粉飾決算vs会計基準 細野 祐二 日経BP社 2017-09-22 by G-Tools |
あの元公認会計士の細野氏が新しい本を出すようです。
(宣伝文より)
「自身の有価証券虚偽記載罪での逮捕・起訴の不当性を訴え、大きな反響を呼んだ『公認会計士vs特捜検察』、日興コーディアル、JAL、NOVAなどの粉飾事件を分析した『法廷会計学vs粉飾決算』で知られる著者の10年ぶりの書き下ろし。」
「今回取り上げたのは、10年裁判の末、逆転無罪となった長銀・日債銀粉飾決算事件、著者が冤罪と見るライブドア事件、10年にわたる長期の粉飾決算事件であるオリンパス事件、現在進行中のウエスチングハウス買収後の東芝巨額粉飾決算の5大粉飾事件。」
「本書で分析の対象となっている粉飾決算事件は、時代が取得原価会計から時価会計に移行していく過程で事件化し、時価会計が主力となった時代に粉飾決算事件として決着している。
粉飾決算を引き起こした経営者は指弾されてしかるべきであるが、私は事件の背景に、時価会計が経営者の倫理観を毀損していった側面が見えてならなかった。時価会計導入以来すでに20 年近い年月が流れた。
人類史における時価会計導入の功罪が検討されるべき時期に来ている。」(宣伝文で引用されている著者コメントより)
おそらく、会社の調査報告書やマスコミ報道をなぞるだけでない、キャッツ事件(著者の主張とは違って明らかな粉飾だと思います)を経験している著者でなければ書けないような内容なのでしょう。
時価会計をターゲットにしているというのは、意外ですが。
こちらは(金融商品の?)時価会計を擁護しているコラム記事。
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日本企業の業績回復の遅れは“会計制度”のせい? フジマキが解説(週刊朝日)
「私は、時価会計(時価で毎期評価替えし、利益と損失を計上する)こそがガバナンス機能を高める最高の手段だと思っている。1990年代の米銀が輝いていた当時にモルガン銀行に勤めていたが、当時の米銀の強さは徹底的な時価会計にあったとさえ思っている。」
「リーマン・ショックからの日本企業の業績や株価の回復が、火元の米国企業よりなぜ遅かったのか? なぜバブル崩壊からの立ち直りに手間取ったのか? 簿価会計だからだと私は思う。簿価会計だと、蓄積された損失が一気に噴き出す。...
一方で、時価会計だとすでに損失が計上されており、損切りを決意しても更なる計上はごく小さい。余計な思惑でなく純粋な価格の方向性で意思決定できる。日本特有の飛ばしなどの不正経理は、したくてもできない。時価会計がガバナンスを高めると考える理由だ。」