローリー監査法人は、現在、上場会社等監査人名簿への登録を申請中であります。なお、当該会計監査人候補が相応の期間までに上場会社等監査人登録名簿に登録されなかった場合は、他の登録済み会計監査人を選任する等の対応を検討いたします。」
制度の変わり目に、上場会社を監査していない事務所(推測)(2023年4月1日に、現に上場会社等の監査証明業務(金商法監査に限る)を行っていて、かつ、期日までに届出を行っていれば、しばらく登録なしで監査できるため)を選ぶのは、ちょっとリスクがあります。