三菱重工の子会社、三菱航空機の2021年3月期決算で、債務超過額が5559億円に拡大したという記事。
「国産ジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」の開発を手がける三菱航空機の2021年3月期決算(単独)は、最終利益が912億円の赤字だった。赤字は前期(5269億円の赤字)に続き2期連続。債務超過額は昨年3月末時点の4646億円から5559億円に拡大した。
同社が1日開示した。今年3月に資本金を1350億円から5億円に減資し、1350億円の資本準備金もゼロに減らしたものの、それ以上に負債額が膨らんだ。」
減資前の資本金1350億円と、取り崩し前の資本準備金1350億円の合計額2700億円が、株主からの出資額なのでしょう(3月以前に減資などを行っていない場合)。それがゼロになった上で、さらに5559億円の債務超過ですから、損失累計額は計8259億円ということになります。ひとつのプロジェクトとしては、信じられないほどの巨額損失です。
この損失は、会計処理的には、親会社の連結決算にすでに反映済みのはずです。個別決算では、子会社株式評価減や貸倒引当金計上が必要ですが、それもおそらく処理済みなのでしょう。
なお、減資したり、資本準備金を取り崩したりしたからといって、純資産(この場合はマイナスの数字)の内訳をいじくっただけなので、債務超過の金額(マイナスの純資産金額)は変わりません。
こちらも同じ「三菱」の記事。
いくら巨額の赤字を出してもそれ自体は不正ではありませんが、これは、明らかに不正でしょう。
三菱電機に「裏切られた」 大手メーカー、続く不正(朝日)
「大手電機メーカーの三菱電機が、鉄道車両用の空調設備で「不適切な検査」をしていた。30日夜に概要を発表したが、不正の件数や原因などの全体像はわからず、鉄道会社などは対応に苦慮する。」
空調機だけでなくブレーキ関連でも...
三菱電機、試験せず自動的に数値を偽装するプログラム作成…ブレーキ関連でも不正検査(読売)
「三菱電機は30日、鉄道車両のブレーキや扉の開閉に使う「空気圧縮機」でも不正検査があったと発表した。機種更新をした際に新たな試験を実施せず、旧型機の試験結果をそのまま引用していた。不正検査は約10年に及んでおり、これまで出荷した約1000台のうち何台で不正があったか調べている。」
株主総会が終わり、有報も提出した後に発表するというのは、姑息すぎるのでは。
監査人も知らなかったのか、KAM(監査報告書日6月29日)をみても、この不正による財務への影響について監査手続を行ったという記載はありません。
訂正報告書提出の検討をすべきでしょう。