会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

過年度の有価証券報告書・半期報告書及び有価証券届出書の内容の適正性の再確認のための再監査について

過年度の有価証券報告書・半期報告書及び有価証券届出書 の内容の適正性の再確認のための再監査についてのお知らせ(PDFファイル)

東証第二部上場のバナーズのプレスリリースです。

監査人である監査法人夏目事務所が、大会社等の監査との同時提供禁止業務(財務書類の調製に関する業務)を提供していたことが法令違反であるとして、金融庁より戒告処分を受けたため、関連する平成17年度および平成18年度における有価証券報告書等に対して再監査を別の監査法人に依頼することを決定したとのことです。

常識的に考えて、3年前の監査を今からやり直すのは非常に難しいといえます。前任監査人の監査手続の結果を利用できればよいのでしょうが、独立性に関する法令違反を犯した監査人のやった手続をそのまま利用することができるのかという点については、意見は分かれると思います。非常に形式的に考えると、独立性違反を犯した状態の監査人は監査人としての資格がない、資格がない者が実施した手続はすべて無効であるということになり、利用はできないということになってしまいます。

再監査を行うというのが、会社の自由な意思に基づく決定なのか、金融庁の指導によるものなのかはプレスリリースを読んでもわかりません。後者だとすると、独立性に関する法令違反状態の監査人の行った監査は無効→したがって財務局に提出された有報に添付された監査報告書も無効→無効の監査報告書では会社は証券取引法(金融商品取引法)を遵守していないことになる→再監査を行ってそうした違法状態を解消する必要がある、という理屈なのかもしれません。もしこういう理屈だとしたら、再監査ができないとたいへんなことになってしまいます。そうではなく、会社が自らの意思に基づいて、念のため再監査をやりたいということであれば、それほど大きな問題ではありません。

いずれにしても、公認会計士監査審査会による監査事務所の検査によって、法令違反が認定されると、会社にとってもおおごとになるおそれがあります。審査会がそこまで考えて勧告を行ったのかは不明です。

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