元IASB委員であずさ監査法人理事・パートナーである山田 辰己氏によるセミナーの議事録。1月8日に行われたものです。
一般向けと思われ、IFRSを巡る歴史的展開、 IFRSとは何かというところから話を進めています。
以下気になる点を抜粋しました。
米国の動向
「米国がIFRSを受け入れる可能性として、4つの方法があります。そのうちの2つ、すなわち、米国基準を捨ててIFRSを採用する「Adoption」や、Convergence(移行期間)とEndorsement(IFRS適用後)を組み合わせた造語である「Condorsement」という方法を採用することは、ほぼあり得ないでしょう。
可能性があるのは、「任意適用」と「米国会計基準財務諸表に対する『補足資料』としてIFRSに基づく財務諸表を公表する」という2つの方法ですが、後者の場合は、実質的に2つの財務諸表を作成するという負担が生じます。それゆえ、私は、任意適用が一番現実的な方法であると思いますが、米国が、このままIFRS採用の方向性を示さずにいれば、SECの存在感は一層低下してしまうため、この「任意適用」と「補足資料」をベースに、どのようにIFRSを米国で受け入れるかについてSECが考え始めたというのが現状だと思います。」
質疑応答で、監査法人は対応しきれるのかという質問に対して
「監査法人としては、IFRSに通暁する人員に限りがあることから、IFRS採用企業が徐々に増加することが望ましいところです。現在でも、IFRSを導入する企業に対応できる人材は払底しています。IFRSのさまざまな規定を理解し、導入指導ができる会計士が限られているためです。少なくとも大手監査法人は同様の状況で、中小規模の監査法人にも引き合いが来ているようです。IFRSのわかる会計士を育てるには、最低でも2年はかかりますので、急に増やすのは難しい状況です。」
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